本人と家族の意向が違う時はどうする?ケアマネの対応と調整のコツ

「本人は家で暮らしたい、家族はもう在宅は限界」——ケアマネなら誰もが直面する本人と家族の意向が違う場面。板挟みになり、どう動けばいいか悩む人は少なくありません。この記事では、意向が食い違うときにケアマネが取るべき基本姿勢と、合意形成までの具体的な対応ステップを、現場目線でわかりやすく解説します。
- 本人と家族の意向が違うときの基本原則
- ケアマネが取るべき中立的な姿勢
- 合意形成までの具体的な対応ステップ
- 判断能力が低下している場合の考え方
- 一人で抱え込まないための相談先
新人本人は在宅希望、ご家族は施設希望で、どちらに合わせればいいか分からなくなります…。
先輩どちらかに合わせる、という発想を一度手放しましょうね。ケアマネは決める人ではなく、整理して支える人。そこが出発点よ。
本人と家族の意向が違うのは「よくあること」
まず押さえたいのは、意向の不一致は特別なことではないという点です。立場が違えば見えている景色も違います。どちらかが間違っているのではなく、視点が異なるだけだと捉えると、対応が落ち着きます。
| 本人が抱きやすい思い | 家族が抱きやすい思い |
|---|---|
| 住み慣れた家にいたい | 仕事と介護の両立が限界 |
| 他人に迷惑をかけたくない | 夜間対応の負担が大きい |
| 「まだ大丈夫」と思っている | 転倒や事故が心配 |
| 施設=終わりというイメージ | 将来のリスクを考えている |
原則は「本人の意思の尊重」
介護保険制度の基本理念は、利用者の尊厳の保持と自立支援です。ケアマネジメントの大前提は本人主体であり、原則として本人の意思を最優先に考えます。ただし、本人の判断能力が低下している場合や、希望どおりにすると安全が確保できない場合に、現実的な悩みが生じます。
ケアマネが取るべき基本姿勢
どちらかの味方にならない
もっともやってはいけないのは、家族寄り・本人寄りに傾きすぎることです。ケアマネは調整役であり、中立であることが信頼の土台になります。どちらの話も同じ熱量で聴く姿勢が、結果的に双方の安心につながります。
まずは双方の本音を丁寧に聞く
本人も家族も、実は本音を言えていないことがあります。本人は「迷惑をかけている」と分かっていたり、家族は「本当は家で見てあげたい」と感じていたりします。個別に面談し、それぞれの思いを分けて整理することが重要です。
意向が違うときの具体的対応ステップ
感情の対立をそのままぶつけ合わせるのではなく、事実→リスク→選択肢→第三者の順で進めると、話し合いが前向きになります。
- 事実を整理する転倒回数・夜間覚醒の頻度・介護者の就労状況・医療的リスクなど、客観的な事実を共有する。
- リスクを可視化する「危ないです」ではなく「このままだと骨折リスクが高い」「介護者が倒れる可能性がある」と具体的に伝える。
- 選択肢を二択にしない「在宅か施設か」ではなく、ショートステイ併用・週1回デイ・訪問介護増・老健の一時利用など段階的な案を出す。
- 第三者の意見を活用する医師・訪問看護師・リハ職など専門職の言葉が、家族や本人に届く場合がある。
新人話し合いがどうしても「在宅か施設か」の対立になってしまいます。
先輩二択にすると必ずぶつかるのよ。「まずは週1回デイから試しましょう」と、間の選択肢を置いてあげると一気に話が進むわ。
判断能力が低下している場合
認知症が進行し、本人の意思決定能力が十分でないこともあります。その場合は、本人のこれまでの価値観・以前の発言・生活歴・代理決定の妥当性を総合的に判断します。元気なうちに本人の意向を確認しておくアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の視点も大切です。
合意形成と「抱え込まない」コツ
完全な一致は難しいケースも多いものです。重要なのは、全員が100%満足することではなく、全員が納得できる範囲を探すことです。小さな成功体験(週1回デイ、1泊ショートなど)を積み重ねると、本人も家族も受け入れやすくなります。感情を否定せず「そう感じますよね」と共感を示すことも、関係を保つうえで欠かせません。
それでもまとまらないときは、一人で抱え込まないことが何より大切です。次のような相談先・手段を活用しましょう。
- 地域包括支援センターへ相談する
- 主治医から本人・家族へ説明してもらう
- 家族会議を複数回に分けて実施する
- 必要に応じて成年後見制度を検討する
ケアマネが抱えやすい葛藤との向き合い方
本人と家族の間に挟まれると、「どちらを優先すべきか悩む」「感情的に責められる」「クレームにつながる」「自分が悪者になった気がする」といったストレスを感じることがあります。まじめなケアマネほど、一人で背負い込みやすいものです。
そこで思い出したいのが、ケアマネは「決定者」ではなく「支援者」であるという原則です。最終決定をするのは利用者と家族であり、ケアマネはそのプロセスを支える役割を担います。板挟みになるのは、真剣に向き合っている証拠でもあります。自分を責めすぎず、判断を関係者と分け合う姿勢が、長く支援を続けるコツです。
よくある質問
本人と家族、どちらの意向を優先すべきですか?
家族から強く責められたときはどうすれば?
認知症で本人の意思が確認しづらい場合は?
一人で対応しきれないときの相談先は?
- 本人と家族の意向の不一致は特別なことではなく、立場の違いから生まれる。
- 原則は本人の意思の尊重。ケアマネは中立の調整役に徹する。
- 事実→リスク→選択肢→第三者の順で、二択にせず段階的に提案する。
- 判断能力が低下した場合は、本人の価値観を中心にACPの視点で考える。
- 抱え込まず、地域包括・主治医・チームを巻き込んで合意形成を図る。
















