ケアマネの業務範囲外とは?できること・できないことを正しく理解しよう

「ケアマネさんにここまで頼んでいいの?」
「どこからが業務範囲外になるの?」
介護サービスを利用していると、ケアマネジャー(介護支援専門員)にさまざまな相談をする機会があります。しかし、ケアマネには介護保険制度で定められた業務範囲があり、それを超えることはできません。
この記事では、ケアマネの業務範囲と、業務範囲外の事例を具体的に解説 します。正しく理解することで、無理な依頼やトラブルを避け、より円滑な支援につながります。
ケアマネの基本的な業務範囲
介護保険法に基づき、ケアマネの主な仕事は以下の通りです。
- アセスメント(利用者の心身状況や生活環境の把握)
- ケアプラン作成(サービスの種類や利用回数を調整)
- サービス担当者会議の開催
- サービス事業者や医師との連携・調整
- モニタリング(毎月1回以上の訪問、計画の見直し)
- 給付管理(介護サービス利用実績の確認と保険請求処理)
これらが「ケアマネの業務範囲」であり、利用者が安心して介護サービスを受けられるよう調整・管理するのが役割です。
ケアマネの業務範囲外となること
1. 直接的な介護行為
- 入浴介助
- 食事介助
- 排泄介助
- 服薬介助
→ これらは訪問介護員や看護師の役割であり、ケアマネが実施することはできません。
2. 金銭や財産の管理
- 預金の引き出しや振り込み
- 公共料金の支払い代行
- 年金の管理
→ ケアマネが金銭を預かることは法的に禁止されています。必要な場合は成年後見制度や日常生活自立支援事業を利用します。
3. 医療行為
- 注射や点滴
- 血糖測定やインスリン注射
- 褥瘡処置
→ 医療行為は医師や看護師の役割であり、ケアマネは調整役に徹します。
4. 家事代行や私的サービス
- 大掃除や庭の手入れ
- ペットの世話
- 利用者以外(家族)の洗濯・調理
→ 介護保険では対象外のため、ケアマネは手配できません。必要なら自費サービスの紹介を行います。
5. 法律・行政手続きの代理
- 相続や遺言の相談
- 住民票の取得や役所手続きの代行
→ ケアマネは専門外のため、弁護士や行政書士につなげる役割にとどまります。
よくある誤解とトラブル事例
- 「ケアマネさんに銀行に行ってもらえないか?」
- 「介護サービスが足りないからケアマネが介助して」
- 「代わりに役所に届けを出してほしい」
これらはすべて業務範囲外にあたります。ケアマネは調整役・支援役であり、直接の介護や金銭管理を担う立場ではありません。
ケアマネに頼めること/頼めないことまとめ
頼めること(業務範囲内) | 頼めないこと(業務範囲外) |
---|---|
ケアプラン作成 | 入浴・食事・排泄などの直接介助 |
サービス調整・連絡 | 預金や年金の管理 |
サービス担当者会議開催 | 医療行為(注射・点滴など) |
月1回のモニタリング訪問 | ペットの世話や家事代行 |
介護保険制度の説明 | 相続や法律相談の代理 |
業務範囲外の相談をしたいときは?
- 介護サービス事業者(ヘルパー、訪問看護)
- 地域包括支援センター
- 成年後見制度、日常生活自立支援事業
- 弁護士や司法書士などの専門家
ケアマネは「橋渡し役」として、必要に応じて適切な窓口を紹介してくれます。
まとめ
ケアマネの役割は、介護サービスを適切に組み合わせて利用者を支える調整役 です。
そのため、直接介護や金銭管理、医療行為などは 業務範囲外 にあたります。
ご家族としては、ケアマネに何でもお願いするのではなく、制度上できること・できないことを理解したうえで相談 すると、よりスムーズな支援につながります。