介護保険の自己負担割合|1割・2割・3割の対象者と決まり方を解説

介護保険サービスを使うとき、多くの方が最初に気になるのが「自分は何割の負担になるの?」「毎月いくらかかるの?」という点ではないでしょうか。実は介護保険の自己負担割合は全員が1割というわけではなく、所得に応じて1割・2割・3割の3区分に分かれています。
この記事では、介護保険の自己負担割合の決まり方を、1割・2割・3割それぞれの対象者・所得基準・費用の目安まで、ケアマネジャーが利用者やご家族に説明するときの目線で整理しました。負担が高額になったときの軽減制度や、2025年8月の判定基準の見直しもあわせて解説します。
- 介護保険の自己負担割合が1割・2割・3割に分かれる理由としくみ
- 1割・2割・3割それぞれの対象者と所得基準(早見表つき)
- 負担割合が決まるタイミングと「負担割合証」の見方
- サービス別の自己負担額シミュレーションと費用の目安
- 負担が高額になったときに使える軽減制度
介護保険の自己負担割合とは?基本のしくみ
介護保険の自己負担割合とは、介護サービスを利用したときに利用者本人が支払う費用の割合のことです。要支援・要介護認定を受けた人が介護サービスを使うと、その費用のうち一定割合だけを本人が負担し、残りは介護保険から給付されるしくみになっています。
たとえば訪問介護に1万円かかった場合、自己負担が1割の人は1,000円、2割の人は2,000円、3割の人は3,000円を支払い、残りはすべて保険でまかなわれます。同じサービスを使っても、負担割合が違えば支払う金額は最大3倍変わるということです。

利用者さんから「うちは2割って書いてあるけど高くない?」と聞かれて、うまく答えられませんでした…。

負担割合は「所得に応じて公平に決まるもの」と伝えるのがコツよ。なぜその割合になるのかをセットで説明できると、利用者さんも納得しやすいわ。
自己負担割合が複数あるのは、負担能力に応じて公平にサービスを支え合うという考え方によるものです。所得の高い人にはやや多めに負担してもらい、制度全体を持続させるねらいがあります。
自己負担割合は1割・2割・3割の3種類
介護保険の自己負担割合は、次の3つに分かれています。それぞれ導入された時期も異なります。
| 割合 | 対象者の目安 | 導入時期 |
|---|---|---|
| 1割負担 | 多くの方(所得が一定基準を下回る方) | 制度開始当初からの原則 |
| 2割負担 | 一定以上の所得がある方 | 2015年8月の制度改正で導入 |
| 3割負担 | 現役並みに所得が高い方 | 2018年8月から導入 |
制度開始当初は全員が1割負担でしたが、高齢化で介護費用がふくらむなかで、所得の高い人には2割・3割を求める形へと段階的に見直されてきた経緯があります。とはいえ、現在も大多数の利用者は1割負担です。2割・3割に該当するのは一定以上の所得がある方に限られます。
介護保険の自己負担割合はどうやって決まる?
自己負担割合は、利用者が自由に選べるものではなく、本人と世帯の所得状況にもとづいて市区町村が判定します。判定に使われるおもな情報は次のとおりです。
判定に使われる所得の情報
判定の中心になるのは「本人の合計所得金額」と、「同じ世帯にいる65歳以上の人の所得状況」です。具体的には、年金収入や給与・事業などによる前年の所得が確認されます。同じ世帯に所得の高い高齢者がいると、本人の負担割合も上がることがある点に注意が必要です。
判定のタイミングと有効期間
負担割合は前年の所得をもとに毎年判定され、原則として毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間が有効期間です。判定結果は「介護保険負担割合証」に記載され、毎年7月ごろに市区町村から郵送されます。年の途中で所得が変わっても、その年度の負担割合はすぐには変わりません。

