医師への手紙の宛名はどう書く?先生・御侍史・御机下の正しい使い方を徹底解説

病院の先生にお礼の手紙や紹介状を送るとき、宛名の書き方に迷う人は多いものです。
「先生様でいいの?」「御侍史って何?」「院長先生にはどう書くの?」と悩んだ経験はありませんか?
医師への手紙は、ビジネスマナーとは異なる独特の慣習があります。
この記事では、医師宛ての手紙における正しい宛名の書き方や敬称、「御侍史」「御机下」の使い方をわかりやすく解説します。
医師への宛名の基本は「先生」
医師宛の手紙の敬称は「先生」が正解です
医師という職業自体が専門職であり、社会的な尊敬を示す表現として「先生」が広く用いられています。
誤った例
・〇〇先生様
・〇〇先生御中
正しい書き方
・〇〇先生
「先生」と「様」はどちらも敬称のため、「先生様」は二重敬称となり誤りです。
また、「御中」は組織宛てに使う表現のため、個人の医師宛てには使いません。
宛名の書き方の基本構成
医師に手紙を送る場合は、宛名を以下の順番で書きます。
- 病院名(または勤務先名)
- 診療科名(省略せず正式名称で)
- 医師名+敬称
例文
東京都〇〇市〇〇町1-2-3
〇〇病院
内科 〇〇先生
封筒や便箋の宛名は中央に大きく書き、敬称は「先生」で統一します。
「御侍史」「御机下」とは?意味と使い方
医師宛の正式な手紙や紹介状などでよく使われる表現が、「御侍史(ごじし/おんじし)」と「御机下(ごきか/おんきか)」です。
これらは、医師に対して特に敬意を表すための言葉で、医療・学会・公的文書などでは現在も使われています。
御侍史(ごじし/おんじし)とは
「侍史」とは、「お側に仕える人」を意味します。
そのため、「御侍史」は「先生の側にいる方を通じて」という意味になり、
直接本人に手紙を届けることを遠慮して使う表現です。
宛名に「先生」と書かず、「〇〇先生 御侍史」とするのが正式な書き方です。
つまり、「〇〇先生に直接お渡しするのは恐れ多いので、関係者を通じてお届けします」という敬意を示す表現です。
例文
〇〇病院
外科 〇〇先生 御侍史
読み方は「ごじし」または「おんじし」で、どちらでも間違いではありません。
ただし現代では「ごじし」と読むのが一般的です。
御机下(ごきか/おんきか)とは
「机下」とは「あなたの机の下に置かせていただきます」という意味で、
こちらも相手に対して極めて丁寧な敬意を示す表現です。
宛名の末尾に「御机下」と記すことで、「先生の机の下に手紙を置かせていただきます」という謙譲の意を表します。
例文
〇〇病院
循環器内科 〇〇先生 御机下
読み方は「ごきか」または「おんきか」。
やや古風な表現ですが、医療現場や公的文書では今も用いられています。
「御侍史」と「御机下」の違い
| 表現 | 意味 | 使用場面 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 御侍史 | 側近を通じてお届けするという意味 | 医療・紹介状・公的な手紙 | ごじし/おんじし |
| 御机下 | 相手の机の下に置くという意味(直接渡すのを避ける) | 医療機関や研究機関への丁寧な書簡 | ごきか/おんきか |
両者とも相手への敬意を示す点では同じであり、どちらを使っても問題ありません。
紹介状や診療情報提供書などでは「御侍史」が使われることが多く、ビジネス的な挨拶状や礼状では「御机下」も見られます。
宛名の具体例
例1:個人の医師宛て
〇〇病院
整形外科 〇〇先生 御侍史
または
〇〇病院
整形外科 〇〇先生 御机下
※どちらも正しい表現です。特に紹介状や依頼文には「御侍史」がよく使われます。
例2:院長宛て
〇〇病院
院長 〇〇先生 御侍史
役職名を先に書き、個人名の後に敬称を付けます。
「〇〇院長先生」や「院長様」とは書かないように注意しましょう。
例3:診療科宛て(複数の医師に宛てる場合)
〇〇病院
内科 御中
この場合は組織宛になるため、「御侍史」や「御机下」は使わず、「御中」で締めます。
封筒の書き方
表面中央に宛名を大きく書き、右上に切手を貼ります。
宛名は正式名称を略さず記入し、「〇〇先生 御侍史」「〇〇先生 御机下」まできちんと記載します。
裏面左下に自分の住所と氏名を記入し、丁寧な印象を与えるよう清書します。
毛筆・万年筆・ボールペンいずれでも構いませんが、黒インクで統一しましょう。
手紙本文の例文
宛名:
〇〇病院
消化器内科 〇〇先生 御侍史
本文:
拝啓
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたびは、当事業所の利用者〇〇様の診察に際し、丁寧なご対応とご指導を賜り誠にありがとうございました。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
署名:
令和〇年〇月〇日
〇〇介護支援センター
介護支援専門員 〇〇〇〇
まとめ
医師への手紙の宛名は、基本的に「〇〇先生」で問題ありません。
しかし、紹介状や依頼状など公的で丁寧な文書では、「〇〇先生 御侍史」や「〇〇先生 御机下」とすることで、より礼節を重んじた印象になります。
使い分けのポイントは以下の通りです。
・通常の手紙やお礼状:〇〇先生
・紹介状・正式文書:〇〇先生 御侍史 または 〇〇先生 御机下
・病院や診療科宛て:〇〇病院 御中
宛名の正しい書き方を身につけることで、相手に対して敬意を示し、信頼関係をより深めることができます。















