ケアマネのモニタリング業務のコツ|記録の書き方と見落とし防止

ケアマネジャーの業務のなかでも、モニタリングは「ケアプランの点検・調整」を担う重要な仕事です。けれど「月1回訪問しているのに、変化に気づけなかった」「記録が毎回『変わりなし』になる」と悩む方は少なくありません。
結論から言うと、モニタリングの質は「訪問前の準備」と「前回との比較」でほぼ決まります。この記事では、運営基準で決められたルールを押さえたうえで、訪問前の準備、観察のチェックリスト、記録の書き方(良い例・悪い例)、ケアプラン見直しの判断基準まで、新任から中堅まで使える形で整理します。
- モニタリングの目的と運営基準のルール(訪問頻度・テレビ電話の要件)
- 訪問前の準備と、当日の観察チェックリスト
- あとで活きるモニタリング記録の書き方と良い例・悪い例
- ケアプランを見直すべきサインと判断の流れ
- 質を安定させる仕組みづくり
モニタリングとは?目的と運営基準のルール
モニタリングとは、ケアプランに沿ったサービスが適切に提供され、利用者の目標達成に向かっているかを定期的に確認・評価する業務です。ケアマネジメントの流れ(アセスメント→ケアプラン原案→サービス担当者会議→サービス提供→モニタリング→再アセスメント)の中で、プランを回し続けるための「点検・調整」の役割を担います。
たとえば転倒でADL(日常生活動作)が下がった、認知機能が変化した、家族の介護体制が変わったといったときには、サービスの内容や頻度を見直す必要があります。その変化をいち早くつかむのがモニタリングです。
居宅介護支援のモニタリングの基本ルール
| 項目 | 運営基準の考え方 |
|---|---|
| 訪問・面接 | 少なくとも月1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接する |
| 記録 | 少なくとも月1回、モニタリングの結果を記録する |
| テレビ電話装置等の活用 | 2024年度の改定で、一定の要件を満たせばテレビ電話装置等での面接も可能になった(利用者の同意、サービス担当者会議等での主治医・担当者等の合意、少なくとも2月に1回は居宅を訪問する等) |
| 特段の事情 | 入院など利用者側の事情で訪問・面接ができない場合は、その事情を記録に残す |
モニタリングを訪問できない例外の扱いは、モニタリングの「特段の事情」の解説記事で詳しくまとめています。
新人毎月訪問しているのに、記録が「変わりなし」ばかりになってしまいます……。
先輩「変わりなし」と書く前に、前回と何を比べたかを思い出してみて。比較する物差しを持つだけで、見える変化がぐっと増えるのよ。
モニタリングの質を決める訪問前の準備
モニタリングは、訪問してから考えるのではなく、訪問前に「今月確認すること」を3つに絞っておくことで質が上がります。準備に使う時間は10〜15分で十分です。
- 前回の記録と第2表を読み返す前回のモニタリング内容と、ケアプラン第2表の短期目標・サービス内容を確認します。
- 事業所からの報告を確認する訪問介護の実施記録、通所の連絡帳、訪問看護の報告書などから、気になる記載を拾います。
- 医療・生活の出来事を確認する受診・入退院、薬の変更、家族の状況の変化がなかったかを把握します。
- 今月の確認ポイントを3つ書き出す「入浴後のふらつき」「デイの欠席理由」「主介護者の睡眠」など、具体的に書きます。
当日の観察チェックリスト|見落としを防ぐ視点
本人の「大丈夫」という言葉だけで判断せず、表情・声・部屋の様子・生活の痕跡も含めて観察します。毎回同じ物差しで見ると、小さな変化に気づきやすくなります。
| 視点 | 確認したいこと | 気づきの例 |
|---|---|---|
| 身体状況 | 歩行・移乗、食事量、体重、皮膚、睡眠 | 歩く速さが遅い、ズボンがゆるい |
| 精神・認知 | 表情、会話の反応、意欲、物忘れ | 同じ話のくり返しが増えた |
| 服薬・医療 | 飲み忘れ、残薬、受診状況 | 薬カレンダーに飲み残しが多い |
| 生活環境 | 室内の片づけ、冷蔵庫、ごみ、室温 | 冷蔵庫に賞味期限切れの食品が増えた |
| サービス利用 | 利用状況、満足度、欠席の理由 | デイを休みがちになっている |
