ケアマネに不信感を抱いたときの対処法|家族として知っておきたいポイント

「ケアマネさんに頼んでも動いてくれない」「本当に親身に考えてくれているの?」
介護を利用している家族の中には、ケアマネジャー(介護支援専門員)に対して不信感を抱いてしまう人も少なくありません。
しかし、その多くは「誤解」や「伝わり方のズレ」から生まれるものです。
この記事では、ケアマネに不信感を持つ理由と、上手に関係を築くための具体的な対処法を、家族目線でわかりやすく解説します。
なぜケアマネに不信感を抱くのか
1. 連絡が遅い・反応が薄い
介護の相談をしても、すぐに返事がないと「放置されているのでは?」と感じてしまいます。
しかしケアマネは、1人で20〜35人の利用者を担当しており、訪問・会議・書類作成などに追われているのが現実です。
ただし、家族の立場から見れば「連絡が遅い」ことが不安に直結するため、連絡方法や緊急時の対応ルールを事前に決めておくことが大切です。
2. 利用者や家族の話を十分に聞いてくれない
「こちらの希望を伝えても、あまり聞いてくれない」「説明が一方的」と感じるケースもあります。
ケアマネ側は制度上のルールや予算の制約を踏まえて判断しているため、現実的に難しい内容は慎重に対応している場合も多いです。
とはいえ、利用者・家族の思いをしっかり受け止める姿勢がないと不信感は募るため、面談時には希望を紙にまとめて渡すなど、意見を明確に伝える工夫が有効です。
3. サービス事業所との関係を疑ってしまう
「特定のデイサービスばかり勧められる」「他の選択肢を出してくれない」と感じると、
「ケアマネがその施設とつながっているのでは?」と疑いたくなるものです。
介護保険制度では、ケアマネは中立・公正な立場で支援を行う義務があります。
ただし、地域によっては選択肢が限られていたり、利用枠に空きがない場合もあります。
「なぜその事業所を勧めるのか」を率直に聞くことで、選定の理由を明確にしてもらうのがおすすめです。
4. 書類や説明がわかりにくい
ケアプランやモニタリングの内容が専門用語だらけで理解できず、「何をしているのか分からない」と不信感を持つこともあります。
その場合は、「具体的にどの部分がこう変わるのか」「目的は何か」を確認しましょう。
ケアマネには**説明責任(インフォームド・コンセント)**があるため、理解できるまで説明を求めて問題ありません。
5. 態度が冷たい・信頼関係が築けない
言葉づかいや対応の仕方で「冷たい」「事務的」と感じてしまうこともあります。
ケアマネは多忙な中で事務処理を同時進行しているため、時に余裕がなく見えることも。
一方で、家族にとっては生活の一部を任せる相手ですから、信頼関係がないと不安になります。
小さなことでも「こうしてくれると助かります」と伝えることで、関係が改善することも少なくありません。
不信感を感じたときの対処法
1. まずは直接話す
不信感をそのまま抱えたままだと、関係は悪化してしまいます。
感情的にならず、
「最近少し不安に感じていることがあるのですが…」
と柔らかい表現で話を切り出してみましょう。
ケアマネ本人も、改善点を知るきっかけになります。
2. 第三者に相談する
直接言いづらい場合は、地域包括支援センターに相談するのがおすすめです。
包括支援センターは中立的な立場で、ケアマネとの調整や相談対応を行っています。
「他のケアマネに変更したい」「客観的な意見が欲しい」ときもサポートしてもらえます。
3. ケアマネの変更を検討する
どうしても信頼関係を修復できない場合は、ケアマネを変更することも可能です。
居宅介護支援事業所に「担当を変えてほしい」と伝えれば、他のケアマネに引き継ぐことができます。
また、事業所ごと変更したい場合は、地域包括支援センターに相談して紹介してもらいましょう。
4. ケアプランの内容を自分でも把握する
「何をしているか分からない」状態が不信感を生むことも多いです。
サービス内容・回数・目標などを自分でも確認し、理解を深めることで納得感が生まれます。
疑問に思ったときは、「これはどういう目的ですか?」とその都度聞くことが大切です。
ケアマネと良い関係を築くためのポイント
- 不満や要望はため込まずに伝える
- 感謝の言葉も意識して伝える
- 面談や連絡は記録に残す(ノートなど)
- ケアマネを“パートナー”として信頼する
ケアマネは、介護サービスを調整する“司令塔”ですが、同時に「人」です。
家族とケアマネがお互いに信頼し合える関係を築くことが、結果的に利用者本人の生活の質(QOL)を高めることにつながります。
まとめ:不信感は「話し合い」と「理解」で解消できる
よくある不信感 | 原因の例 | 対処法 |
---|---|---|
連絡が遅い | 多忙・優先順位の違い | 連絡ルールを決める |
話を聞いてくれない | 制度の制約・伝達不足 | 希望を整理して伝える |
特定の事業所を勧める | 空き状況・連携のしやすさ | 理由を質問して確認する |
態度が冷たい | 余裕のなさ・誤解 | 話し方・伝え方を変える |
ケアマネとの関係がうまくいかないと、介護そのものがストレスになります。
しかし、不信感の多くは「お互いの認識のずれ」から生まれるもの。
話し合いを重ね、理解を深めることで、信頼関係は必ず取り戻せます。
介護はチームで支えるもの。
家族もケアマネも、利用者を思う気持ちは同じです。
一方通行ではなく、「協力し合う関係」を目指しましょう。