【コピペOK】失語症・言語障害のケアプラン文例200事例|第2表記入例つき

脳血管疾患の後遺症や加齢により、失語症・言語障害を抱える方は少なくありません。「伝わらない」「分かってもらえない」もどかしさは、本人の生活の質(QOL)を下げ、孤立や意欲低下につながります。この記事では、ケアマネがそのまま使える失語症・言語障害のケアプラン文例を200事例以上、カテゴリ別にまとめました。第2表の書き方や記入例、文例を使うときの注意点まで解説するので、居宅・施設・通所リハ・訪問リハのあらゆる場面で活用できます。
- 失語症・言語障害のケアプランで押さえるべき視点
- コピペで使えるケアプラン文例200事例以上(カテゴリ別)
- 第2表「ニーズ・目標・サービス内容」の記入例
- 文例をそのまま使うときの注意点とアレンジのコツ
- 失語症のタイプ別(運動性・感覚性)の支援ポイント
失語症・言語障害のケアプランで押さえる視点
失語症は「言葉を話す・聞く・読む・書く」のいずれか、あるいは複数が障害される状態です。発音や声の障害である構音障害(ディサースリア)とは区別されますが、ケアプラン上はどちらも「意思疎通の困難」として支援を組み立てます。大切なのは、言語機能そのものへのアプローチと、伝わる環境づくりの両面から計画することです。
具体的には、言語聴覚士(ST)によるリハビリの継続、絵カードやコミュニケーションボードなど代替手段の確保、失敗を責めない心理的支援、正しい接し方を家族へ伝える家族教育、そして社会参加の機会づくりを、多面的に組み込みます。
失語症のタイプを知ると支援が組みやすい
大きく分けると、言葉は理解できるが発話が難しい運動性失語(ブローカ失語)と、流暢に話せるが理解や言い間違いが目立つ感覚性失語(ウェルニッケ失語)があります。タイプによって有効な手段が変わるため、STの評価を踏まえて文例を選ぶと、より実態に合ったプランになります。
新人文例はたくさんあると助かりますが、選ぶときのコツはありますか?
先輩まずはアセスメントで「何に困っているか」をはっきりさせること。意思疎通そのものなのか、リハビリ継続なのか、家族の戸惑いなのかで選ぶカテゴリが変わるわ。本人の言葉を主語にして書くと、より伝わるプランになるわよ。
ICT・福祉用具も上手に取り入れる
近年は、タブレットの意思伝達アプリ、文字や絵を音声に変換するトーキングエイド、写真や記号で選択できるコミュニケーションボードなど、意思疎通を助ける道具が充実してきました。こうしたICTや福祉用具を本人の状態に合わせて選ぶことで、言葉が出にくくても「選ぶ・伝える」力を引き出せます。福祉用具専門相談員やSTと相談しながら、本人が無理なく使える方法を見つけ、ケアプランに具体的に位置づけましょう。導入後も使い勝手を確認し、合わなければ柔軟に見直すことが大切です。
失語症・言語障害のケアプラン文例200事例【意思疎通の基本】
ここからはカテゴリ別に文例を紹介します。第2表の「サービス内容」「援助内容」欄を中心に、そのまま、または利用者に合わせてアレンジしてお使いください。
【1】基本的な意思疎通支援(1〜12)
- 短く分かりやすい言葉で、一文ずつ区切って話しかける。
- 「はい/いいえ」で答えられる質問の形にする。
- 会話の速度をゆっくりにし、間を十分にとる。
- 本人が言葉を探している間は、遮らず最後まで待つ。
- 表情・身ぶり・指差しなど、言葉以外のサインを読み取る。
- 伝わらないときは、別の言い方や具体例に置き換える。
- 落ち着いた声量と穏やかな表情で、安心して話せる雰囲気をつくる。
- 一度に多くを尋ねず、話題を一つずつに絞る。
- 本人の発した言葉を復唱し、理解が合っているか確認する。
- 視線を合わせ、正面から向き合って話す。
- 静かな環境を整え、雑音による聞き取りづらさを減らす。
