主治医意見書とは?記載内容・作成の流れと伝え方のコツ

「要介護認定を申請したら、主治医意見書が必要と言われた」「かかりつけの医師がいない場合はどうすればいいの?」。介護保険の申請で、多くの人が戸惑うのが主治医意見書です。
主治医意見書とは、要介護認定のために、市区町村が本人の主治医に作成を依頼する、医学的な視点からの意見書です。本人が費用を負担する必要はありません。この記事では、主治医意見書の役割、記載される内容、作成の流れ、主治医がいない場合の対応、正しく書いてもらうためのポイントを解説します。
- 主治医意見書とはどんな書類か
- 主治医意見書に記載される主な内容
- 要介護認定での主治医意見書の役割
- 主治医意見書の作成の流れと、主治医がいない場合の対応
- 本人の状態を正しく伝えるためのポイント
主治医意見書とは?
主治医意見書は、介護保険の要介護認定の申請があったときに、市区町村が本人の主治医に作成を依頼する書類です。病気やけがの状態、心と体の機能、介護で気をつけることなどを、医師の立場から記載します。
- 申請書に主治医の氏名と医療機関を書くと、市区町村から医師に依頼される
- 作成の費用は介護保険から支払われ、本人の負担はない
- 書いた内容は、市区町村から直接、認定の審査に使われる
新人主治医意見書は、家族が病院に取りに行くものですか?
先輩基本的には、市区町村が医療機関に直接依頼して、医療機関から市区町村に届くのよ。家族が受け取りに行く必要はないの。ただ、医師に申請したことを伝えておくと、スムーズに進みやすいわ。
主治医意見書に記載される主な内容
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 傷病に関する意見 | 診断名、発症の時期、症状の安定性、治療の内容 |
| 特別な医療 | 点滴、透析、たんの吸引、カテーテルなど、過去14日間に受けた医療 |
| 心身の状態に関する意見 | 障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度、認知症の症状、麻痺や筋力の低下など |
| 生活機能とサービスに関する意見 | 移動、栄養、今後起こりやすい状態、医学的な管理の必要性、サービスを使うときの注意点 |
| 特記すべき事項 | 介護の手間や、認定の審査で考慮してほしいことなど |
意見書に書かれる「日常生活自立度」の見方
主治医意見書の「心身の状態に関する意見」には、2つの日常生活自立度が記載されます。認定調査でも同じ基準が使われ、介護認定審査会では両方の評価を照らし合わせて審査します。ケアマネや家族も、意味を知っておくと結果の理解に役立ちます。
| 障害高齢者の日常生活自立度 | 状態の目安 |
|---|---|
| 自立 | 障害などがなく、日常生活はほぼ自立している |
| ランクJ(J1・J2) | 何らかの障害はあるが、ほぼ自立しており、一人で外出できる |
| ランクA(A1・A2) | 屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない |
| ランクB(B1・B2) | 屋内での生活に介助が必要で、日中もベッド上での生活が中心だが、座位を保てる |
| ランクC(C1・C2) | 1日中ベッド上で過ごし、排泄・食事・着替えに介助が必要 |
| 認知症高齢者の日常生活自立度 | 状態の目安 |
|---|---|
| 自立 | 認知症の症状がない |
| Ⅰ | 何らかの認知症の症状はあるが、日常生活はほぼ自立している |
| Ⅱ(Ⅱa・Ⅱb) | 日常生活に支障をきたす症状が多少あっても、誰かが注意していれば自立できる(aは家庭外、bは家庭内でも見られる) |
| Ⅲ(Ⅲa・Ⅲb) | 日常生活に支障をきたす症状が見られ、介護が必要(aは日中中心、bは夜間も) |
| Ⅳ | 日常生活に支障をきたす症状が頻繁に見られ、常に介護が必要 |
| M | 著しい精神症状や問題行動、重い身体疾患があり、専門医療が必要 |
認知症高齢者の日常生活自立度は、要介護認定だけでなく、認知症に関わる加算の算定や、施設の入所の判断などでも参考にされる大切な指標です。
要介護認定での主治医意見書の役割
| 判定の段階 | 主治医意見書の使われ方 |
|---|---|
| 一次判定(コンピューター) | 認定調査の結果に加えて、主治医意見書の一部の項目も使われる |
| 二次判定(介護認定審査会) | 医療や介護の専門家が、主治医意見書と認定調査の特記事項などをもとに審査する |
認定調査だけでは分かりにくい病気の見通しや、医療的な管理の必要性を伝える、大切な資料です。
主治医意見書の作成の流れ
- 要介護認定を申請する申請書に主治医の氏名、医療機関、連絡先を書きます。
- 市区町村が主治医に依頼する市区町村から医療機関に、意見書の作成が依頼されます。
- 医師が意見書を作成する必要に応じて、本人の診察が行われます。
- 医療機関から市区町村に提出される認定調査の結果とあわせて、審査に使われます。
