居宅介護支援事業所の管理者である主任ケアマネが辞めてしまったどうなる?

居宅介護支援事業所では、管理者が主任介護支援専門員(主任ケアマネ)を兼ねているケースが多くみられます。では、その管理者である主任ケアマネが突然退職してしまったら、事業所はどうなるのでしょうか。
「管理者不在で運営できなくなる?」「指定が取り消される?」「利用者への影響は?」――この記事では、管理者である主任ケアマネが辞めた場合に起こることと、事業所が取るべき対応をわかりやすく整理します。
- 居宅介護支援事業所の管理者要件
- 管理者である主任ケアマネが辞めた場合の影響
- 不測の事態に対する猶予のしくみ
- 事業所が取るべき対応と再発防止策

管理者の主任ケアマネが辞めたら、事業所はもう運営できなくなるのでしょうか?

すぐ取り消しになるわけではないの。不測の事態には猶予のしくみもあるから、まず保険者にすぐ相談することが大切よ。
居宅介護支援事業所の管理者要件
居宅介護支援事業所の管理者は、事業所の運営全体に責任を持つ立場です。職員の勤務体制の整備、業務管理、行政対応などを担い、事業所の質を支えます。
管理者には、常勤かつ専従であること、そして原則として主任介護支援専門員(主任ケアマネ)であることが求められています。この「管理者=主任ケアマネ」という要件には経過措置が設けられており、一定の条件を満たす事業所では、令和9年(2027年)3月末まで適用が猶予されています。
なお、特定事業所加算など一部の加算でも、主任ケアマネの配置が要件に含まれています。そのため、主任ケアマネが退職すると、管理者要件だけでなく加算の算定にも影響が及ぶ可能性があります。
経過措置の適用条件や期限、加算の要件は、制度改正によって変わることがあります。最新の取り扱いは、必ず保険者(市町村・都道府県)の介護保険担当窓口や、厚生労働省の通知で確認してください。
主任ケアマネである管理者が辞めると
管理者である主任ケアマネが退職すると、事業所には次のような影響が考えられます。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 人員基準 | 管理者を常勤で置けないと、指定基準を満たせなくなる |
| 加算の算定 | 主任ケアマネ配置が要件の加算が算定できなくなることがある |
| 利用者支援 | 担当の引き継ぎや事業所の調整機能が一時的に低下しやすい |
| 職員・運営 | 残る職員の負担増、士気の低下につながることがある |
人員基準を満たせなくなる可能性
居宅介護支援事業所は、管理者を常勤で置かなければ指定基準を満たせません。管理者が不在のまま運営を続けると、行政指導の対象になり、状況によっては指定の取り消しにつながるおそれもあります。
加算の算定への影響
特定事業所加算など、主任ケアマネの配置が要件となっている加算を算定している場合、その要件を満たせなくなると加算を算定できなくなります。加算は事業所の収益に占める割合が大きいこともあり、経営面への影響が生じる可能性があります。
利用者・職員への影響
管理者である主任ケアマネが抜けると、担当利用者の引き継ぎが必要になり、事業所全体の調整機能が一時的に低下しがちです。また、残った職員の負担が増えることもあります。
不測の事態に対する猶予のしくみ
ここで知っておきたいのが、退職などの不測の事態に対する猶予のしくみです。
主任ケアマネである管理者が、退職などの予期せぬ事情で管理者を続けられなくなった場合には、その理由と、主任ケアマネを管理者とするための改善計画書を保険者に届け出ることで、主任ケアマネ要件の適用を一定期間(おおむね1年間)猶予できる取り扱いが設けられています。
つまり、主任ケアマネである管理者が辞めても、ただちに指定が取り消されるわけではありません。大切なのは、不在の状態を放置せず、速やかに保険者に相談・届け出ることです。届け出の方法や必要書類、猶予の取り扱いは保険者によって運用が異なる場合があるため、まずは早めに窓口へ確認しましょう。
管理者の主任ケアマネが辞めたら、最優先は「保険者へすぐ相談・届け出ること」です。不測の事態に対する猶予のしくみがあるため、慌てず、しかし速やかに行動することが事業所を守ります。
事業所が取るべき対応
主任ケアマネである管理者が退職した場合、事業所は次のように動きます。
まず、保険者へ速やかに報告・相談します。管理者の交代は人員基準に関わる重大な事項です。届け出を怠ったまま運営を続けると、運営指導で指摘される事態を招きかねません。次に、暫定的な管理者体制を整えます。法人内のケアマネや他事業所からの応援を得て、後任が決まるまでの体制をつくります。あわせて、主任ケアマネの後任を確保します。経過措置や加算の継続を考えると、後任の確保は急ぐ必要があります。
そして、利用者・家族への説明も欠かせません。「管理者が交代しましたが、サービスは引き続き提供します」とていねいに伝え、不安を与えないようにします。担当ケアマネが交代する場合は、引き継ぎを確実に行いましょう。
再発防止のための工夫
突然の退職に備え、平時から体制を整えておくことが大切です。具体的には、複数の主任ケアマネを配置し、管理者候補を育てておくこと、法人内で応援し合える体制をつくっておくこと、業務マニュアルを整備して引き継ぎをスムーズにできるようにしておくことなどが有効です。
また、そもそも退職を防ぐ視点も重要です。働きやすい環境を整え、人材が定着しやすい職場づくりを進めましょう。主任ケアマネは全国的に不足しており、急な採用は簡単ではありません。法人として計画的に人材を育成しておくことが、いざというときの備えになります。
よくある質問(FAQ)
管理者の主任ケアマネが辞めたら、すぐ指定取り消しになりますか?
ただちに取り消されるわけではありません。退職などの不測の事態については、理由と改善計画書を保険者に届け出ることで、主任ケアマネ要件の適用を一定期間猶予できる取り扱いがあります。まずは速やかに保険者へ相談してください。
後任が主任ケアマネでない場合はどうなりますか?
経過措置や猶予のしくみの対象になるかどうかは、事業所の状況によって異なります。後任を主任ケアマネにするための改善計画を立て、保険者と相談しながら進めることが必要です。取り扱いは保険者により異なるため、必ず確認してください。
加算はすぐ算定できなくなりますか?
主任ケアマネの配置が要件となっている加算は、要件を満たせなくなった時点で算定できなくなる場合があります。加算ごとの取り扱いを保険者に確認し、要件を満たせるよう体制を整えましょう。
慌てず、しかし速やかに保険者へ相談を
居宅介護支援事業所の管理者は、原則として常勤・専従の主任ケアマネであることが求められます(経過措置あり)。その管理者が辞めると、人員基準や加算、利用者支援に影響が及ぶ可能性があります。ただし、退職などの不測の事態については、理由と改善計画書を保険者に届け出ることで一定期間の猶予が認められる取り扱いがあり、ただちに指定が取り消されるわけではありません。最優先は、不在を放置せず速やかに保険者へ相談・届け出ること。あわせて暫定体制の整備、後任の確保、利用者への説明を進め、平時から複数の主任ケアマネを育てておくことが、事業所を守る備えになります。
















