施設ケアマネは主任ケアマネになれないの?制度と要件をわかりやすく解説

「施設ケアマネは主任ケアマネになれないのでは?」
こうした声は介護現場でもよく耳にします。施設に勤めるケアマネジャーが主任ケアマネを目指す際に、「実務要件に含まれないのでは」と不安を感じる人も少なくありません。
実際にはどうなのか?制度上のルールや研修要件を確認しておくことが重要です。
本記事では、施設ケアマネでも主任ケアマネになれるのか、その根拠や注意点をわかりやすく解説します。
施設ケアマネとは?
施設ケアマネとは、特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)、介護医療院、有料老人ホームなどの 介護保険施設に配置されている介護支援専門員 のことを指します。
主な役割は、施設入所者に対する 施設サービス計画書(ケアプラン)作成 や、サービス担当者会議の開催、入退所調整などです。
主任ケアマネになるための要件
主任介護支援専門員(主任ケアマネ)になるためには、次の要件が必要です。
- 介護支援専門員証を取得していること
- 通算5年以上かつ900日以上の実務経験 があること
- 各都道府県が実施する 主任介護支援専門員研修を修了 すること
ここで重要なのは「実務経験」のカウントです。
施設ケアマネの実務は要件に含まれるのか?
結論から言うと、施設ケアマネとしての実務経験も主任ケアマネ研修の受講要件に含まれます。
厚生労働省の通知では、実務経験として認められるのは以下の通りです。
- 居宅介護支援事業所でのケアマネ業務
- 介護保険施設(特養・老健・介護医療院など)でのケアマネ業務
つまり、施設ケアマネも「介護支援専門員としての業務」として正式にカウントされるため、施設ケアマネだから主任ケアマネになれない、ということはありません。
「施設ケアマネは主任になれない」と言われる背景
それでも現場で「施設ケアマネは主任になれない」と誤解されることがあります。
その理由には次のようなものがあります。
- 居宅ケアマネ向けの研修色が強い:主任ケアマネ研修の内容は居宅ケースを前提としたものが多く、施設ケアマネには馴染みにくい部分もある。
- キャリアの幅が異なる:主任ケアマネは地域ケア会議や在宅支援の困難事例に関わるケースが多いため、施設勤務ではイメージが湧きにくい。
- 情報不足:自治体や研修案内の説明が分かりにくく、施設ケアマネの人が「自分は対象外なのでは」と誤解してしまう。
施設ケアマネが主任ケアマネになるメリット
- 転職市場で有利になる:居宅に移る際や管理職を目指す際に評価されやすい。
- 事業所加算に貢献できる:特定事業所加算などの要件を満たす上で重宝される。
- スキルアップにつながる:居宅・在宅ケアの知識を学ぶことで幅広いケースに対応できる。
- 法人内キャリアアップ:施設内でのリーダーシップや教育役割を担いやすい。
まとめ
「施設ケアマネは主任ケアマネになれない」というのは誤解です。
実務経験として 介護保険施設でのケアマネ業務も研修要件に含まれる ため、施設ケアマネも主任ケアマネ研修を受け、資格を取得できます。
ただし研修内容は居宅支援を前提とする部分が多いため、学習のハードルを感じる人もいるかもしれません。
しかし、その知識やスキルは施設ケアマネにとっても必ずプラスになります。
将来のキャリアの幅を広げたい人は、施設勤務であっても主任ケアマネ取得を目指すことをおすすめします。