主治医がいない場合の対応
- 市区町村が指定する医師の診察を受け、主治医意見書を作成してもらう
- この場合の診察の費用の扱いは、市区町村に確認する
- 長く受診していない医療機関より、今の状態をよく知る医師に書いてもらうほうが望ましい
本人の状態を正しく伝えるためのポイント
- 受診のときに家族が同席する本人が「大丈夫」と言っても、家での様子を家族から補足します。
- 困っていることをメモにして渡す物忘れ、転倒、夜間の様子、介護の手間を具体的に書きます。
- いつから、どのくらいかを伝える「半年前から、週に数回、夜中に起きて歩き回る」など、頻度を伝えます。
- 介護保険を申請したことを伝える意見書の依頼が届くことを、医師に知っておいてもらいます。
新人本人が診察の場で、できないことを「できる」と言ってしまいます。
先輩よくあることね。本人の前で言いにくいときは、家での様子をメモにして、受付や看護師さんを通して医師に渡してもらう方法もあるわ。本人の気持ちを傷つけない伝え方を工夫してね。
受診のときに医師に渡すメモの例
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 申請した理由 | 「最近、家の中で転ぶことが増え、入浴や買い物に手助けが必要になったため申請しました」 |
| 困っていること | 「1か月に2回転倒」「薬の飲み忘れが週に3〜4回」「夜中に2〜3回起きてトイレに行く」 |
| 家族の介護の状況 | 「長女が週末だけ通っています。平日は一人暮らしです」 |
| いつから変化したか | 「半年前に入院してから、歩くのが遅くなりました」 |
| 使いたいサービス | 「デイサービスで入浴したい。手すりをつけたい」 |
主治医意見書と認定調査の違い
| 項目 | 主治医意見書 | 認定調査 |
|---|---|---|
| 作成する人 | 本人の主治医 | 市区町村の職員や委託された調査員 |
| 主な内容 | 病気の状態、医療の必要性、医学的な見通し | 日常の動作、認知機能、行動、介護の手間 |
| 確認の方法 | 診察や、これまでの診療の記録 | 本人や家族との面接、動作の確認 |
| 判定での使われ方 | 一次判定の一部と、二次判定の資料 | 一次判定の中心と、二次判定の資料 |
主治医意見書と認定調査は、医学的な視点と生活の視点から、本人の状態を補い合う関係です。どちらにも普段の様子を正確に伝えることが大切です。
ケアマネが主治医意見書を活用する場面
主治医意見書は、認定のためだけの書類ではありません。ケアマネにとっては、ケアプランをつくるための大切な医療情報です。本人の同意を得たうえで、市区町村から写しの提供を受けて活用します。
| 場面 | 活用の仕方 |
|---|---|
| アセスメント | 診断名、症状の安定性、医学的な管理の必要性を確認し、生活の課題と結びつける |
| ケアプランの作成 | 「サービス提供時の医学的観点からの留意事項」を、事業所への注意点として反映する |
| 医療系サービスの位置づけ | 訪問看護や訪問リハビリなどをケアプランに位置づけるときは、主治医の意見を確認する |
| サービス担当者会議 | 血圧の管理や運動の制限など、医療上の注意を事業所と共有する |
| 第2号被保険者の支援 | 特定疾病の内容を確認し、病気の進行を見越した支援を考える |
意見書の内容と、実際の生活の様子にずれがある場合は、主治医への情報提供のきっかけにもなります。主治医意見書のもらい方の流れは主治医意見書のもらい方|申請から提出までの流れで詳しく解説しています。
新人意見書の写しは、ケアマネが勝手にもらってもいいんですか?
先輩本人の同意が必要よ。多くの市区町村では、申請書に「ケアマネなどへの情報提供に同意する」欄があるの。同意があれば、市区町村の手続きに沿って写しを受け取れるわ。
よくある質問(FAQ)
主治医意見書の費用は、本人が払いますか?
歯科医師や、専門の科の医師でも書いてもらえますか?
主治医意見書の内容を見ることはできますか?
更新の申請のときも、主治医意見書は必要ですか?
ケアマネは主治医意見書の内容を使いますか?
主治医意見書の内容に納得できない場合は、どうすればいいですか?
主治医意見書の作成に、どのくらいの期間がかかりますか?
入院中に要介護認定を申請した場合、主治医意見書は誰が書きますか?
主治医意見書は、認定調査の前に書いてもらう必要がありますか?
認知症の診断を受けていなくても、主治医意見書に症状を書いてもらえますか?
- 主治医意見書は、要介護認定のために市区町村が主治医に依頼する医学的な意見書
- 作成の費用は介護保険から支払われ、本人の負担はない
- 病気の状態、特別な医療、認知症や障害の自立度、介護での注意点などが記載される
- 一次判定と介護認定審査会の二次判定の両方で、大切な資料として使われる
- 家での様子を具体的に医師に伝えると、本人の状態が正しく反映されやすい
















