ケアマネは通帳を預かれる?法的根拠とリスク・正しい対応を解説

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在宅介護を支えるなかで、「ケアマネさんに通帳を預かってもらえないの?」「お金の管理をお願いしたい」と利用者や家族から相談されることがあります。判断能力が低下してきた方や、身寄りの少ない方ほど、その願いは切実です。

しかし結論から言えば、ケアマネジャーが利用者の通帳を預かることはできません。介護支援専門員の職務範囲や倫理規定、法的な位置づけから考えても、通帳や現金といった財産管理を担うことは認められていないのです。

本記事では、なぜケアマネが通帳を預かれないのか、その理由とリスク、トラブル事例、そして「金銭管理が必要なとき」の正しい代替手段までを、現場目線でわかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • ケアマネが通帳を預かれない理由(法的・倫理的根拠)
  • 「頼まれたから」「一時的なら」が通用しない理由
  • 金銭管理が必要なときの3つの正しい方法
  • ケアマネにできる適切なサポートの範囲
新人ケアマネ新人

一人暮らしの利用者さんに『通帳を預かってほしい』と頼まれて困っています。少額だし、断るのも気が引けて…。

ベテランケアマネ先輩

その気持ちはよくわかるわ。でもね、通帳を預かるのは絶対にダメ。あなた自身を守るためにも、理由と正しい方法を一緒に確認しましょう。

目次

ケアマネ(介護支援専門員)の業務範囲とは?

ケアマネジャーの正式名称は「介護支援専門員」です。主な役割は、介護保険サービスを利用するためのケアプラン(居宅サービス計画)を作成し、関係事業者や医療機関と連携しながら利用者の生活を支えることにあります。

ケアマネの主な業務内容
ケアプランの作成・見直しアセスメントに基づき計画を作成し、定期的に見直す
サービス担当者会議の開催多職種で支援方針を共有・調整する
相談援助利用者・家族の相談に応じ、必要な情報を提供する
モニタリングサービス提供状況や心身の変化を確認する
連絡調整医療・介護職や関係機関との連携を図る

これらが業務の中心であり、金銭や財産の管理は業務範囲に含まれていません。通帳を預かる行為は、本来の役割の外にある行為だと理解しておく必要があります。

ケアマネが通帳を預かってはいけない3つの理由

① 法的・制度的に認められていない

介護支援専門員の業務は介護保険法や関連通知で定められていますが、そこに「金銭管理」「財産管理」は含まれていません。通帳や現金を預かることは、制度上の役割を逸脱する行為になります。

② 倫理的・職業的リスクが大きい

通帳を預かれば、「使い込み」「横領」を疑われるリスクが格段に高まります。たとえ本人や家族の依頼であっても、第三者から見れば不適切と判断されかねません。万一トラブルになれば、ケアマネ個人だけでなく事業所全体の信頼を損ないます。

③ 実際にトラブル事例が報告されている

「お金がなくなった」「引き出した記録が不明確だ」といった疑いが生じ、信頼関係が一気に崩れてしまった事例も少なくありません。善意で引き受けたことが、結果として自分を窮地に追い込むことになりかねないのです。

注意

金銭トラブルは「証明の難しさ」が問題です。きちんと管理していたつもりでも、記録や第三者の目がなければ潔白を証明できません。最初から預からないことが、最大の自己防衛になります。

よくある誤解と危険なケース

新人ケアマネ新人

『本人が望んでいるなら問題ないのでは?』と思ってしまうのですが…。

ベテランケアマネ先輩

そこが落とし穴なの。よくある3つの言い訳を見ていきましょう。どれも通用しないのよ。

「本人に頼まれたから大丈夫」

本人や家族からの依頼であっても、法的に認められるわけではありません。「頼まれたからやった」では説明責任を果たせず、トラブル時にはケアマネが不利な立場に立たされます。

