ケアプランの軽微な変更とは?取扱い方法や見え消しの書き方を解説

ケアプランを作成・運用していく中で、「軽微な変更」と「本格的な変更」の違いが分かりづらいと感じるケアマネジャーは少なくありません。
軽微な変更に該当するかどうかで、サービス担当者会議の要否や記録方法、さらに給付管理の実務にも影響します。
また、軽微な変更時には「見え消し」での修正が原則とされており、実務の現場で迷いが生じやすいポイントでもあります。
本記事では、ケアプランの軽微な変更とは何か、どのように取り扱い、どのように見え消し記載すべきかをわかりやすく解説します。
ケアプランにおける軽微な変更とは?
ケアプランの「軽微な変更」とは、居宅サービス計画書(ケアプラン)の基本方針や大きな目標を変えるものではなく、利用者の生活状況やサービス提供において細部を調整する程度の変更を指します。
例えば、サービス提供曜日の調整や時間の前後の入れ替え、短期間のサービス回数増減などが該当します。
これらは利用者の心身の状態や生活環境に大きな影響を与えるものではないため、原則としてサービス担当者会議を開かなくても取り扱うことが可能です。
ただし、「軽微な変更」であっても、必ず理由を明記し、利用者や家族の同意を得ることが重要です。
記録上は正式な変更であることに変わりはないため、軽視してはいけません。
軽微な変更に該当する具体例

サービス提供時間の前後調整
訪問介護や訪問看護の時間帯を、午前から午後に変更するといったケースは軽微な変更とされます。利用者の生活習慣や家族の都合に合わせて柔軟に調整できる範囲です。ただし、時間帯の変更が継続的に生活のリズムを変えてしまう場合は、本格的な変更として扱うべきこともあるため、判断には注意が必要です。
サービス提供曜日の変更
デイサービスの利用曜日を月曜日から水曜日に変更する場合なども軽微な変更に含まれます。サービス内容自体が変わるわけではなく、利用の枠組みが同じであることから、通常はサービス担当者会議を省略可能です。ただし、他サービスや家族の支援体制との調整に大きく影響する場合は慎重に扱いましょう。
短期間の回数変更
一時的に訪問リハビリの回数を週2回から週3回に増やすなど、短期間かつ利用者の状態改善を目的とした変更は軽微な範囲とされます。例えば、退院直後で一時的に支援が必要な場合などです。これらは短期的な変更として扱いますが、長期にわたり継続する場合は正式な変更が求められます。
軽微な変更と本格的な変更の違い
軽微な変更と本格的な変更を区別することは、ケアマネジャーの実務において非常に重要です。本格的な変更は、ケアプランの「総合的な援助の方針」や「長期目標」「短期目標」といった基本的な部分に影響を与えるものです。例えば、在宅生活の継続から施設入所への方針転換や、サービス種類の追加・廃止、給付管理に大きな変更が伴うケースは本格的な変更とみなされます。この場合は、サービス担当者会議を開催し、多職種との合意形成が必須です。一方で軽微な変更は、プランの骨格を揺るがさない範囲での微調整に留まります。実務上は、「変更によって生活の質や介護保険給付の大枠が変わるかどうか」を基準に判断すると分かりやすいでしょう。
軽微な変更の取扱い方法
サービス担当者会議の省略
軽微な変更の場合は、サービス担当者会議を省略できる点が大きな特徴です。ただし、担当者会議を行わないからといって記録を残さないのは誤りです。必ず「軽微な変更として取り扱った理由」を記録に残し、利用者・家族の署名を得ることが必要です。
給付管理上の取扱い
軽微な変更は給付管理にも影響を与えるため、必ず給付管理票や実績データと一致させる必要があります。例えば、訪問介護の時間変更があれば、提供票と実績票の整合性を取ることが求められます。これを怠ると、後日の返戻や査定のリスクとなるため注意が必要です。
利用者・家族への説明
軽微な変更であっても、利用者や家族への説明と同意は必須です。後日「聞いていない」とトラブルになるケースを防ぐため、口頭だけでなく書面での確認が望ましいといえます。
ケアプラン修正時の「見え消し」とは?
ケアプランの変更は「見え消し」で修正することが原則とされています。
見え消しとは、変更前の記載を二重線で残したまま、横に新しい記載を加える方法です。
これにより、後から見ても「いつ」「どのように」変更が行われたのかが明確に分かるようになります。
見え消しは、監査や実地指導の場で非常に重視される部分であり、不自然に跡形なく消去してしまうと「改ざん」と受け取られかねません。
軽微な変更の際も必ず見え消しで対応することが求められます。
見え消しの具体的な書き方
二重線を引いて残す
修正前の文章を完全に消さず、二重線で打ち消し、その横または下に新しい文章を記載します。例えば、「月曜日にデイサービス利用」としていた部分を「水曜日にデイサービス利用」に変更する場合は、「月曜日」に二重線を引き、「水曜日」と記載します。
変更日・変更理由を記載
見え消し修正の横に「○年○月○日 変更理由:家族の勤務シフトにより」などと明記することで、変更の経緯を誰が見ても理解できるようにします。これにより、記録の透明性と信頼性が確保されます。
電子記録の場合の対応
近年は電子ケアプランシステムを導入する事業所も多く、見え消し機能が備わっているケースもあります。システム上で履歴が残る仕組みを活用し、修正履歴を消さずに管理することが大切です。
まとめ

ケアプランの軽微な変更とは、利用者の生活に大きな影響を与えない範囲での微調整を指し、サービス提供時間や曜日の変更、短期間の回数増減などが典型例です。
軽微な変更であっても、利用者・家族の同意、記録の保存、給付管理上の整合性、そして「見え消し」による修正は必須となります。
本格的な変更と区別しながら適切に取り扱うことで、監査や実地指導にも耐え得るケアプラン運用が可能になります。
ケアマネジャーとしては、利用者本位の支援を維持しつつ、記録の正確性を守ることが求められます。