負担割合証って、保険証とは別の書類なんですね。

そう、介護保険被保険者証とは別物よ。サービス利用時には両方をサービス事業所に提示してもらうの。担当を引き継ぐときは、負担割合証の有効期限も必ず確認しておきましょうね。
負担割合証は毎年更新されます。新しい証が届いたら古い証は使わず、必ず最新のものをサービス事業所に提示してもらいましょう。割合が変わっているのに古い証のままだと、後から精算が必要になることがあります。
【早見表】1割・2割・3割の対象者と所得基準
ここでは、1割・2割・3割それぞれの対象となる所得の目安を整理します。判定では「本人の合計所得金額」と、「同じ世帯の65歳以上の人の年金収入+その他の合計所得金額」の2つが使われます。
| 割合 | 本人の合計所得金額 | 世帯の年金収入+その他所得の目安 |
|---|---|---|
| 1割 | 下記の2割・3割に該当しない方 | 単身280万円未満/2人以上世帯346万円未満 ほか |
| 2割 | 160万円以上220万円未満 | 単身280万円以上/2人以上世帯346万円以上 |
| 3割 | 220万円以上 | 単身340万円以上/2人以上世帯463万円以上 |
「2人以上世帯」とは、同じ世帯に65歳以上の人が2人以上いる場合を指します。本人の合計所得金額が基準以上でも、世帯の収入が低ければ1割や2割に下がるしくみになっています。
1割負担の対象者(多くの方)
下に示す2割・3割の条件にあてはまらない方は、原則1割負担です。住民税非課税の方や生活保護を受けている方も1割となります。一般的な年金生活者の多くがこの区分に入り、利用者の大半は1割負担と考えてよいでしょう。
2割負担の対象者
本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満で、かつ世帯の65歳以上の「年金収入+その他の合計所得金額」が単身で280万円以上、2人以上世帯で346万円以上の場合に2割負担となります。比較的高めの年金収入がある方や、退職後も収入がある方が該当しやすい区分です。
3割負担の対象者
本人の合計所得金額が220万円以上で、かつ世帯の65歳以上の「年金収入+その他の合計所得金額」が単身で340万円以上、2人以上世帯で463万円以上の場合に3割負担となります。現役並みに所得の高い高齢者が対象で、利用者全体のなかでは少数です。

条件が細かくて、利用者さんに「結局うちは何割?」と聞かれたら不安です…。

無理に口頭で計算しなくて大丈夫。最終的な割合は負担割合証に書いてあるから、「証で確認しましょう」と案内するのが確実よ。判定基準は目安として説明できれば十分ね。
負担割合の判定に使う基準額は、老齢基礎年金の満額改定などにあわせて令和7年(2025年)8月の判定から一部見直しが行われています。上の金額は目安であり、最終的な基準は年度や市区町村の通知によって異なる場合があります。正確な区分は届いた負担割合証とお住まいの市区町村の案内で必ず確認してください。
自己負担割合別の費用シミュレーション
負担割合が違うと実際の支払額がどれくらい変わるのか、サービスごとに比較してみましょう。
| サービス内容 | サービス費用 | 1割 | 2割 | 3割 |
|---|---|---|---|---|
| 訪問介護(身体介護・約30分) | 2,500円 | 250円 | 500円 | 750円 |
| 通所介護(デイサービス・1日) | 7,000円 | 700円 | 1,400円 | 2,100円 |
| 福祉用具貸与(1か月) | 4,000円 | 400円 | 800円 | 1,200円 |
| 1か月の利用合計の一例 | 100,000円 | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 |
表のとおり、同じサービスでも2割なら2倍、3割なら3倍の負担になります。ただし上記はあくまで一例で、実際の単価は地域区分やサービス事業所、加算の有無によって変わります。
介護保険には要介護度ごとに1か月で使えるサービスの上限額(区分支給限度基準額)があります。限度額を超えた分は全額自己負担になるため、ケアプラン作成時は負担割合と限度額の両方を意識して調整することが大切です。

