介護医療院のケアマネに転職するメリット・デメリットを徹底解説

介護保険制度の中で比較的新しい施設である「介護医療院」。医療と介護の両方を提供する長期療養型の施設として、在宅での療養が難しい高齢者を支えています。
この介護医療院で働くケアマネジャー(介護支援専門員)は、医療と介護の架け橋となる重要な存在です。
「居宅ケアマネから介護医療院へ転職したい」「特養や老健と何が違うの?」と悩む方も多いでしょう。
そこで本記事では、介護医療院のケアマネに転職する メリットとデメリットを徹底解説 し、転職を成功させるポイントを紹介します。
介護医療院とは?ケアマネの役割
介護医療院は、2018年に創設された新しい介護保険施設で、これまでの「介護療養型医療施設」に代わる形で整備されています。特徴は以下の通りです。
- 医療的管理が必要な高齢者を長期的に受け入れる
- 看護師や医師が常駐し、医療と生活支援を一体的に提供
- 「生活施設」と「医療施設」の両方の側面を持つ
介護医療院のケアマネは、入所者一人ひとりの状態を把握し、医療職・介護職と連携しながら ケアプラン(施設サービス計画)の作成・モニタリング を行います。
居宅や特養とは異なり、医療ニーズが高い利用者が多いため、医療的知識や多職種連携力が求められます。
介護医療院のケアマネに転職するメリット
1. 医療職と密に連携できる
介護医療院は医師・看護師が常駐しており、ケアマネは日常的に医療職と協力して利用者の支援にあたります。医療的判断を仰ぎやすく、ケアの質を高められる点は大きな魅力です。
2. 医療知識を深められる
入所者は点滴、胃ろう、在宅酸素、褥瘡管理など医療的ケアが必要な方が多く、ケアマネはこれらに関する知識を自然と身につけられます。将来的に医療と介護の両分野に強いケアマネとしてキャリアの幅が広がります。
3. 外回りや訪問業務が少ない
居宅ケアマネのように利用者宅へ訪問する必要はなく、入所者はすべて施設内にいるため、移動の負担がありません。施設内での情報収集が中心になるので、効率的に業務を進めやすいです。
4. チームケアで支えられる
介護医療院は介護職、看護師、リハビリ職、管理栄養士など多職種が配置されています。ケアマネ1人が抱え込むのではなく、チームで利用者を支える体制が整っているため安心感があります。
5. 長期的に利用者と関われる
介護医療院は「終の棲家」として利用されるケースも多く、利用者や家族と長く関わることができます。人生の最終段階に寄り添い、信頼関係を築けるのはやりがいの一つです。
介護医療院のケアマネに転職するデメリット
1. 医療依存度の高さに対応が必要
利用者の多くは医療的ケアが不可欠で、医療知識に乏しいと戸惑う場面が多くなります。病状の理解や医師・看護師との連携に苦手意識があると、ストレスを感じやすいでしょう。
2. 書類業務が多い
施設サービス計画の作成に加え、医療関連の情報も多いため、書類業務は煩雑になりがちです。医療・介護両面の記録を正確にまとめる必要があり、慣れるまでは大変と感じる人も少なくありません。
3. 終末期ケアに関わる精神的負担
介護医療院では看取りの場面が多くなります。入所者や家族の思いに寄り添う一方で、死と向き合う機会が増えるため、精神的負担を感じることもあります。
4. 給与水準が法人によって差が大きい
介護医療院ケアマネの給与は、法人や地域によって差が大きいです。特養や老健より高い場合もあれば、逆に低い場合もあります。事前の条件確認は必須です。
5. キャリアの幅が限定されることも
介護医療院特有の経験は医療に強いケアマネとして評価されますが、居宅ケアマネや包括支援センターへの転職にそのまま活かしにくいと感じる人もいます。幅広いキャリアを描きたい人には注意が必要です。
介護医療院のケアマネに向いている人の特徴
- 医療知識を学びながら働きたい人
- チーム医療に興味があり、多職種と連携したい人
- 移動よりも施設内でじっくり関わりたい人
- 長期的に利用者と関わり、看取りにも寄り添える人
- 精神的にタフで冷静な判断ができる人
転職を成功させるためのポイント
求人の確認ポイント
- 担当件数(基準は「入所者100人に1人」だが実際は差がある)
- 事務員配置やICT導入の有無
- 終末期ケアへの取り組み方針
- 給与・賞与・福利厚生の水準
面接でアピールすべき点
- 介護現場での実務経験
- 医療職と協力した経験(訪問看護や医師との連携など)
- 今後医療知識を深めたいという前向きな姿勢
転職サイトを活用する
介護医療院の求人はまだ数が限られており、非公開求人として扱われている場合も多いです。転職エージェントを活用することで、自分の希望条件に合った求人を効率よく見つけられます。
まとめ
介護医療院のケアマネは、医療と介護の両面に関わりながら、利用者の生活を長期的に支えるやりがいのある仕事です。
- メリット:医療職と連携できる、医療知識が深まる、外回りが少ない、長期的に関われる
- デメリット:医療依存度が高い、書類業務が多い、終末期ケアの精神的負担、給与格差がある
転職を考える際は、自分のキャリアプランや適性を踏まえた上で、事前に施設の体制や待遇をしっかり確認することが重要です。
介護医療院は、医療と介護をつなぐ力を高めたい人、じっくりと利用者に寄り添いたい人 にとって最適な職場の一つです。