ケアマネとPT(理学療法士)やOT(作業療法士)って兼務可能?

リハビリ専門職であるPT(理学療法士)やOT(作業療法士)がキャリアの一環としてケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得するケースは少なくありません。
そこで気になるのが「PTやOTはケアマネと兼務できるのか?」という点です。
実際のところ、法律や制度上の制限、事業所の体制によって兼務の可否は変わります。
本記事では、ケアマネとPT・OTの兼務が可能かどうかを解説するとともに、メリット・デメリットや注意点についても詳しく紹介します。
ケアマネとPT・OTは制度上兼務可能か?
結論から言うと、制度上はケアマネとPT・OTの兼務は可能です。
ケアマネは「介護支援専門員」の資格であり、PTやOTが取得条件を満たしていれば資格試験を受けることができます。
そのため、PTやOTがケアマネ資格を取得し、業務を兼ねることは法的に禁止されていません。
ただし、実際に兼務できるかどうかは勤務する事業所の人員配置基準や体制によって異なります。
たとえば、居宅介護支援事業所で常勤ケアマネとして配置される場合は「専任性」が求められるため、リハビリ業務と同時に行うのは難しいケースもあります。
実際に兼務が認められるケース
施設内での兼務
介護老人保健施設や特養、有料老人ホームなどでは、PTやOTがリハビリ業務を担いつつ、同じ施設内でケアマネ業務を兼務するケースがあります。施設ケアマネは入所者のケアプラン作成を行いますが、PT・OTとしての視点を活かせる点がメリットです。
法人内での兼務
同じ法人が複数の事業を展開している場合、法人内の異なる事業所で「リハビリ職員」と「ケアマネ」としての役割を兼ねることが認められるケースもあります。
パート・非常勤での兼務
居宅介護支援事業所のケアマネを非常勤として担当し、別の勤務先でPT・OTとして働くケースも見られます。
ケアマネとPT・OTを兼務するメリット
多角的な視点で利用者を支援できる
PTやOTとしての専門的な身体機能評価と、ケアマネとしての生活全体の視点を組み合わせられるため、利用者にとって質の高い支援が可能となります。
キャリアの幅が広がる
リハビリ分野に加え、ケアマネジメントの知識と経験を得ることで、キャリアアップや管理職への道が開けます。法人内での評価も高まりやすいです。
人材不足への対応
ケアマネやリハ職はいずれも人材不足が深刻です。兼務できる人材は事業所にとって貴重であり、雇用機会が広がるメリットもあります。
ケアマネとPT・OTを兼務するデメリット・課題
業務負担が大きい
リハビリ業務とケアマネ業務はいずれも専門性が高く、書類作成や会議出席も多いため、兼務すると過重労働になりやすいです。
専任要件との調整が必要
居宅介護支援事業所では「常勤専任の管理者」「常勤の介護支援専門員」の配置基準があります。そのため、専任が必要なポストに就く場合は兼務できないこともあります。
利用者や家族に混乱を与える可能性
「リハビリ職員としての立場」と「ケアマネとしての立場」が重なることで、利用者や家族に混乱を招くこともあります。役割を明確に説明する必要があります。
兼務を検討する際の注意点
- 事業所の人員基準や専任要件を確認する
- 法人や管理者と事前に役割分担を明確にする
- 業務量が過重にならないよう調整する
- 利用者や家族に役割を丁寧に説明する
これらをクリアすれば、PT・OTとしての専門性を活かしながらケアマネとしても活動でき、より幅広い支援が可能になります。
まとめ
ケアマネとPT(理学療法士)やOT(作業療法士)の兼務は、制度上は可能 です。
ただし、居宅介護支援事業所の専任要件や事業所の体制によっては兼務が難しいケースもあります。
- 施設や法人内での兼務は比較的多い
- メリットは利用者支援の質向上・キャリアの幅が広がること
- デメリットは業務負担の大きさや専任要件との調整が必要なこと
PT・OTがケアマネ資格を持つことは現場にとって大きな強みです。
兼務を検討する際は、自分の働き方や事業所の体制を踏まえて慎重に判断することが大切だといえるでしょう。