高齢化社会が進む中、介護業界におけるケアマネジャー(介護支援専門員)の役割はますます重要になっています。
しかし、現場ではケアマネの人材不足が深刻化しており、「ケアマネの資格はあるけれど働かない」「なりたくない職種」と感じる人も少なくありません。
なぜケアマネがここまで不人気になってしまっているのでしょうか?
本記事では、ケアマネが敬遠される主な理由を5つ紹介し、さらにその不足を解消するための実践的な対策についても解説します。
ケアマネ不足が深刻
全国的にケアマネ不足が課題となっており、特に地方や僻地では深刻な状況です。
介護業界全体が人手不足の中でも、特にケアマネジャーの不足は深刻です。厚生労働省の調査でも、年々ケアマネ登録者数は減少傾向にあり、有資格者がいても実際に就業していないケースが多く見受けられます。高齢化の進展により、今後さらに多くのケアマネが必要とされるにも関わらず、その需要に供給が追いついていないのが現状です。特に中山間地域や離島などでは、ケアマネが1人で複数の利用者を抱える過重労働が常態化しており、働き手がさらに離れてしまうという悪循環が生まれています。
ケアマネが不人気な理由
業務量が多く責任も重い
ケアマネの仕事は、単にケアプランを作成するだけではありません。利用者や家族との面談、医療・介護サービス事業者との連携、モニタリング、書類作成、そして行政対応まで多岐にわたります。業務量が膨大である一方、責任の重さも大きく、ミスが許されない環境で精神的な負担も大きくのしかかります。特に新人ケアマネにとっては、制度や書類作成の難しさに戸惑い、早期離職につながることも少なくありません。このような背景が、ケアマネの職業イメージを「大変そう」と印象づけ、不人気の一因となっています。
書類業務やICTの負担が大きい
ケアマネの仕事では、法令に基づいた書類作成が多数求められます。ケアプラン、アセスメント、サービス担当者会議の記録など、煩雑な事務作業が日常的に発生します。さらに、近年ではICT化が進む中で、パソコンやタブレットによる入力作業も増加し、機器やシステムに不慣れな人にとっては大きな負担となっています。特に高齢のケアマネにとっては「ITへの適応が難しい」と感じ、現場を離れるきっかけになってしまうこともあります。事務量の多さとデジタル対応の両面が、ケアマネ離れを加速させています。
賃金が業務に見合っていないと感じる
ケアマネは専門性が求められるにもかかわらず、給与水準がそれほど高くないことも不人気の理由の一つです。介護福祉士などの他職種と比較しても、責任の重さや業務量に対して報酬が見合っていないと感じる人が多いのが現実です。特に主任ケアマネや経験年数が長い人であっても、昇給が頭打ちになるケースが多く、「やりがいはあるが生活が苦しい」との声が挙がっています。待遇面での不満は、やりがいのある仕事への情熱を削ぎ、他職種への転職を考える原因にもなり得ます。
孤独感や相談できる相手が少ない
ケアマネは一人で業務を担う場面が多く、相談できる相手が少ない職場環境もあります。特に小規模な事業所では、複数のケアマネが在籍していないこともあり、悩みや疑問を共有できずに孤立してしまうケースもあります。利用者や家族からのクレームに一人で対応しなければならない場面も多く、メンタル面の疲労が蓄積されやすいのも事実です。「相談する人がいない」という孤独感が、職場を離れる一因となっているのです。
ケアマネ試験や更新研修のハードルが高い
ケアマネになるには、一定の実務経験を経た上で国家資格を取得し、さらに更新研修を定期的に受ける必要があります。近年は試験の難易度が上がっており、合格率も下がっていることから「せっかく目指しても受からない」と感じる人が増えています。また、資格取得後も更新研修に時間や費用がかかるため、継続的にケアマネを続けるハードルが高いと感じる人も多いです。こうした制度的なハードルの高さも、不人気の背景にあると言えるでしょう。
ケアマネ不足を解消するための秘策とは?
今後の介護業界を支えるために、現場で実践できる具体的な対策を紹介します。
業務のICT化と事務サポートの導入
まずはケアマネ業務の効率化が必要です。ケアプラン作成支援ソフトや電子記録システムの導入、クラウド管理の推進により、書類業務の手間を減らすことが可能です。また、事務職員によるサポート体制を整えることで、ケアマネが本来の業務である利用者支援に専念できるようになります。業務負担の軽減は離職防止にもつながります。
賃金や処遇の改善によるモチベーション向上
処遇改善加算などを活用し、ケアマネの給与水準を底上げする取り組みも不可欠です。経験やスキルに応じた昇給制度の整備や、主任ケアマネへの手当充実など、頑張りが報われる環境づくりが求められます。報酬だけでなく、評価制度の見直しもあわせて行うことで、長く働き続けたいと思える職場をつくることができます。
働き方の柔軟化とメンタルケアの強化
リモート面談の導入や、時短勤務・週4勤務など多様な働き方の導入により、家庭と仕事の両立がしやすくなります。また、定期的な面談や外部カウンセラーの活用によって、孤独やストレスを抱えにくい職場づくりを進めることも重要です。孤立感の解消は、ケアマネの継続勤務に大きく寄与します。
まとめ
ケアマネが不人気な理由には、業務の煩雑さや責任の重さ、賃金面の課題、孤独感、そして制度的なハードルの高さなど、複数の要因が絡んでいます。しかし、現場の工夫や制度の見直しによって、これらの課題は確実に改善が可能です。ICT化や処遇改善、メンタルサポートの充実など、働きやすい環境を整えることで、ケアマネの魅力を再発見してもらい、今後の人材不足を解消することが求められます。誰もが安心して働ける環境づくりが、介護業界の未来を支えるカギとなるでしょう。