【早見表あり】高齢者は何歳から?前期・後期高齢者の違いを解説

「高齢者って何歳からなの?」と聞かれて、はっきり答えられる人は意外と多くありません。ニュースや制度の説明では「65歳以上」「70歳以上」「75歳以上」など複数の年齢が登場し、かえって混乱してしまいがちです。
ケアマネジャーとして利用者やご家族に制度を説明する場面でも、前期高齢者と後期高齢者の違いを正しく整理しておくことは欠かせません。この記事では、高齢者の年齢の定義から、前期・後期の区分、法律・制度ごとに異なる基準までを、現場で使える形でわかりやすく解説します。
- 高齢者は何歳からを指すのか(一般的な定義とその根拠)
- 前期高齢者と後期高齢者の違い・年齢区分が早見表でわかる
- 介護保険・医療保険など制度ごとに異なる「年齢の基準」
- 「高齢者=65歳」が今後見直される可能性とその背景
高齢者は何歳から?まずは基本の定義を確認

そもそも「高齢者」って、法律で何歳からと決まっているんですか?

実は「高齢者は◯歳から」と一律に定めた法律はないのよ。でも、医療や福祉の現場では65歳が一つの目安になっているわ。
一般的には「65歳以上」を高齢者と呼ぶ
日本では、65歳以上の人を「高齢者」と呼ぶのが一般的です。これは、国連や世界保健機関(WHO)が長年「65歳以上を高齢者」として統計や政策の基準にしてきたことに基づいています。
「高齢者」という言葉そのものを一律に定義した法律は存在しませんが、多くの福祉制度や統計が65歳を区切りとしているため、社会全体で65歳が共通の目安として定着しています。
WHO・国連の定義と「高齢化率」
WHOや国連は、65歳以上の人口が総人口に占める割合を「高齢化率」と呼びます。この高齢化率によって、社会は次のように分類されます。
| 区分 | 高齢化率(65歳以上の割合) |
|---|---|
| 高齢化社会 | 7%を超えた社会 |
| 高齢社会 | 14%を超えた社会 |
| 超高齢社会 | 21%を超えた社会 |
日本はすでに高齢化率が21%を大きく上回る「超高齢社会」に入っており、世界でも有数の長寿国です。だからこそ、高齢者の年齢区分を正しく理解しておくことが、介護や医療の現場では一層重要になっています。
前期高齢者と後期高齢者の違い【年齢区分の早見表】

「前期高齢者」と「後期高齢者」って、ただ年齢で分けているだけなんでしょうか?

年齢の区切りだけでなく、医療保険の仕組みが変わる大切な分かれ目なの。まずは早見表で全体像をつかみましょう。
65歳以上の高齢者は、さらに前期高齢者と後期高齢者の2つに区分されます。この区分は医療制度や社会保障制度のうえで重要な意味を持ちます。
| 区分 | 前期高齢者 | 後期高齢者 |
|---|---|---|
| 年齢 | 65歳〜74歳 | 75歳以上 |
| 健康状態 | 比較的元気で活動的な人が多い | 心身機能の低下が目立ち始める |
| 加入する医療保険 | 国民健康保険・健康保険など | 後期高齢者医療制度 |
| 主な特徴 | 就労・地域活動など社会参加が盛ん | 医療・介護のニーズが高まりやすい |
最大の違いは75歳になると医療保険が「後期高齢者医療制度」に自動的に切り替わる点です。手続きをしなくても75歳の誕生日当日から加入し、それまで加入していた国保や健保からは外れます。
前期高齢者(65〜74歳)の特徴と社会的役割

前期高齢者は「まだ現役」という意識の方が多いわ。支援する側として地域を支えてくれる存在でもあるのよ。
健康状態|慢性疾患はあっても活動的
65〜74歳の前期高齢者は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病などの慢性疾患を抱えながらも、日常生活は自立して送れる人が多いのが特徴です。要介護認定を受けている割合も、後期高齢者と比べると大きく低くなっています。
そのため、この時期は「介護が必要な状態」よりも「介護予防」「健康寿命の延伸」が支援のテーマになります。
社会的活動|支えられる側から支える側へ
前期高齢者は、次のような形で社会と積極的に関わる人が多い世代です。
- 定年後の再雇用やパート勤務などで働き続ける。
- ボランティアや町内会、地域サロンなどの地域活動に参加する。
- 孫の世話や家事など、家庭内で重要な役割を担う。
介護の現場でも、前期高齢者は「支えられる側」ではなく「地域を支える担い手」として期待されています。介護予防・日常生活支援総合事業の通いの場づくりなどでも、元気な前期高齢者の参加が鍵を握ります。
後期高齢者(75歳以上)の特徴と課題

