ケアプランは暫定から本プランにいつ切り替える?日付の考え方を解説

ケアプラン作成の実務では、まず「暫定ケアプラン」を作成し、その後に「本プラン」に切り替える流れが一般的です。
しかし「暫定から本プランに切り替える日付はいつにすればよいのか?」「サービス利用開始日と計画作成日との関係は?」など、日付の扱いに迷うケアマネジャーも多いのではないでしょうか。
本記事では、暫定ケアプランから本プランに切り替えるタイミングや日付の考え方、実務上の注意点をわかりやすく解説します。
ケアマネが知っておくべきルールと事例を整理し、日々の業務に役立つ情報をお届けします。
暫定ケアプランとは?本プランとの違い
暫定ケアプランとは、サービス担当者会議を開催する前に緊急的に作成するケアプランのことです。
利用者が退院直後や急に介護サービスが必要になった場合など、十分なアセスメントや会議を待たずにサービスを開始する必要があるときに用いられます。
一方、本プランは、アセスメント・ニーズ整理・サービス担当者会議を経て作成される正式なケアプランです。
暫定プランはあくまでも応急的な計画であり、利用者や事業者に正式に説明し、同意を得て開始するのは本プランになります。
暫定から本プランに切り替えるタイミング
原則は1か月以内に本プランへ移行
暫定ケアプランでサービスを開始した場合、原則として1か月以内にサービス担当者会議を開催し、本プランに切り替えることが求められます。
長期間暫定プランのまま運用することは認められておらず、あくまで利用者の生活を途切れさせないための暫定措置です。
退院や緊急利用のケース
退院直後や家族の事情で急に在宅介護が必要になった場合は、まず暫定プランでサービスを始め、その後に会議を開催して本プランに切り替えます。この場合、退院日や初回サービス利用日を「暫定ケアプラン開始日」とすることが多いです。
利用者・家族との合意形成が必要
暫定プランでサービスを開始する際には、必ず「暫定プランでの開始であること」と「後日、本プランに切り替えること」を利用者・家族に説明し、同意を得る必要があります。
ケアプランの日付の考え方
暫定プランの日付
暫定プランの日付は、基本的にサービス利用開始日を計画の開始日とします。
例:退院日が4月1日で、その日から訪問介護を開始 → 暫定プランの開始日は「4月1日」とする。
本プランの日付
本プランの日付は、サービス担当者会議を経て正式に決定した日付を基準とします。
ただし、実務上は「暫定プランの開始日に遡って本プランを作成する」ことが多く、サービス提供実績と計画の整合性を取る必要があります。
計画書の記載例
- 暫定プラン:4月1日〜4月30日
- 本プラン:4月1日〜(以後継続)
このように、暫定から本プランに切り替えた場合でも、開始日を揃えて継続性を確保するのが一般的です。
暫定から本プランへの切り替えでよくある疑問
Q1:暫定プランと本プランの日付が重なってもよい?
→ はい、問題ありません。暫定と本プランは同じ開始日を設定しても差し支えなく、むしろサービス提供記録との整合性が保ちやすくなります。
Q2:会議が遅れて1か月以上空いてしまった場合は?
→ 原則は1か月以内ですが、やむを得ない事情で遅れた場合は理由を記録に残すことが重要です。監査時に「なぜ遅れたのか」を説明できるようにしておきましょう。
Q3:暫定プランのまま請求はできる?
→ 暫定プランでも請求は可能です。ただし、暫定のまま長期間継続するのは不可であり、必ず本プランへの切り替えが必要です。
ケアプラン作成時の注意点
サービス担当者会議の開催を忘れない
暫定から本プランへ切り替える際には、必ずサービス担当者会議を開催する必要があります。形式的にならず、利用者・家族・サービス事業者としっかり情報共有を行いましょう。
日付の整合性を意識する
サービス提供実績、給付管理、プランの日付が一致しないと請求トラブルの原因になります。実務では「暫定プランの開始日に遡って本プランを作成する」ことが多いため、整合性を常に確認しましょう。
利用者への説明責任を果たす
利用者や家族に対して「今は暫定プランでサービスを開始していること」「後日、本プランを作成すること」を必ず説明しておくことが重要です。信頼関係の維持にもつながります。
暫定から本プランへの切り替え文例
以下は、第2表における文例の一例です。
文例1:退院直後で暫定プランを作成した場合
- 長期目標
退院後も自宅で安心して生活が継続できるようにする。 - 短期目標
日常生活に必要な介護サービスを安定して受けられるようにする。 - サービス内容
4月1日退院に合わせて暫定ケアプランを作成。訪問介護・訪問看護を同日より開始。サービス担当者会議は4月10日に開催予定とし、その後本プランへ切り替える。
文例2:急な在宅介護開始で暫定利用した場合
- 長期目標
家族と協力しながら安心して在宅生活を送る。 - 短期目標
介護サービスを途切れなく利用できるようにする。 - サービス内容
急な介護開始のため、3月15日より暫定ケアプランを作成しサービスを開始。サービス担当者会議を3月25日に開催し、本プランに移行予定。
まとめ

ケアプランは、暫定から本プランへと適切に切り替えることが求められます。
日付の考え方としては「暫定プランはサービス開始日を基準」「本プランは会議日を基準としつつ暫定開始日に遡って作成する」ことが一般的です。
原則として1か月以内に本プランへ切り替え、サービス提供実績や請求との整合性を確保することが大切です。
暫定プランはあくまでも緊急的な措置であることを忘れず、利用者・家族に十分説明したうえで適切に対応しましょう。