グループホームにケアマネは必要か？配置基準や役割をわかりやすく解説

「グループホームにケアマネっているの？」「施設の中にもケアマネが必要なの？」

介護業界で働く人や、家族として利用を検討している方からよく聞かれる疑問です。

実は、グループホームには介護支援専門員（ケアマネジャー）の配置が義務付けられています。
ただし、居宅のケアマネとは役割や立場が異なります。

この記事では、グループホームにおけるケアマネの必要性、配置基準、仕事内容、他職種との関係までわかりやすく解説します。

グループホームとは？まず制度上の位置づけを確認

グループホーム（正式名称：認知症対応型共同生活介護）は、認知症のある高齢者が少人数で共同生活を送りながら介護や支援を受ける施設です。

家庭的な環境の中で、介護職員や医療関係者が協力して生活支援を行うことが目的です。

主な特徴は以下の通りです。

・定員は1ユニット9人以下（複数ユニットも可）
・要支援2または要介護1以上の認定が必要
・地域密着型サービスに分類される
・認知症の方が安心して暮らせる生活環境を重視

この中でケアマネは、「入居者一人ひとりのケアプランを作成・管理する専門職」として必須の存在です。

グループホームにケアマネは必要？【結論：義務です】

結論から言うと、グループホームには専任の介護支援専門員（ケアマネ）の配置が義務付けられています。

介護保険法施行規則第183条において、「認知症対応型共同生活介護事業所には、当該事業所の介護支援専門員を1名以上配置すること」と定められています。

つまり、ケアマネがいない状態では介護保険上の指定を受けられません。

施設運営上、ケアマネの存在は法律的にも必須なのです。

グループホームのケアマネと居宅ケアマネの違い

同じ「介護支援専門員」でも、居宅介護支援事業所のケアマネとグループホームのケアマネは役割が異なります。

比較項目	居宅介護支援事業所のケアマネ	グループホームのケアマネ
サービス区分	居宅介護支援（在宅）	施設系サービス（認知症対応型共同生活介護）
主な対象者	在宅で生活する要介護者	グループホーム入居者
ケアプラン	居宅サービス計画書	施設サービス計画書
業務内容	サービス調整、事業所連携、モニタリング	入居者の生活支援計画、職員との連携
配置形態	事業所単位で複数人配置	各ホームごとに1名以上配置
主な関係者	家族、訪問介護、デイサービスなど	入居職員、家族、医療機関など

グループホームのケアマネは、施設の中で直接生活を見ながら支援計画を立てる点が最大の特徴です。

一方で、居宅ケアマネは在宅利用者の生活全体を外部から支援します。

グループホームのケアマネの主な仕事内容

グループホームのケアマネは、入居者ごとに「施設サービス計画書（ケアプラン）」を作成します。

仕事内容は以下のようになります。

1. アセスメント（利用者の状態・生活状況の把握）
2. ケアプランの作成・更新（第1～3表）
3. サービス担当者会議の開催・記録
4. 職員・医療機関・家族との情報共有
5. モニタリングと計画見直し
6. 介護記録・経過記録の確認・指導
7. 介護保険請求に関わる書類整備

日々の生活支援や介助は介護職員が行い、ケアマネはその支援内容が計画に沿って実施されているかの管理・調整を担います。

つまり「現場の介護」と「計画・制度管理」をつなぐ役割です。

ケアマネと介護職員・計画作成担当者との違い

現場では、「計画作成担当者＝ケアマネ」と呼ばれることもありますが、実際には少し違いがあります。

グループホームでは、次のような配置が求められます。

・介護支援専門員（ケアマネ）1名以上
・介護職員（24時間体制）
・看護職員（医療連携のため）
・計画作成担当者（通常はケアマネが兼務）

「計画作成担当者」とは、施設サービス計画書を作成する職種のことです。

多くの場合、この役割をケアマネが担いますが、資格を持たない管理者が兼務することもあります（ただしケアマネ不在では不可）。

ケアマネ不在では運営できない理由

ケアマネがいないグループホームでは、次のような問題が発生します。

・施設サービス計画書（ケアプラン）が作成できない
・介護報酬の算定ができず、指定取り消しの可能性がある
・入居者支援が場当たり的になり、質が低下する

つまり、ケアマネはグループホームの「頭脳」とも言える存在です。
現場の支援を制度に則って管理し、チーム全体をまとめる役割を担っています。

グループホームのケアマネが関わる範囲

グループホームのケアマネは、入居者の「生活の全体像」を把握する立場にあります。
そのため、以下のような場面にも関与します。

・入居前の契約・アセスメント
・家族との面談・サービス担当者会議
・認知症進行に伴うプラン変更
・医療との連携（往診・受診調整）
・退居・看取りに関する支援

現場の介護職や看護職と協働しながら、「利用者の生活の質（QOL）」を保つための方向性を示します。

ケアマネがいることで得られるメリット

1. 入居者の生活が個別的に支援される
   　画一的なケアではなく、性格・習慣・病状に合わせた支援計画が可能になります。
2. チームケアが統一される
   　職員全員が同じ方向を向いて支援できるため、介護の質が安定します。
3. 家族との信頼関係が築ける
   　ケアマネが橋渡し役となり、家族の不安や要望を整理・共有できます。
4. 外部機関との調整がスムーズ
   　医療・行政・地域包括支援センターなどとの連携が制度的にスムーズになります。

まとめ：グループホームにケアマネは「絶対に必要な存在」

グループホームでは、介護支援専門員（ケアマネ）の配置が法律で義務付けられています。

ケアマネは施設の中で、入居者一人ひとりに合ったケアプランを作成し、介護職や家族、医療機関と連携して支援の中心を担います。

介護職が「手」となるなら、ケアマネは「頭脳」です。

両者が連携して初めて、入居者が安心して暮らせる環境が整います。

グループホームを選ぶときは、ケアマネが常勤しているか、どのように関わっているかも、信頼できる施設を見極めるポイントになります。