【2021年改正対応】個別避難計画とケアマネの役割|作成事例4選

災害時に自力で避難することが難しい高齢者や障害のある方を守るために重要なのが「個別避難計画」です。日ごろから利用者の生活を支えるケアマネジャーは、その作成に深く関わる存在として期待されています。とはいえ「何をどこまで関わればいいのか」「事例をどうプランに反映するのか」と迷う方も多いはず。この記事では、個別避難計画の基本から、ケアマネの役割、具体的な作成事例、注意点までをわかりやすく解説します。
- 個別避難計画とは何か/2021年の法改正で何が変わったか
- 計画づくりにおけるケアマネジャーの役割
- ケアマネが関わる作成の流れ(5ステップ)
- 状態別の作成事例4パターン(独居・認知症・在宅酸素・車いす)
- 作成時にケアマネが注意すべきポイントとFAQ
個別避難計画とは?2021年の法改正で努力義務に
個別避難計画とは、災害時に自力での避難が困難な避難行動要支援者(高齢者・障害者・難病患者など)が、安全かつ迅速に避難できるよう、一人ひとりの状況に合わせてあらかじめ作成しておく計画です。「誰が支援し」「どこへ」「どのルートで」「どんな配慮をして」避難するかを具体的に定めます。
2021年(令和3年)5月の災害対策基本法の改正により、個別避難計画の作成は市町村の努力義務となりました。近年の災害で犠牲者に占める高齢者の割合が高いことが背景にあり、要支援者の避難を一層進めるための仕組みです。作成の主体は市町村ですが、日常的に本人を支えるケアマネジャーや相談支援専門員などの福祉専門職が関与することが、国の指針でも期待されています。
個別避難計画におけるケアマネジャーの役割
新人個別避難計画って市町村が作るんですよね?ケアマネは具体的に何をすればいいんですか?
先輩作成の旗振りは市町村だけど、本人の状態や住まいを一番わかっているのはケアマネよ。だから情報提供と支援者・経路の調整で力になれるの。ケアプランとの整合性をとるのも大事な役割ね。
ケアマネジャーに期待される主な役割は次のとおりです。
- 本人の心身状態・医療的ケアの有無・居住環境の把握と情報提供
- 家族・地域住民・サービス事業者など支援者の調整
- 自宅から避難所までの避難経路・避難方法の具体化
- 個別避難計画とケアプランの整合性の確認
- 福祉避難所や必要な配慮事項の整理
ケアマネが個別避難計画に関わる流れ(5ステップ)
市町村によって運用は異なりますが、ケアマネが関与する場合は概ね次の流れで進みます。
- 対象者の選定市町村や地域包括支援センターから避難行動要支援者名簿が共有され、優先度の高い人から計画づくりを進める。
- アセスメントケアマネが心身状態・移動手段・医療的ケアの有無・住環境を把握する。
- 支援者の決定家族・隣人・自治会・ボランティアなど、誰が避難を支援するかを明確にする。
- 避難経路・避難先の確認自宅から避難所までのルートや段差・危険箇所を実際に確認し、福祉避難所の必要性も検討する。
- 計画書への反映・共有支援内容を計画書にまとめ、本人・家族・支援者・関係機関で共有し、定期的に見直す。
個別避難計画の作成事例(ケアマネ視点・4パターン)
実際の計画づくりをイメージしやすいよう、状態別の事例を紹介します。ケアプラン作成の参考にもなります。
事例1:独居で歩行が困難な高齢者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 要介護2・独居・杖歩行で長距離移動が困難。近隣に親族なし。 |
| 支援者 | 自治会の班長と隣家の住民が声かけ・付き添いを担当。 |
| 避難方法 | 近隣支援者が車いすで最寄りの指定避難所まで誘導。 |
| 配慮事項 | 常用薬と連絡先カードを玄関に常備。早期避難を基本とする。 |
事例2:認知症のある利用者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 要介護3・認知症あり・状況判断が難しく、混乱しやすい。 |
| 支援者 | 同居の長男夫婦が中心。不在時は近隣住民が補完。 |
| 避難方法 | 家族が付き添い、なじみのある福祉避難所へ避難。 |
| 配慮事項 | 声のかけ方・持ち物(お薬手帳・なじみの品)を事前に共有。 |
事例3:在宅酸素療法を利用する利用者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 要介護2・在宅酸素療法(HOT)を使用。停電時の酸素確保が課題。 |
| 支援者 | 家族と訪問看護、酸素機器の供給業者が連携。 |
| 避難方法 | 携帯用酸素ボンベを持参し、家族が車で避難所へ。 |
| 配慮事項 | 停電時の対応・予備ボンベ・業者の緊急連絡先を計画に明記。 |
事例4:集合住宅で車いす生活の利用者
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 状況 | 要介護4・車いす利用・マンション上階に居住。エレベーター停止が懸念。 |
| 支援者 | 家族と同じ階の住民、管理組合が協力。 |
| 避難方法 | 複数名で階段移動を支援、または垂直避難(上階への一時退避)も検討。 |
| 配慮事項 | 停電・浸水リスクを踏まえ、避難開始の判断基準を明確化。 |
個別避難計画でケアマネが注意すべきポイント
新人計画を作って終わり、ではいけないんですよね?
先輩そのとおり。状態は変わるから定期的な見直しが欠かせないわ。それに、ケアマネだけで抱え込まず、地域や行政と役割を分担することも大切よ。
- 実効性を重視する:「誰が・どう動くか」を具体的にし、形だけの計画にしない。
- 定期的に見直す:心身状態や同居状況の変化に合わせて更新する。
- 支援者の同意を得る:近隣やボランティアに頼る場合は本人・支援者双方の合意を確認。
- 個人情報の取り扱いに配慮:名簿や計画書の共有範囲は本人同意と自治体ルールに従う。
- ケアマネだけで抱え込まない:市町村・地域包括・自治会と役割を分担する。
個別避難計画に関するよくある質問
個別避難計画の作成は義務ですか?
ケアマネが計画を作ると報酬は出ますか?
ケアプランと個別避難計画はどう違いますか?
支援者が見つからない場合はどうすればよいですか?
- 個別避難計画は、避難が困難な要支援者ごとに「誰が・どこへ・どう避難するか」を定める計画。
- 2021年の災害対策基本法改正で、作成は市町村の努力義務になった。
- ケアマネは情報提供・支援者調整・経路の具体化・ケアプランとの整合で関わる。
- 独居・認知症・在宅酸素・車いすなど、状態に応じた配慮を計画に反映する。
- 作って終わりにせず、定期的な見直しと地域・行政との役割分担が重要。
