- うまく伝わったときは笑顔で応え、成功体験として共有する。
【2】言語リハビリ(ST)との連携(13〜24)
- 言語聴覚士(ST)の評価に基づき、発声・発語練習を継続する。
- STが示した練習メニューを日課に組み込み習慣化する。
- 復唱・音読を一緒に行い、発話の機会を増やす。
- 絵カードや単語カードを使って語彙の維持・拡大を図る。
- 口腔体操・発声体操を取り入れ、話しやすい状態を整える。
- 曜日・日付・名前など、身近な言葉を言う練習を続ける。
- STのリハビリ内容を職員間で共有し、生活場面でも実践する。
- 言語訓練の記録を残し、経過と効果を定期的に確認する。
- 発音が難しい言葉を繰り返し練習し、達成感につなげる。
- 訪問・通所リハビリの言語訓練を週◯回利用する。
- STと家族・介護職が同じ声かけ方法を共有する。
- リハビリの目標を本人と確認し、意欲を引き出す。
【3】代替コミュニケーション手段の活用(25〜36)
- コミュニケーションボードを使い、指差しで意思を伝える。
- 「トイレ」「水分」など基本的なニーズを絵で表示する。
- 筆談ボードやメモ帳を常備し、書いて伝えられるようにする。
- 写真アルバムを使い、希望や思い出を共有する。
- 五十音の文字盤を活用し、一文字ずつ意思表示する。
- タブレットの意思伝達アプリを導入する。
- 本人が使いやすい方法を優先し、無理なく定着させる。
- ジェスチャーや実物提示で具体的に選んでもらう。
- イラスト付きのメニュー表で食事や活動を選べるようにする。
- よく使う言葉のカードをまとめ、すぐ取り出せるようにする。
- ボイス出力機器・トーキングエイドを活用する。
- 本人専用の意思表示ツールを作成し、生活場面で統一して使う。
【4】心理的支援・自己肯定感(37〜48)
- 言い間違いや発語の失敗を責めず、温かく受け止める。
- 伝わったときは具体的に褒め、自信につなげる。
- 不安やいらだちの気持ちを傾聴し、共感を示す。
- できることに目を向け、自己肯定感を高める関わりをする。
- 本人のペースを尊重し、急かさない。
- 安心できる職員をなるべく固定し、信頼関係を築く。
- 趣味や得意分野を活かし、活躍できる場面をつくる。
- 小さな成功体験を積み重ね、「伝わる喜び」を実感してもらう。
- 落ち込んでいるときはそばに寄り添い、孤独を和らげる。
- 失語による自尊心の低下に配慮し、人前での失敗体験を減らす。
- 本人の話そうとする意欲そのものを肯定的に評価する。
- 交流の場を設け、人とつながる安心感を持てるようにする。
【5】家族支援・家族指導(49〜60)
- 家族に「ゆっくり・短く・待つ」声かけの基本を伝える。
- STの指導内容を家族と共有し、家庭でも継続できるようにする。
- 家族に筆談・絵カードなど代替手段の使い方を伝える。
- 発語を遮らず最後まで待つ大切さを家族に説明する。
- 焦らず、間違いを責めない接し方を家族に助言する。
- 家庭でできる簡単な発声・会話練習を家族に提案する。
- 本人の小さな進歩を家族に報告し、安心と意欲につなげる。
- 誤った対応で本人を傷つけないよう、具体例を挙げて伝える。
- 家族の介護疲れに配慮し、相談先やレスパイトを紹介する。
- 家族と一緒にコミュニケーション訓練を行う機会をつくる。
- ケアプランの内容を家族へ説明し、協力を依頼する。
- 家族会・患者会など同じ立場の人とつながる場を案内する。
失語症・言語障害のケアプラン文例【生活・社会参加・医療】
【6】日常生活での発話機会づくり(61〜72)
- 「おはよう」「ありがとう」など日常のあいさつを習慣にする。
- 食事前に発声練習を取り入れ、口や声を慣らす。
- 買い物リストを本人が書く・読む機会をつくる。