担当する利用者さんは後期高齢者の方が多い気がします。やっぱり75歳が一つの転換点なんですね。

そうね。後期高齢者になると医療と介護を同時に必要とする方が増える。ケアマネの腕の見せどころでもあるわ。
健康状態|医療・介護のニーズが高まる
75歳を超えると、身体機能や認知機能の低下が目立ち始め、医療や介護を必要とする割合が大きく増加します。複数の病気を同時に抱える、転倒や骨折をきっかけに要介護状態になる、といったケースも増えていきます。
後期高齢者医療制度との関係
後期高齢者は、75歳の誕生日を迎えると自動的に「後期高齢者医療制度」に加入します。医療費の自己負担割合は所得に応じて1割・2割・3割に分かれ、多くの方は1割または2割負担で医療を受けられる仕組みです。
75歳になると、それまで家族の健康保険の扶養に入っていた人も扶養から外れ、後期高齢者医療制度の被保険者として保険料を負担することになります。「保険料が新たに発生して驚いた」という相談は現場でも多いため、事前の説明が大切です。
後期高齢者が直面しやすい社会的課題
後期高齢者の支援では、健康面だけでなく生活全体を見渡す視点が求められます。代表的な課題は次のとおりです。
- 介護サービスの利用が増え、家族の介護負担も大きくなる。
- 独居高齢者や、高齢の家族が介護を担う「老老介護」が増加する。
- 外出機会の減少による社会的孤立や、年金中心の生活による経済的不安。
後期高齢者にとっては、医療・介護・地域の制度をいかに組み合わせて活用するかが生活の質を大きく左右します。ケアマネジャーによる適切なケアプランの役割は、ここで一段と重要になります。
法律・制度ごとに異なる「高齢者」の年齢基準

制度によって「65歳」「70歳」と基準が違うのが、いつも分からなくなってしまいます……。

「高齢者=65歳」が基本だけれど、制度ごとに目的が違うから基準もバラバラなの。表で整理しておくと説明がラクになるわよ。
「高齢者」と一口に言っても、制度ごとに想定する年齢は異なります。主な制度の基準を整理すると次のとおりです。
| 制度・法律 | 年齢の基準 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 老人福祉法 | 65歳以上 | 高齢者福祉サービスの対象 |
| 介護保険制度 | 65歳以上(第1号被保険者) | 原因を問わず介護サービスを利用できる |
| 介護保険制度 | 40〜64歳(第2号被保険者) | 特定疾病が原因の場合に利用できる |
| 後期高齢者医療制度 | 75歳以上 | 独立した医療保険制度に加入 |
| 高年齢者雇用安定法 | 65歳まで/70歳まで | 65歳までの雇用確保義務・70歳までの就業機会確保の努力義務 |
介護保険では、65歳以上の第1号被保険者は原因を問わず介護サービスを利用できるのに対し、40〜64歳の第2号被保険者は加齢に伴う特定疾病が原因の場合に限られます。年齢によって利用条件が変わる点は、相談対応で押さえておきたいポイントです。
「高齢者=65歳」は今後変わる可能性も

最近は「65歳はまだ若い」とよく聞きます。高齢者の定義そのものが変わることもあるんですか?

専門家からは見直しを求める提言が出ているわ。将来の制度を考えるうえで、知っておいて損はないわね。
平均寿命の延びとともに、近年は「65歳はまだ若く、現役として活躍できる」という声が高まっています。実際、日本老年学会・日本老年医学会は、高齢者の定義を75歳以上に引き上げるべきとする提言を行ったことがあります。
この提言では、年齢区分を次のように見直す案が示されました。
| 新しい区分案 | 年齢 |
|---|---|
| 准高齢者 | 65〜74歳 |
| 高齢者 | 75〜89歳 |
| 超高齢者 | 90歳以上 |
これはあくまで学会からの提言であり、現時点で法律や制度上の定義が変わったわけではありません。ただし、社会の高齢化と就労期間の長期化が進むなかで、「高齢者の定義」が将来的に見直される可能性は十分にあります。制度の動向には今後も注目しておきたいところです。
高齢者の年齢区分に関するよくある質問
高齢者は何歳からという法律上の定義はありますか?
「高齢者は◯歳から」と一律に定めた法律はありません。ただし老人福祉法や介護保険制度では65歳以上を対象としており、実務上は65歳が共通の目安になっています。
前期高齢者と後期高齢者は何歳で分かれますか?
前期高齢者は65〜74歳、後期高齢者は75歳以上です。75歳になると医療保険が後期高齢者医療制度に自動的に切り替わります。
介護保険サービスは何歳から利用できますか?
65歳以上の第1号被保険者は、要介護・要支援の認定を受ければ原因を問わず利用できます。40〜64歳の第2号被保険者は、加齢に伴う特定疾病が原因で介護が必要になった場合に利用できます。
「高齢者」と「後期高齢者」はどう違うのですか?
「高齢者」は一般的に65歳以上全体を指す言葉です。そのうち75歳以上を特に「後期高齢者」と呼び、独立した後期高齢者医療制度の対象となります。
高齢者の定義が75歳以上に変わる予定はありますか?
専門の学会から定義の引き上げを求める提言は出ていますが、2026年時点で法律や制度上の定義が変更されたわけではありません。今後の動向に注意が必要です。
まとめ|高齢者は65歳から、75歳で前期・後期に分かれる
高齢者は一般的に65歳以上を指し、さらに65〜74歳の前期高齢者と、75歳以上の後期高齢者に区分されます。前期高齢者はまだ活動的で社会参加が盛んな一方、後期高齢者は医療・介護のニーズが高まりやすいのが特徴です。
- 高齢者は一般的に65歳以上を指し、WHO・国連の定義が基準になっている。
- 前期高齢者は65〜74歳、後期高齢者は75歳以上で、75歳で医療保険が後期高齢者医療制度に切り替わる。
- 介護保険・雇用安定法など、制度ごとに想定する年齢の基準は異なる。
- 「高齢者=65歳」の定義は、将来的に見直される可能性がある。
高齢者の年齢区分は、医療・介護制度や社会政策を支える土台となる知識です。ケアマネジャーが基準を正しく理解しておくことで、利用者やご家族への説明もぐっとスムーズになります。
