「一時的に預かるだけならいい?」

短期間であっても「通帳を持つ」こと自体がリスクです。少額でも横領を疑われる可能性があり、期間の長短は問題になりません。

「他の職員もやっているから」

施設職員やヘルパーが慣習的に預かっているケースも見られますが、これも原則違反です。個人の裁量ではなく、制度上認められた仕組みを使う必要があります。

金銭管理が必要なときの正しい3つの方法

「では誰が管理すればいいの?」という疑問に対しては、次の3つの方法を本人の状態に応じて使い分けます。

方法主な対象担い手
成年後見制度判断能力が不十分な方家庭裁判所が選任した後見人等
日常生活自立支援事業判断能力に不安はあるが契約は可能な方社会福祉協議会
家族による管理信頼できる家族がいる方家族(記録を残す)

① 成年後見制度を利用する

判断能力が低下している方の財産管理は、成年後見制度の活用が基本です。家庭裁判所が後見人・保佐人・補助人を選任し、通帳や預貯金を法的な責任のもとで管理します。

② 日常生活自立支援事業を利用する

社会福祉協議会が実施する「日常生活自立支援事業」では、通帳や年金の出し入れ、公共料金の支払いといった日常的な金銭管理を支援してもらえます。後見制度ほど手続きが重くないため、軽度の方に向いています。

③ 家族が代理で管理する

信頼できる家族が代理で管理し、必要に応じてケアマネや支援者と情報共有する形も多く取られます。この場合も「誰が・いつ・何に使ったか」を明確に記録しておくことが、後々のトラブル防止につながります。

ケアマネにできる適切なサポートとは

通帳そのものは預かれませんが、ケアマネには次のような間接的な支援ができます。これこそが本来の役割です。

  1. 金銭管理に不安がある場合に、成年後見制度や日常生活自立支援事業を紹介する
  2. 家族に状況を説明し、トラブルを防ぐための助言をする
  3. 必要に応じて社会福祉協議会や地域包括支援センター、専門機関へつなぐ
  4. ケアプランに「金銭管理支援」を位置づけ、適切な支援につながる道筋を整える
ポイント

ケアマネの役割は「お金を管理すること」ではなく、適切な制度や支援機関につなぐことです。「預かれません」で終わらせず、代わりの選択肢を示すことで、利用者・家族の安心につながります。

ケアマネと金銭管理に関するよくある質問

少額のお金を立て替えるのも禁止ですか?
買い物の立て替えなども、原則として避けるべきです。金額の大小にかかわらず金銭の授受はトラブルのもとになります。どうしても必要な場合は事業所のルールに従い、記録と領収書を必ず残しましょう。
利用者が「家族に管理されたくない」と言う場合は?
本人の意思を尊重しつつ、成年後見制度や日常生活自立支援事業など第三者による公的な管理を提案します。社会福祉協議会や地域包括支援センターと連携して進めましょう。
通帳を預かってほしいと強く頼まれたら、どう断ればよいですか?
「制度上できないこと」を明確に伝えたうえで、代わりに利用できる制度を具体的に紹介します。断るだけでなく代替案を示すことで、相手も納得しやすくなります。
日常生活自立支援事業と成年後見制度の違いは?
日常生活自立支援事業は契約に基づく「日常的な金銭管理」の支援で、判断能力が一定程度ある方が対象です。一方、成年後見制度は判断能力が不十分な方の財産管理を法的に行う仕組みで、より広い権限を持ちます。
まとめ

ケアマネが利用者の通帳を預かることは、法律上も倫理上も認められていません。善意であっても、自分自身を不正の疑いから守るために「預からない」ことが鉄則です。

  • ケアマネの業務範囲に財産管理は含まれない
  • 「頼まれた」「一時的」「他もやっている」はいずれも通用しない
  • 金銭管理は成年後見制度・日常生活自立支援事業・家族管理で対応する
  • ケアマネの役割は「適切な制度につなぐこと」

「通帳を預かってほしい」という気持ちに寄り添いつつ、リスクを避け、制度を通じて安全に支援する。それが利用者と自分自身の双方を守る、プロのケアマネの対応です。

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