介護保険料を滞納するとどうなる?期間別の措置と対処法

「年金から天引きされていないことに気づかず、介護保険料の納付書を放っておいた」「生活が苦しくて、保険料を払えない月が続いている」。介護保険料の滞納は、介護が必要になったときに大きな影響が出ることがあります。
介護保険料を滞納すると、期間に応じて段階的に、介護サービスを使うときの負担が重くなります。この記事では、介護保険料を滞納したときに起こること、滞納しやすいケース、払えないときの相談先と対処法を解説します。
- 介護保険料の払い方と、滞納しやすいケース
- 介護保険料を滞納したときに期間ごとに起こること
- 差し押さえに至るまでの流れ
- 払えないときに相談できる窓口と制度
- 家族が気をつけたいポイント
介護保険料の払い方と、滞納しやすいケース
介護保険料は、40歳以上の人が納めます。払い方は、年齢や加入している医療保険によって違います。
| 対象 | 払い方 |
|---|---|
| 65歳以上で、年金が年額18万円以上 | 年金から天引き(特別徴収) |
| 65歳以上で、年金が年額18万円未満など | 納付書や口座振替で納める(普通徴収) |
| 40歳から64歳 | 加入している医療保険の保険料と一緒に納める |
滞納が起きやすいのは、納付書や口座振替で納める普通徴収の人です。特に次のようなケースに注意が必要です。
- 65歳になった直後で、年金からの天引きが始まるまで納付書で払う期間
- 引っ越しをして、新しい市区町村から納付書が届いた
- 口座の残高不足で、引き落としができなかった
- 認知症などで、本人が納付書を管理できなくなった
新人年金から天引きされているものだと思い込んで、納付書を見落とすこともありそうですね。
先輩そうなの。65歳になったばかりの時期や引っ越しの後は、特に気をつけてほしいわ。家族が郵便物を一緒に確認するだけでも、滞納はかなり防げるのよ。
介護保険料を滞納したときに起こること
介護保険料を滞納しても、すぐにサービスが使えなくなるわけではありません。ただし、滞納の期間が長くなるほど、厳しい措置がとられます。これらの措置は、要介護認定を受けてサービスを使うときに関わってきます。
| 滞納の期間 | 主な措置 |
|---|---|
| 納付期限を過ぎた | 督促状が届く。延滞金がかかることがある |
| 1年以上 | サービス費をいったん全額払い、後から保険給付分の払い戻しを申請する方式(償還払い)になる |
| 1年6か月以上 | 払い戻される保険給付の一部または全部が一時差し止められ、滞納している保険料に充てられることがある |
| 2年以上(時効で納められなくなった期間がある) | 一定期間、自己負担の割合が3割(3割負担の人は4割)に引き上げられ、高額介護サービス費や負担限度額認定も受けられなくなる |
滞納の措置で負担はどれくらい変わる?計算例
措置の重さをイメージしやすいよう、1か月に20万円分(10割)の介護サービスを使う人で比べてみます。自己負担割合は通常1割の人とします(金額は概算)。
| 状況 | 窓口で払う額 | あとで戻る額 | 実質の負担 |
|---|---|---|---|
| 滞納なし | 2万円 | なし | 2万円 |
| 1年以上の滞納(償還払い) | 20万円 | 申請により18万円 | 2万円(ただし一時的に20万円の用意が必要) |
| 1年6か月以上の滞納(給付の差し止め) | 20万円 | 18万円の一部または全部が差し止められ、滞納分に充てられることがある | 2万円+差し止め分 |
| 時効で納められない期間がある(給付額の減額) | 6万円(3割) | なし | 6万円。高額介護サービス費も使えない |
とくに償還払いは、いったん全額を用意しなければならないため、年金生活の人には大きな負担です。給付額の減額の措置は、保険料を納めなかった期間に応じて一定期間続きます。
措置がとられているかの確認方法
給付の制限がかかると、介護保険の被保険者証の「給付制限」の欄に内容と期間が記載されます。要介護認定の結果と一緒に届く被保険者証を確認しましょう。ケアマネも、契約時やケアプランを作る前に被保険者証の記載を確認しています。