| 家族・介護者 | 介護負担、体調、仕事との両立 | 主介護者の表情が疲れている |
| 目標の達成度 | 短期目標に近づいているか | 「一人で買い物に行く」が実現できた |
新人本人が「大丈夫」と言うと、つい安心してしまいます。
先輩言葉と事実がずれていないかを見るのが私たちの仕事よ。冷蔵庫、薬の残り、家族の表情――言葉以外のサインに目を向けてみてね。
モニタリング記録の書き方と注意点
主観的情報と客観的情報を分けて書く
記録では、利用者や家族が述べた内容(主観)と、ケアマネが観察・確認した事実(客観)を分けて書きます。「本人は『問題なく過ごせている』と話していたが、居間から台所への移動時に2回ふらつきが見られた」のように、言葉と事実のずれも含めて書くと、後の判断材料として活きます。
記録に入れたい5つの要素
- 訪問日時・場所・面接した人(本人・家族)
- サービスの実施状況(計画どおり提供されているか)
- 本人・家族の満足度や意見
- 心身・生活の状況と、前回からの変化
- 目標の達成状況と、今後の方針(継続・調整・見直し)
良い記録・悪い記録の例
| 悪い例 | 良い例 |
|---|---|
| 元気そうだった。特に問題なし。 | 訪問時、居間で杖を使い移動。前回と比べ歩行速度に変化なし。この1か月の転倒なし。 |
| デイを楽しんでいる様子。 | 週2回の通所を計画どおり利用。本人「体操の時間が楽しみ」。連絡帳では食事を全量摂取。 |
| 家族も問題ないとのこと。 | 長女より「夜間のトイレ介助で眠れない日が週2回ほどある」と話あり。介護負担の増加がうかがえる。 |
| プラン継続。 | 短期目標「自宅内を一人で移動できる」は達成に向かっている。現行プランを継続し、次回は入浴時の様子を確認する。 |
記録の文例をまとめて見たい人は、モニタリングシートの文例760記入例も参考にしてください。
ケアプランを見直すべきサインと判断の流れ
変化に気づいても、変化=すぐにプラン変更ではありません。目標の達成や課題の解決に支障があるかどうかで判断します。
| サイン | 考えられる対応 |
|---|---|
| 転倒・入院・病状の変化があった | 再アセスメントを行い、必要に応じてサービス担当者会議を開いてプランを見直す |
| サービスを嫌がる・休みがち | 理由を本人と事業所に確認し、時間帯や内容、事業所の変更を検討する |
| 短期目標を達成した | 次の目標を本人と話し合い、プランを更新する |
| 家族の介護負担が増えた | ショートステイや訪問系サービスの追加、家族の相談先の案内を検討する |
| 心身の状態が大きく変わった | 区分変更申請の必要性を検討する |
サービス内容に大きな変更が必要なときは、再アセスメントとサービス担当者会議を経てケアプランを変更します。日程や回数の軽微な変更で済む場合の扱いは、保険者の考え方も確認しておきましょう。
モニタリングの質を高める仕組みづくり
- チェックリストを活用する:身体状況・精神状態・服薬・サービス満足度・家族の介護負担を毎回同じ基準で確認し、観察漏れを防ぐ
- ICTツールで情報共有する:事業所との連絡をクラウドやチャットで共有し、訪問前に最新の状況を把握する
- チームでケース検討を行う:判断に迷うケースを事業所内で共有し、一人では気づけない課題や対応策を見つける
- 訪問スケジュールを固定する:毎月の訪問日をある程度決めておくと、訪問漏れや月末の駆け込みを防げる
よくある質問(FAQ)
モニタリングは毎月必ず利用者宅で行う必要がありますか?
「変わりなし」と書いてはいけないのですか?
モニタリングで変化を見つけたら必ずプラン変更が必要ですか?
短時間の訪問でも質を保つには?
利用者が入院中のモニタリングはどうすればいいですか?
- モニタリングはケアプランの「点検・調整」。原則月1回の居宅訪問・面接と、月1回の記録が基本
- テレビ電話での面接は要件つきで可能だが、少なくとも2月に1回は居宅を訪問する
- 訪問前に確認ポイントを3つに絞り、チェックリストで毎回同じ物差しで観察する
- 記録は主観と客観を分け、事実を具体的に、前回との変化と目標の達成状況を書く
- 変化=即変更ではなく、目標達成への支障の有無で見直しを判断する
















