居宅介護支援費の逓減制とは?計算方法をわかりやすく解説

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居宅介護支援事業所を運営する際に大きなポイントとなるのが「居宅介護支援費の逓減制(ていげんせい)」です。

ケアマネジャー(介護支援専門員)の担当件数が増えると報酬が減額される仕組みであり、事業所経営に直結する重要なルールです。

しかし「逓減制が具体的にどう適用されるのか」「計算方法はどうなっているのか分かりにくい」と感じる方も多いでしょう。

この記事では、居宅介護支援費の逓減制の仕組みや計算方法を分かりやすく解説し、実際の計算例や注意点も紹介します。

目次

居宅介護支援費の逓減制とは?

居宅介護支援費とは、ケアマネが利用者のケアプランを作成・管理するために算定される介護報酬です。

この報酬には「逓減制」という仕組みがあり、ケアマネ1人が担当できる標準件数を超えると報酬が減額される ルールになっています。

つまり、件数を多く抱えるとその分売上が増える仕組みではなく、一定の件数を超えると逓減(報酬減額)がかかり、収益性が下がるのです。

逓減制が適用される担当件数

介護保険制度上、ケアマネ1人あたりの標準担当件数は 35件 とされています。

  • 35件まで → 通常の報酬算定(100%)
  • 36件〜40件 → 報酬が90%に逓減
  • 41件〜45件 → 報酬が80%に逓減
  • 46件以上 → 報酬が70%に逓減


このように、35件を超えると段階的に減額される仕組みになっています。

居宅介護支援費 逓減制の計算方法

基本の考え方

  1. 利用者ごとに算定する居宅介護支援費(基本単位数)を確認する
  2. ケアマネの担当件数をカウントする
  3. 35件までは100%、36件以降は逓減率をかけて計算する

計算例①:ケアマネが38件を担当している場合

  • 1件あたりの基本報酬(仮に) 10,000単位/月 とする
  • 35件 → 10,000単位 × 35件 = 350,000単位(100%)
  • 36〜38件 → 10,000単位 × 3件 × 0.9 = 27,000単位


合計:377,000単位
→ 本来380,000単位のところ、逓減制で3,000単位減額

計算例②:ケアマネが42件を担当している場合

  • 35件 → 10,000単位 × 35件 = 350,000単位(100%)
  • 36〜40件 → 10,000単位 × 5件 × 0.9 = 45,000単位
  • 41〜42件 → 10,000単位 × 2件 × 0.8 = 16,000単位


合計:411,000単位
→ 本来420,000単位のところ、逓減制で9,000単位減額

計算例③:ケアマネが50件を担当している場合

  • 35件 → 350,000単位(100%)
  • 36〜40件 → 50,000単位 × 0.9 = 45,000単位
  • 41〜45件 → 50,000単位 × 0.8 = 40,000単位
  • 46〜50件 → 50,000単位 × 0.7 = 35,000単位


合計:470,000単位
→ 本来500,000単位のところ、逓減制で30,000単位減額

逓減制が導入されている理由

  • ケアマネ1人に過度な件数を持たせないため
  • 利用者支援の質を担保するため
  • 過重労働防止とサービスの公平性を確保するため

逓減制は事業所にとっては収益減の要因ですが、利用者にとっては「一人に多すぎる担当をさせない」ための仕組みとも言えます。


逓減制による事業所経営への影響

逓減制は収益を圧迫する可能性があるため、事業所運営では以下のような影響があります。

  • ケアマネを複数配置しないと収益性が下がる
  • 小規模事業所では人員確保が難しく経営が厳しい
  • 件数調整のために担当替えを行う必要が出てくる

特に1人ケアマネ体制の事業所では、逓減制の影響が大きく、経営上の大きな課題となります。

逓減制への対策と工夫

  • ケアマネを複数人配置する → 標準件数を超えないように分担
  • 主任ケアマネを配置して特定事業所加算を算定する → 収益改善につながる
  • 効率的な業務フローを構築する → ICT導入や事務員配置で負担軽減
  • 地域包括支援センターや法人内で調整する → 担当件数を適切に分配

まとめ

居宅介護支援費の逓減制は、ケアマネ1人あたり35件を超えると報酬が段階的に減額される仕組み です。

  • 36〜40件 → 90%
  • 41〜45件 → 80%
  • 46件以上 → 70%

という逓減率で計算され、事業所の収益やケアマネの働き方に大きな影響を与えます。

経営的にはマイナス要素に見えますが、利用者支援の質を守るための仕組みでもあります。

逓減制を理解し、件数調整や加算活用、ICT導入などを組み合わせて工夫することが、事業所運営の安定とケアマネの働きやすさにつながります。

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