差し押さえに至るまでの流れ
- 督促状が届く納付期限を過ぎると、市区町村から督促状が送られます。
- 催告書が届くそれでも納めないと、催告書などで納付を求められます。
- 財産の調査市区町村が、預貯金や年金、給与などの財産を調べることがあります。
- 差し押さえ納付や相談がないまま滞納が続くと、預貯金などが差し押さえられることがあります。
差し押さえは突然行われるものではなく、その前に何度も通知が届きます。通知を放置せず、払えない事情があればその段階で相談することが大切です。
払えないときに相談できる窓口と制度
| 困っていること | 相談先・使える可能性のある制度 |
|---|---|
| 一度に払うのが難しい | 市区町村の介護保険の窓口で、分割での納付を相談する |
| 災害や失業などで収入が大きく減った | 保険料の減免や、納付の猶予を受けられる場合がある |
| 生活費そのものが足りない | 市区町村の福祉の窓口や、社会福祉協議会に相談する |
| 本人が管理できない | 地域包括支援センター、日常生活自立支援事業などを相談する |
新人払えないことを役所に相談するのは、気が引けます。
先輩その気持ちは分かるけれど、黙って滞納を続けるほうが、後で本人が困ることになるの。窓口では分割の相談にも応じてくれるから、早めに連絡してほしいわ。
家族が気をつけたいポイント
- 親が65歳になる前後に、保険料の通知や納付書が届いているか確認する
- 普通徴収の場合は、口座振替の手続きをしておくと払い忘れを防げる
- 親が認知症などで郵便物を管理できない場合は、家族が代わりに確認する
- 要介護認定を申請するときは、滞納がないかも確認しておく
滞納による措置は、介護が必要になってから影響が表れるため、元気なうちは気づきにくいのが特徴です。親が高齢になってきたら、介護保険料の払い方を一度確認しておきましょう。
ケアマネ・支援者が滞納に気づいたときの対応
利用者の滞納は、生活の困りごとや認知機能の低下のサインであることも少なくありません。支援者として気づいたときは、次の流れで対応を考えます。
- 被保険者証と通知を確認する給付制限の記載や、督促状・催告書が届いていないかを本人・家族と一緒に確認します。
- 滞納の理由を聞き取る払い忘れなのか、生活費が足りないのか、郵便物を管理できていないのかで、つなぐ先が変わります。
- 市区町村の窓口に一緒に相談する本人の同意を得て、分割の納付や減免の相談に同行したり、連絡を手伝ったりします。
- 金銭管理の支援につなぐ本人が管理できない場合は、家族の協力のほか、日常生活自立支援事業や成年後見制度の利用を地域包括支援センターと検討します。
- サービスの組み立てを見直す償還払いや負担の引き上げの期間は、本人が払える範囲で、優先度の高いサービスから組み直します。
新人ケアプランを作る前に、滞納があるかどうかまで確認するんですね。
先輩そうよ。償還払いになっていると、本人が一時的に全額を払えるかどうかで、使えるサービスが変わってしまうの。後から分かると本人も困るから、最初に確認しておくのが大切なのよ。
よくある質問(FAQ)
介護保険料を滞納していても、要介護認定は受けられますか?
滞納している分を後から払えば、措置はなくなりますか?
40歳から64歳で滞納するとどうなりますか?
生活保護を受けている場合、介護保険料はどうなりますか?
親の介護保険料を、子どもが払ってもいいですか?
介護保険料の納付書をなくしてしまいました。
滞納の措置を受けている間も、ケアマネに相談できますか?
- 介護保険料の滞納は、納付書や口座振替で納める普通徴収の人に起こりやすい
- 1年以上で償還払い、1年6か月以上で給付の一時差し止め、2年以上で自己負担の引き上げなど、期間に応じて措置が重くなる
- 保険料は2年で時効になり、後から納められない期間は自己負担が重くなる
- 差し押さえの前には何度も通知が届くため、放置せずに相談する
- 払えないときは、分割の納付や減免、生活の相談を市区町村の窓口でする
















