主任介護支援専門員、通称「主任ケアマネ」は、ケアマネジャーとして一定の経験を積んだ上で、研修を修了することで取得できる上位資格です。
介護支援専門員のキャリアアップとして注目される一方、「本当に取るべきなのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、主任ケアマネを取得することで得られるメリットと、実際に感じるデメリットの両方について詳しく解説します。
今後のキャリア選択に悩むケアマネの方にとって、判断材料となる内容です。
主任ケアマネとはどんな資格?
主任ケアマネとは、介護支援専門員として一定の実務経験を積んだ後、所定の研修を受講・修了することで取得できる資格です。
正式には「主任介護支援専門員」と呼ばれ、基本的にはケアマネ経験が5年以上かつ一定の支援件数をこなしていることが条件です。
この資格を取得することで、他のケアマネに対する助言・指導・育成の役割が求められるようになります。
ケアマネとしてのスキルをさらに高めたい人や、職場内でリーダー的役割を担いたい人にとっては、キャリアアップの大きなステップといえるでしょう。
主任ケアマネを取得するメリット
主任ケアマネを取得するメリットは以下のようなものが挙げられます。
専門性が高まり、ケアマネとしての信頼性が向上する
主任ケアマネ研修では、リスクマネジメントやチームマネジメント、多職種連携など、より高度な知識と技術が求められます。これを修了することで、ケアマネとしての専門性が大きく向上し、利用者や家族、他職種からの信頼も得やすくなります。「主任ケアマネである」という肩書きは、同じケアマネ同士の中でも一目置かれる存在となり、職場内外での役割が広がります。結果的に、より責任のある業務や研修講師などの依頼が増えるなど、信頼が実績につながる機会も増えていきます。
就職・転職に有利になり、選択肢が広がる
主任ケアマネの資格は、介護業界において人材価値の高さを証明する要素でもあります。特に、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の管理者など、一定の経験や資格を要するポジションでは、主任ケアマネの有無が採用の判断材料になることもあります。転職市場においても「主任ケアマネ歓迎」「主任資格保持者は優遇」といった求人は多く、職場選びの選択肢が一気に広がるというメリットがあります。自分のキャリアを長期的に考える上でも、大きな武器となる資格です。
処遇改善加算により給与面でもメリットがある
主任ケアマネを配置することにより、事業所側は「処遇改善加算」や「特定加算」などを取得しやすくなるため、法人としても積極的に主任ケアマネの育成・採用を行う傾向があります。その結果、主任ケアマネとして働くことで、基本給や手当が上がるケースが増えており、給与面での待遇改善が見込めます。また、役職付きとなることで昇進や昇給のチャンスも広がりやすくなります。努力が報われやすい環境になる点は、非常に大きな魅力です。
後進の育成やチームづくりに貢献できる
主任ケアマネの大きな役割のひとつに、他のケアマネへの助言・指導があります。経験の浅いケアマネの相談に乗ったり、事業所内のケアの質を高める活動を行ったりすることで、チーム全体の支援力向上に貢献できます。「人を育てる」やりがいや、自分の知識や経験を伝える喜びを実感できる点も、主任ケアマネならではのメリットです。チームワークを大切にしたい方や、リーダーシップを発揮したい方にはぴったりの役割です。
主任ケアマネを取得するデメリット
主任ケアマネを取得するデメリットは下記のようなものが挙げられます。
資格取得までに時間と労力がかかる
主任ケアマネを取得するには、まず実務経験が5年以上必要であり、さらに研修受講にも一定の時間と労力が求められます。研修は数ヶ月にわたるカリキュラムで、課題提出やグループワークなども多く、働きながら受講する場合にはスケジュール調整が難しくなることもあります。家庭や仕事と両立させるには相応の覚悟と準備が必要であり、この点が取得をためらう要因となることもあります。
責任や業務が増え、精神的な負担が大きくなる
主任ケアマネになると、他のケアマネの指導や管理、地域連携の調整役など、通常のケアマネ業務に加えてさまざまな業務を担うことになります。「主任」という肩書きがつくことで、責任の範囲が広がり、時にはトラブル対応やクレーム処理の場面にも立ち会う必要があります。職場によっては過重な業務を任されることもあり、「せっかく資格を取ったのに、かえってしんどくなった」と感じる人もいます。
手当や給与が思ったより上がらないケースもある
主任ケアマネは処遇改善加算の対象となるため、理論上は給与アップが期待されますが、すべての職場が手当を十分に反映しているわけではありません。特に小規模事業所では、加算を取得しても事業全体の運営費に回されることもあり、「主任になったのに給与がほとんど変わらない」というケースも存在します。資格取得に対する対価が明確でない場合、モチベーションの低下につながる恐れもあります。
まとめ
主任ケアマネを取得することは、ケアマネとしてのキャリアを大きく前進させるチャンスです。
専門性や信頼性の向上、就職・転職の選択肢拡大、給与アップなど多くのメリットがあります。
一方で、資格取得までの労力や、責任の増加といったデメリットも存在するため、ライフスタイルや働き方のビジョンと照らし合わせて慎重に検討することが大切です。
将来の自分のあり方を見据えながら、主任ケアマネ取得を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。