- テレビや新聞を一緒に見て、感想を引き出す。
- 歌や童謡を通じて、無理なく発声を促す。
- 電話の応答練習を行い、実生活での自信につなげる。
- 自分の名前や住所を言う・書く練習を日課にする。
- 家事動作を通じて、言葉を使う場面を自然に増やす。
- 日記や一言メモを書く習慣をつける。
- 家族や友人との会話の時間を意識的に確保する。
- カレンダーに予定を書き込み、言葉と生活をつなげる。
- 季節の話題や行事を会話のきっかけにする。
【7】社会参加・交流(73〜84)
- デイサービスで簡単な発表や役割の機会を設ける。
- グループ活動に参加し、発言できる場をつくる。
- 地域のサロンやイベントへの参加を支援する。
- 趣味活動を通じて、言葉以外の表現も引き出す。
- 利用者同士のゲームやレクで自然な発話を促す。
- 本人ができる役割を担い、自信を持てるようにする。
- 回想法のグループに参加し、思い出を語る場を持つ。
- 失語症友の会など当事者の集まりを紹介する。
- ボランティアや軽作業など社会とのつながりを支援する。
- 外出の機会を増やし、人と関わる場面を確保する。
- 社会参加の成果を記録し、本人と一緒に振り返る。
- 季節行事への参加で、発話と楽しみの両方を引き出す。
【8】認知症併存時の対応(85〜96)
- 短い言葉で、繰り返し穏やかに伝える。
- 混乱が強いときは、絵や実物を示して理解を助ける。
- 誤りや言い間違いを否定せず、まず受け止める。
- 分からない様子のときは「大丈夫」と安心の言葉をかける。
- 会話が途切れたら、別の話題にやわらかく切り替える。
- 生活歴や馴染みの話題を会話の入り口にする。
- 昔の写真を使い、回想法で会話を引き出す。
- 論理より感情を優先し、安心感を第一に関わる。
- 認知症と失語症の両面を踏まえ、対応を統一する。
- 認知症カフェなど交流の場への参加を支援する。
- 日課や環境を一定に保ち、混乱を減らす。
- 体調や服薬の変化が言動に影響していないか観察する。
【9】安全・医療管理(97〜108)
- 痛みや不調を言葉にできない場合に備え、表情や行動を観察する。
- 定期的にバイタルを測定し、体調変化を早期に把握する。
- 受診時に症状を正確に伝えられるよう、家族・職員が同行・補足する。
- 緊急時に備え、意思表示カードや連絡先を携帯する。
- 入浴・食事時に体調の異変がないか確認する。
- 薬の副作用による言語・行動の変化を観察する。
- 言葉にできない訴えを、しぐさや表情から読み取る。
- 医療機関と情報を共有し、治療とケアを調整する。
- 定期的にST評価を受け、機能の変化を確認する。
- 誤嚥や窒息のリスクに配慮し、食事形態を調整する。
- 転倒・転落の予防に努め、安全な生活環境を整える。
- 体調不良時の連絡方法を家族・関係者と取り決めておく。
【10】将来を見据えた支援・モニタリング(109〜120)
- 言語機能の回復・維持の状況を定期的に評価する。
- 機能維持を目標に、リハビリを無理なく継続する。
- ICTや福祉用具を活用し、意思疎通を補う方法を見直す。
- 状態の変化に応じてケアプランを適宜見直す。
- 本人と家族の希望を確認し、プランへ反映する。
- 在宅生活の継続を見据え、必要なサービスを調整する。
- 将来的な施設入所も含め、選択肢を一緒に検討する。
- 終末期においても、本人の意思表示を最大限尊重する。
- 多職種で連携し、生活全体を支える体制をつくる。
- 失語症があっても安心して暮らせることを最終目標にする。
- モニタリングで「伝わった場面」を具体的に記録する。
- 達成できた目標を本人・家族と共有し、次の目標を設定する。
【11】運動性失語(ブローカ失語)への対応(121〜132)
- 理解は保たれている前提で、大人として丁寧に接する。
