他職種連携と多職種連携の違いとは?介護・医療現場でわかりやすく解説
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医療や介護、福祉の現場では「連携」が非常に重要です。
その中でよく使われる言葉に「他職種連携」と「多職種連携」があります。
どちらも似たような響きですが、実際にはニュアンスや使われ方に違いがあります。
「どう違うの?」「どちらが正しいの?」「現場ではどう使い分けているの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、他職種連携と多職種連携の違いを徹底解説し、それぞれの特徴・メリット・事例を紹介します。
さらに、現場で実際に活用する際のポイントもわかりやすくまとめました。
目次
他職種連携とは?
定義
他職種連携とは、自分以外の専門職(=他の職種)と協力することを指します。
たとえば、介護職が看護師と連携する、理学療法士がケアマネジャーと情報共有する、といったケースです。
特徴
- 「自分」と「他の職種」の関係性に焦点
- 主観的な視点(自分にとっての他職種)で使われやすい
- 個人間や少数の専門職同士の協力を表すことが多い
使用例
- 「介護職として看護師やリハ職と他職種連携を図る」
- 「利用者の状態を他職種と共有する」
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多職種連携とは?
定義
多職種連携とは、複数の異なる専門職が協力し合うことを意味します。
1対1に限らず、チームとして様々な専門職が関わる形です。
特徴
- チーム医療・チームケアに関連する用語
- 客観的な視点(全体を俯瞰して見たときの多職種)で使われる
- カンファレンスやサービス担当者会議などで用いられる
使用例
- 「在宅ケアでは医師・看護師・介護職・ケアマネなどの多職種連携が不可欠」
- 「地域包括ケアシステムの実現には多職種連携が重要」
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他職種連携と多職種連携の違いを比較
項目 | 他職種連携 | 多職種連携 |
---|---|---|
意味 | 自分以外の専門職と協力すること | 複数の専門職がチームで協力すること |
視点 | 個人視点(自分と他職種) | チーム視点(全員を含めた多職種) |
関係性 | 1対1や少人数の連携 | チーム全体の協働 |
使用場面 | 実務の中でのやり取り | 会議・地域包括ケア・制度の説明など |
例 | 看護師と介護職が情報共有 | 医師・看護師・リハ・ケアマネ・薬剤師が会議で協働 |
現場での使い分け
- 日常業務で「自分が他の専門職と連携する」とき → 他職種連携
- 会議やチーム全体で「多様な専門職が関わる」とき → 多職種連携
つまり、個人の視点か、チーム全体の視点かによって使い分けるのが分かりやすいポイントです。
他職種連携のメリット・課題
メリット
- 利用者の情報を共有しやすい
- 他の専門職の視点を学べる
- 誤解やトラブルを減らせる
課題
- 個人の連携に依存しやすい
- 他職種とのコミュニケーションが不足すると機能しにくい
多職種連携のメリット・課題
メリット
- 利用者をチーム全体で支援できる
- 複合的な課題に対応可能
- 地域包括ケアに直結する
課題
- 会議や調整に時間がかかる
- 意見が多様すぎてまとまりにくい場合がある
- 主体性が曖昧になりやすい
介護・医療現場における事例
他職種連携の事例
- 訪問介護職が利用者の食欲低下を看護師に報告 → 看護師が受診を提案 → 栄養士とも情報共有し改善へつなげる。
多職種連携の事例
- サービス担当者会議で医師・看護師・介護職・ケアマネ・薬剤師が集まり、利用者の在宅療養方針を決定する。
他職種連携・多職種連携を成功させるポイント
- 情報共有の徹底
記録・報告・会議での共有を怠らない。 - 相互理解を深める
他職種の役割や専門性を理解し、尊重する。 - チーム内での役割分担
誰が何を担うかを明確にしておく。 - ICTの活用
電子カルテや共有アプリを使い、情報をタイムリーに確認できる体制を整える。
まとめ
「他職種連携」と「多職種連携」は似ているようで異なる概念です。
- 他職種連携:自分と他の職種との関わり(個人視点)
- 多職種連携:複数の職種がチームで関わること(チーム視点)
どちらも利用者に質の高い支援を提供するために不可欠であり、介護・医療・福祉の現場では両方を意識した取り組みが求められます。