在宅介護を支えるケアマネジャーにとって、病院との連携は欠かせない業務の一つです。
入退院の調整や医療情報の共有、継続的なケアプランの作成など、病院とのスムーズなやり取りは利用者の生活の質を大きく左右します。
しかし、病院側との連携がうまくいかずに悩むケアマネも少なくありません。
本記事では、ケアマネが病院と良好な関係を築き、連携を円滑に行うための具体的なコツを紹介します。
日々の業務にすぐに活かせる実践的な内容です。
ケアマネが病院と上手く連携するコツ
ケアマネが病院と上手く連携するコツについて説明していきます。
以下のようなことを実践していくことで上手に連携することができます。
入退院支援部門や医療ソーシャルワーカーと顔の見える関係を築く
病院との連携をスムーズにするためには、まず「誰と、どのように連絡を取るのか」を明確にすることが重要です。多くの病院では、入退院支援部門や医療ソーシャルワーカー（MSW）が介護職との窓口になります。ケアマネとしては、入退院支援室の担当者やMSWと顔の見える関係を構築することで、退院調整や情報提供がスムーズに進むようになります。一度の連絡だけで終わらず、日頃から「このケアマネは信頼できる」と思ってもらえる関係を築くことが連携の第一歩となります。
医療情報の受け取り・共有方法を明確にしておく
病院との連携では、利用者の医療情報をいかに正確かつ迅速に共有できるかがカギとなります。退院前のカンファレンスで情報が出揃っていなかったり、退院当日に急な連絡が来るなど、現場ではトラブルが起きがちです。そこで、あらかじめ病院側と「どのタイミングで、どの手段で、誰から情報をもらうのか」を明確にしておくことが大切です。FAX・電話・メールなど複数の連絡手段を持っておくとともに、情報の受け取り担当者も施設内で共有しておくことで、連携ミスを防ぐことができます。
ケアマネ自身が医療知識をある程度理解しておく
ケアマネは医師や看護師のような専門医療職ではありませんが、最低限の医療知識を身につけておくことは、病院との連携において大きな強みとなります。たとえば、服薬管理、褥瘡、感染症、リハビリの可否といった点を理解しておくと、病院からの情報を的確に読み取り、適切なケアプランに活かすことができます。さらに、医療職との会話もスムーズになり、「このケアマネは話が通じる」と信頼を得ることができるのです。医療知識の習得は、利用者支援の質を高めると同時に、病院との連携強化にもつながります。
退院前カンファレンスには必ず参加し、現場の視点を伝える
退院前カンファレンスは、病院と介護側が利用者の今後の生活を協議する重要な場です。ケアマネが必ず参加し、在宅や施設での支援体制、受け入れ可能なサービス、家族の意向など、現場の情報を積極的に伝えることが求められます。病院側は患者の医療面に重きを置きがちですが、ケアマネの視点から生活面や介護サービスの可否を共有することで、より現実的な退院計画が立てられます。「参加するのが当たり前」と捉え、事前に準備をして臨むことが円滑な連携につながります。
普段から情報共有の姿勢を持ち、双方向の関係を意識する
病院との連携は一方通行では成り立ちません。ケアマネからも利用者の生活状況や在宅での様子、家族の介護力などの情報を積極的に提供することで、病院側も安心して退院支援を行うことができます。逆に「ケアマネからは何も情報がない」「連絡しても返事が遅い」といった印象を与えてしまうと、連携はうまくいきません。日頃から定期的に連絡を取り合う姿勢や、緊急時にすぐ対応できる体制を整えておくことで、双方向の信頼関係が生まれ、結果として利用者の安心した療養生活にもつながります。
病院との連携を強化するために意識したいこと
日常業務に取り入れられる工夫や、制度を活用した連携の強化についてご紹介します。
地域連携パスやICTツールを活用する
病院と介護事業所が情報を共有するために、多くの地域で「地域連携パス」や「情報連携シート」が活用されています。これに加えて、最近ではICTツールを使ってリアルタイムで情報共有が可能になっています。例えば、クラウド型のケアマネ支援システムを導入すれば、病院とのやり取りや書類管理もスムーズに行えるようになります。ツールの導入は初期対応に手間がかかりますが、一度仕組みが整えば業務の効率化にもつながり、結果として連携ミスの防止やサービスの質向上に寄与します。
退院支援加算や介護報酬制度を理解して連携に活かす
ケアマネが病院と連携する際には、介護報酬制度上の「退院・退所加算」や「医療連携加算」などを上手に活用することも重要です。これらの加算は、医療と介護の適切な連携を促進するための制度であり、ルールを理解し、適切な手続きを踏むことで報酬にも反映されます。加算要件を知っておくことで、「なぜカンファレンスに参加が必要なのか」「どのような情報提供が求められるのか」といった背景もクリアになり、制度を活用した建設的な連携が図れるようになります。
まとめ
ケアマネが病院と上手に連携するためには、単なる情報のやり取りに留まらず、信頼関係の構築や共通理解の促進が不可欠です。
医療情報の受け取り体制を整え、退院前カンファレンスへの積極的な参加、日常的な情報共有の姿勢など、ひとつひとつの対応が連携の質を高めていきます。
また、ICTの活用や制度面の知識も連携強化の助けとなります。
病院との連携は利用者の安心した生活を支える要となるため、ケアマネ自身の工夫と意識が大切です。
