日常生活自立支援事業とは?一般人にもわかりやすく解説

高齢の親や、障害のある家族を支えていると「お金の管理や役所の手続きが難しい」「一人で生活するのに不安がある」といった悩みに直面することは多いものです。
こうした時に役立つ制度のひとつが 日常生活自立支援事業 です。
この記事では、福祉に詳しくない方でも理解できるように、この事業の仕組みや対象者、利用できる支援内容、費用についてわかりやすく解説します。
日常生活自立支援事業とは?
日常生活自立支援事業とは、判断能力が十分でない高齢者や障害者が、安心して日常生活を送れるように支援する福祉サービス です。
具体的には、お金の管理や生活に必要な契約、役所への手続きなどをサポートします。全国の社会福祉協議会(社協)が中心となって運営しています。
成年後見制度ほど厳格ではなく、「ちょっとした生活のサポートを受けたい」人向けの支援制度 として位置づけられています。
対象となる人
日常生活自立支援事業を利用できるのは、次のような人です。
- 認知症の高齢者で、お金や契約の管理に一部不安がある人
- 知的障害や精神障害のある人で、日常生活にサポートが必要な人
- 一人暮らしで役所の手続きや福祉サービス利用に不安がある人
完全に判断能力を失っている人は「成年後見制度」の対象となりますが、判断能力が不十分でサポートがあれば生活できる人 がこの事業の主な利用者です。
具体的な支援内容
日常生活自立支援事業では、主に次のような支援が受けられます。
- 日常的な金銭管理
光熱費や家賃の支払い、年金や手当の出し入れをサポート。 - 福祉サービスの利用手続き
デイサービスや訪問介護を利用する際の申込・更新手続きの支援。 - 役所や医療機関とのやりとり
書類の確認や提出、必要な手続きを一緒に行う。 - 日用品の購入サポート
必要な物品を買うための支払いを手伝う。 - 預貯金の出し入れ
本人に代わって銀行に同行し、必要な範囲でお金を引き出す。
あくまで「日常生活に必要な範囲」であり、不動産売買や大きな契約は対象外です。
利用方法
- お住まいの地域の社会福祉協議会に相談
- 担当者が面談し、支援内容を一緒に決定
- 契約を結んだ上で、定期的に支援員が訪問してサポート
利用契約は本人と社協が結ぶ形となり、柔軟に変更することも可能です。
利用料金
日常生活自立支援事業の利用料は、比較的安価に設定されています。
- 1回の訪問につきおおむね 1,000円程度(地域によって差あり)
- 契約にかかる費用は別途数千円程度
生活保護受給者の場合、利用料が免除されることもあります。
成年後見制度との違い
- 成年後見制度:判断能力が大きく低下した人を対象とし、家庭裁判所が選任した後見人が財産や契約を管理する制度。
- 日常生活自立支援事業:まだ一定の判断能力があり、日常生活に必要なサポートを中心とする仕組み。
つまり、成年後見制度の「前段階の支援」として利用されることが多いです。
まとめ
日常生活自立支援事業とは、認知症や障害で判断能力が十分でない人が、安心して生活を続けるための金銭管理や手続きをサポートする仕組み です。
社会福祉協議会が運営し、利用料は1回あたり1,000円程度と負担が軽いため、「ちょっとした生活の支援がほしい」と感じる方に適しています。
成年後見制度との違いを理解し、必要に応じて早めに相談することで、本人も家族も安心して暮らすことができるでしょう。