訪問リハビリとデイサービスは併用可能なのか?厚生労働省の根拠を元に解説
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利用者やご家族、そしてケアマネジャーからもよく相談されるのが「訪問リハビリとデイサービスは一緒に使えるの?」という疑問です。
自宅でのリハビリも、施設でのリハビリやレクリエーションもどちらも必要なケースは少なくありません。
しかし法的なルールや介護保険の算定上の注意点を理解していないと、「後で返戻になる」「算定できなかった」というトラブルにつながることもあります。
本記事では、厚生労働省の通知やQ&Aを元に、訪問リハビリとデイサービス(通所介護)が併用可能なのか、どのような制約があるのかを解説します。
目次
訪問リハビリとデイサービスの違い
- 訪問リハビリ:理学療法士・作業療法士などが自宅を訪問し、生活環境に即したリハビリを行う。居宅生活に直結する動作訓練や家屋環境の調整が得意分野。
- デイサービス:通所介護の枠組みで、入浴や食事、レクリエーション、機能訓練指導員による軽度な運動支援を受けられる。社会参加や閉じこもり予防の要素も大きい。
目的が異なるため、両方を利用することで「生活全般の自立支援」「社会参加」「在宅生活継続」をバランスよくサポートできます。
厚生労働省のルール:併用は可能、ただし制約あり
厚労省の介護報酬Q&Aには次のように整理されています。
- 訪問リハビリとデイサービスは併用自体は可能
同じ週や同じ日に利用することは問題ありません。ケアプランに位置付け、目的が重複しなければ適切とされています。 - 同一時間帯の重複利用は算定不可
デイサービスの在所時間と訪問リハの提供時間が重なる場合は、訪問リハの給付は認められません。たとえば「午前10時〜16時のデイサービス利用中に、11時から自宅で訪問リハを実施」という形は不可です。 - 役割分担を明確にすることが求められる
同じ「リハビリ」といっても、訪問リハは専門的機能訓練、デイサービスは生活支援や参加促進と目的が異なります。ケアプランやモニタリング記録で「訪問リハ=自宅内の移動や福祉用具調整」「デイサービス=運動習慣や交流支援」といった整理をしておくと安心です。
よくあるケースと注意点
- 同日利用の組み合わせ
午前に訪問リハ、午後にデイサービスであれば算定可能。ただし送迎時間も「在所時間」に含まれるため、時間の重なりに注意が必要です。 - 目的が似通っている場合
「どちらもリハビリだから」と記録が曖昧だと、給付適正化調査で指摘される恐れがあります。利用目的や提供内容の違いをきちんと記載することが大切です。 - 訪問リハと通所リハの違いと混同しない
デイサービス(通所介護)と、通所リハビリ(通所リハ=デイケア)は別のサービス区分です。訪問リハと通所リハの併用に関するルールとは区別して整理しましょう。
ケアマネジャーが押さえるべき実務ポイント
- サービス担当者会議で、訪問リハとデイサービスの目的を明確に分ける。
- ケアプラン2表には「利用時間帯」を具体的に記載して重複を避ける。
- 提供票や記録で、訪問リハは「居宅での立ち上がり訓練・福祉用具評価」、デイサービスは「機能訓練指導員による運動と交流」といった差別化を徹底する。
まとめ
訪問リハビリとデイサービスは、介護保険制度上「併用可能」です。
ただし厚労省のルールにより、同一時間帯の重複利用は不可とされています。ケアプラン作成時には目的の整理と時間帯の調整が不可欠です。
両者を適切に使い分ければ、自宅での自立支援と社会参加の両立が可能になり、利用者の生活の質を高めることができます。