- 「はい/いいえ」や選択肢で答えられるよう質問を工夫する。
- 言葉が出るまで急かさず、ゆとりをもって待つ。
- うなずき・指差し・身ぶりでの表現を積極的に認める。
- よく使う言葉のカードを用意し、発話を補助する。
- 復唱や歌唱など、出やすい発話から練習を始める。
- 一語でも伝わったら肯定的に受け止め、自信につなげる。
- 書字が可能なら筆談を併用して意思を確認する。
- あいさつや定型句から、発話の成功体験を積む。
- 焦りやいらだちに配慮し、休憩を挟みながら関わる。
- STと連携し、発話を引き出す手がかり(キュー)を共有する。
- 伝えたい内容を職員が言葉にして確認し、ストレスを減らす。
【12】感覚性失語(ウェルニッケ失語)への対応(133〜144)
- 長い説明を避け、短く具体的な言葉で伝える。
- 言葉だけでなく、実物・写真・身ぶりを添えて理解を助ける。
- 言い間違い(錯語)を責めず、意図をくみ取る。
- 一度に一つの情報に絞り、混乱を防ぐ。
- 理解できているか、表情や反応で都度確認する。
- 静かな環境で、注意がそれにくい状況をつくる。
- 選択肢を実物で示し、選んでもらう形にする。
- 本人が安心できるよう、穏やかな表情と声で関わる。
- STの評価に基づき、理解を促す手がかりを統一する。
- 会話が成立しにくくても、関わりを諦めず継続する。
- ジェスチャーや描画など非言語の手段を活用する。
- 家族にも「短く・実物を見せて」の声かけを伝える。
【13】読み書き(失読・失書)への支援(145〜156)
- 大きな文字・ふりがな付きの資料を用意する。
- 絵やピクトグラムを併用し、文字の理解を補う。
- 短い文・箇条書きで提示し、読みやすくする。
- 音読を一緒に行い、読みの練習を支援する。
- なぞり書きや写し書きで書字の練習を行う。
- 名前・住所など必要な情報を書く練習を継続する。
- スタンプや記名シールで署名負担を軽減する。
- タブレットの音声読み上げ機能を活用する。
- 本人が読み書きできる範囲を把握し、無理のない課題にする。
- 重要書類は家族・職員が読み上げて確認を補助する。
- カレンダーやメモへの記入を生活リハビリに取り入れる。
- 読み書きの変化を記録し、STと共有する。
【14】環境調整・多職種連携(157〜168)
- 会話する場所の雑音・テレビ音を減らし、聞き取りやすくする。
- 照明を明るくし、表情やカードが見やすい環境にする。
- 意思表示ツールを定位置に置き、誰でも使えるようにする。
- 関わる職員で声かけ方法を統一し、混乱を防ぐ。
- ST・看護・介護・家族で情報を共有する場を設ける。
- サービス担当者会議で意思疎通の方法を確認・共有する。
- 連絡ノートで「伝わった方法」を多職種に引き継ぐ。
- 本人の好みや習慣を一覧化し、支援者間で共有する。
- 主治医・リハ職と回復状況やリスクを定期的に共有する。
- 通所・訪問・施設の各場面で同じ支援方針を徹底する。
- 福祉用具専門相談員と意思伝達機器の選定を相談する。
- 地域包括支援センターと連携し、社会資源につなぐ。
【15】食事・口腔・外出・緊急時(169〜180)
- 食事の希望を絵やメニュー表で選べるようにする。
- 口腔ケア・口腔体操で、発声しやすい状態を保つ。
- 嚥下状態を確認し、安全な食事形態に調整する。
- 外出・通院時に使える意思表示カードを準備する。
- 買い物場面で指差し・カードで選べるよう支援する。
- 窓口や受付で配慮を依頼できるよう、事前に伝える。
- 災害・緊急時の意思表示方法を家族と決めておく。
- 「痛い」「助けて」などの緊急サインを取り決める。
- 通院に同行し、医師への説明を補助する。
- 外出先でも落ち着いて意思表示できるよう声かけする。