負担割合が2割・3割の利用者さんには、サービスを増やすときに「月いくら増えるか」を具体的な金額で示すと安心してもらえるわ。費用の見通しを一緒に立てるのもケアマネの大事な役割よ。
負担が高額になったときに使える軽減制度
負担割合が2割・3割でも、自己負担が一定額を超えれば軽減制度でカバーできます。代表的な3つの制度を押さえておきましょう。
高額介護サービス費
1か月の自己負担額が所得に応じた上限を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。上限額は世帯の課税状況によって決まります。
| 区分(おもな目安) | 1か月の上限額 |
|---|---|
| 課税所得690万円以上 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万〜690万円未満 | 93,000円(世帯) |
| 市区町村民税課税〜課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 市区町村民税非課税世帯 | 24,600円(世帯)など |
| 生活保護受給者など | 15,000円(個人) |
この制度は負担割合が1割でも2割でも3割でも利用できます。福祉用具の購入費や住宅改修費、施設の食費・居住費などは対象外なので、その点は注意しましょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度
1年間(毎年8月〜翌年7月)の医療保険と介護保険の自己負担を合算し、合計が上限を超えた分が払い戻される制度です。医療と介護の両方を多く使っている世帯の負担をやわらげます。
特定入所者介護サービス費(補足給付)
所得や資産が一定以下の方が施設サービスやショートステイを利用する場合に、食費・居住費の負担を軽減する制度です。「介護保険負担限度額認定証」の交付を受けることで利用できます。
高額介護サービス費は、多くの市区町村で初回のみ申請が必要です。対象になっても自動では振り込まれないケースがあるため、該当しそうな利用者には申請を案内しましょう。
ケアマネ・利用者が押さえておきたい注意点
負担割合をめぐって現場でつまずきやすいポイントを整理します。
- 毎年7〜8月の負担割合証を確認する新しい負担割合証が届いたら、割合が前年から変わっていないかを必ずチェックします。割合が上がった利用者には早めに費用の見通しを共有しましょう。
- 世帯構成の変化に注意する同居家族の転入・転出や、世帯分離などで判定結果が変わることがあります。世帯状況が変わったら市区町村への確認をうながします。
- 軽減制度をセットで案内する負担割合が2割・3割の利用者には、高額介護サービス費などの軽減制度をあわせて伝え、過度な不安を持たせないようにします。

負担割合が上がった利用者さんに、どう声をかければいいでしょうか。

「割合は上がったけれど、こういう軽減制度があります」と不安と対策をセットで伝えるのが基本よ。判断に迷うときは地域包括支援センターや市区町村の窓口につなぐのも大切な支援ね。
介護保険の自己負担割合に関するよくある質問
自分の負担割合はどこで確認できますか?
市区町村から毎年交付される「介護保険負担割合証」に記載されています。サービス利用時には介護保険被保険者証とあわせてサービス事業所に提示します。見当たらない場合は市区町村の介護保険担当窓口で確認できます。
負担割合は途中で変わることがありますか?
負担割合は原則として毎年8月1日に更新され、前年の所得をもとに判定されます。年度の途中で所得が変わっても、その年度の割合は基本的に変わりません。世帯構成の変更などで例外的に再判定される場合は、市区町村から案内があります。
負担割合が2割・3割でも軽減制度は使えますか?
使えます。高額介護サービス費は負担割合にかかわらず利用でき、1か月の自己負担が上限を超えた分が払い戻されます。医療費が多い世帯は高額医療・高額介護合算療養費制度も対象になります。
夫婦で負担割合が違うことはありますか?
あります。負担割合は本人の合計所得金額をもとに判定されるため、同じ世帯の夫婦でも一方が1割、もう一方が2割というケースは起こり得ます。それぞれの負担割合証で確認してください。
40〜64歳の人も負担割合は1割・2割・3割に分かれますか?
いいえ。2割・3割負担の判定対象は65歳以上の第1号被保険者です。40〜64歳の第2号被保険者が特定疾病で要介護認定を受けてサービスを利用する場合は、所得にかかわらず1割負担となります。
まとめ|自己負担割合は所得で決まり、軽減制度もある
介護保険の自己負担割合は所得に応じて1割・2割・3割に分かれますが、利用者の大多数は1割負担です。割合が高い方でも軽減制度を組み合わせれば、負担を一定の範囲に抑えられます。
- 自己負担割合は1割・2割・3割の3区分で、本人と世帯の所得をもとに市区町村が判定する
- 負担割合は毎年8月に更新され、結果は「負担割合証」に記載される(2025年8月判定から基準額が一部見直し)
- 2割・3割でも高額介護サービス費などの軽減制度を利用でき、負担をやわらげられる
- 正確な割合は負担割合証と市区町村の案内で確認し、利用者には費用の見通しと軽減策をセットで伝える
負担割合は利用者の家計に直結する大切な情報です。不明な点があれば、地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口、担当ケアマネジャーに相談しましょう。
