- 移動中の不安に配慮し、安心できる声かけを行う。
- 緊急連絡先と症状メモを携帯し、いざという時に備える。
【16】意欲・QOL・看取りまで(181〜200)
- 本人の「伝えたい」「分かりたい」という思いを支援の中心に置く。
- 好きな音楽・趣味を取り入れ、生活に楽しみを増やす。
- 役割や出番をつくり、自己有用感を高める。
- 人とのつながりを保ち、孤立を防ぐ。
- 季節や行事を感じられる生活リズムを整える。
- 本人の意向を尊重し、選ぶ・決める機会を確保する。
- 家族との時間を大切にし、思い出づくりを支援する。
- 意思疎通が難しくても、表情や反応から満足度を読み取る。
- 本人らしい暮らしを支える視点でプランを組み立てる。
- 状態変化に合わせ、目標を柔軟に見直す。
- 終末期も含め、本人の希望を継続的に確認する。
- 言葉にできない意思を、これまでの言動から推し量る。
- 家族と本人の希望をすり合わせ、納得できる支援にする。
- 多職種で看取り方針を共有し、安心できる体制を整える。
- 苦痛や不快のサインを見逃さず、早期に対応する。
- 静かに過ごせる環境を整え、心身の安寧を支える。
- 本人が大切にしてきた価値観を支援に反映する。
- 最期まで一人の人として尊重し、意思を支え続ける。
- 家族の不安や悲嘆に寄り添い、支援する。
- 失語症があっても「その人らしく」生ききることを最終目標とする。
【17】場面別の活用(居宅・施設・通所・訪問)(201〜210)
- (居宅)家族が在宅で実践できる声かけと代替手段を具体的に助言する。
- (居宅)訪問リハビリでSTの言語訓練を受け、生活場面に般化させる。
- (施設)職員間で意思疎通の方法を統一し、申し送りで共有する。
- (施設)食事・入浴・レクなど日課の各場面で発話の機会を意識する。
- (通所リハ)STの訓練と集団活動を組み合わせ、意欲を引き出す。
- (通所介護)役割や発表の場を設け、人前で話す成功体験を積む。
- (訪問看護)服薬・体調管理とあわせて意思疎通の状況を観察する。
- (訪問介護)ヘルパーと意思表示ツールの使い方を共有する。
- (共通)どの場面でも「ゆっくり・短く・待つ」の基本を徹底する。
- (共通)伝わった方法を記録し、すべての関係者で引き継ぐ。
失語症・言語障害の支援でつまずきやすいポイント
文例を当てはめる前に、現場でつまずきやすい点を押さえておくと、より実態に合ったプランになります。まず多いのが、「理解できていない」と決めつけてしまうことです。とくに運動性失語では、言葉が出にくくても話の内容は分かっていることが多くあります。子ども扱いした声かけや、本人を抜きにした会話は自尊心を傷つけ、意欲の低下につながります。一人の大人として、敬意をもって向き合う姿勢が支援の土台です。
次に、「正しく言わせよう」と訂正しすぎることも避けたい対応です。言い間違いをその都度直されると、本人は話す意欲を失ってしまいます。大切なのは正確さよりも「伝わった」「分かってもらえた」という成功体験です。多少の間違いがあっても意図が伝わればよし、とおおらかに構えることで、本人は安心して言葉を出せるようになります。
また、失語症は回復の段階によって支援の重点が変わります。発症からまもない回復期は、STによる集中的な言語訓練と機能回復が中心になります。一方、状態が安定した維持期では、残された力を活かして「伝わる手段を増やす」ことや、社会参加・心理的安定に重点が移ります。今がどの段階かを意識し、モニタリングのたびに目標を見直すことが、形だけにならないケアプランのコツです。
第2表の記入例(失語症・言語障害)
文例を組み合わせると、第2表は次のように整います。「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)→長期目標→短期目標→サービス内容」の流れで、本人の言葉を主語に書くのがコツです。
| ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| うまく言葉が出ず、伝えたいことを伝えられずに困っている | 自分の意思を周囲に伝え、安心して生活できる | 絵カード・筆談で日常の希望を伝えられる | 意思伝達ツールの活用、ST訪問リハ週2回、職員・家族の声かけ統一 |
| 言葉の障害から会話を避け、外出や交流が減っている | 人との関わりを楽しみ、生活に張りを持てる | デイで簡単な役割を担い発言の場を持てる | 通所介護週2回、グループ活動・回想法への参加、成功体験の共有 |
| 家族が接し方に戸惑い、意思疎通がうまくいかない | 家族と安心してやり取りできる関係を保てる | 家族が「ゆっくり・短く・待つ」対応を実践できる | 家族指導、STからの助言共有、連絡ノートでの情報共有 |
文例を使うときの3つの注意点
- 本人を主語にする「〜できる」「〜伝えられる」と、本人の姿で目標を描くと支援の方向が明確になる。
- STの評価を反映する失語症のタイプ・程度で有効な手段が異なるため、専門職の見立てを取り入れる。
- 定期的に見直す回復・維持・低下のどの段階かで目標は変わる。モニタリングで実態に合わせて更新する。
家族へ伝えたい「接し方の基本」
失語症の支援は、ケアマネや専門職だけでなく、もっとも身近な家族の関わりが大きな鍵を握ります。家族はつい「早く言って」と急かしたり、本人の代わりに先回りして話してしまったりしがちです。悪気はなくても、こうした対応が積み重なると、本人は「どうせ伝わらない」と話す意欲を失っていきます。ケアプランの中に家族指導を位置づけ、具体的な接し方を伝えることが、生活の質を大きく左右します。
家族に伝えたい基本は、「ゆっくり・短く・待つ」の3つです。一文を短く区切り、ゆっくり話しかけ、本人が言葉を探している間はせかさず待つ。これだけで会話の成立しやすさは大きく変わります。あわせて、絵カードや筆談、写真など本人が使いやすい手段を家庭でも取り入れてもらうと、施設や事業所と一貫した支援になります。
もう一つ大切なのは、本人の小さな進歩を家族と共有することです。「今日は自分から挨拶ができました」といった報告は、家族の安心と介護を続ける力につながります。反対に、思うように回復しない時期には家族も気持ちが沈みがちです。家族会や患者会、相談窓口など、同じ立場の人とつながれる場を案内し、家族自身の支えも忘れずに計画へ盛り込みましょう。
新人ご家族にも協力してもらうとき、何から伝えればいいですか?
先輩まずは「ゆっくり・短く・待つ」の3つだけで十分よ。あれもこれもとお願いすると家族も疲れてしまうから。一つできたら次、と少しずつ。そして本人の良い変化を一緒に喜ぶ——それが何よりの後押しになるわ。
よくある質問(FAQ)
失語症と構音障害はケアプランで分けて書くべき?
本人が拒否的で会話練習が進みません。どう書けば?
言語リハビリは介護保険で受けられますか?
200事例の中からどう選べばいい?
本人がうまく話せず、目標をどこに置くか迷います。
意思疎通の状況はどう記録・評価すればいい?
- 失語症・言語障害のケアプランは、言語機能へのアプローチと「伝わる環境づくり」の両面で組み立てる。
- 意思疎通支援・STとの連携・代替手段・心理的支援・家族支援・社会参加を多面的に盛り込む。
- 失語症のタイプ(運動性・感覚性)を踏まえると、有効な手段を選びやすい。
- 紹介した200事例以上の文例はたたき台。本人の状態・意向に合わせて必ず調整する。
- 本人を主語に書き、STの評価を反映し、モニタリングで定期的に見直すことが大切。
















