訪問入浴介護/介護予防訪問入浴介護とは?わかりやすく解説

介護保険サービスにはさまざまな種類がありますが、その中でも「お風呂」に関するサービスとして提供されているのが訪問入浴介護です。入浴は心身を清潔に保つだけでなく、リラックス効果や生活の質の向上につながります。しかし、要介護状態になり自宅の浴槽での入浴が難しくなると、「清潔を保ちたいけれど入浴できない」という悩みが生じます。
そのようなときに利用できるのが、訪問入浴介護/介護予防訪問入浴介護です。専門スタッフが浴槽を持参して自宅を訪問し、安全に入浴できるよう支援してくれるサービスです。
この記事では、訪問入浴介護の定義、対象者、サービス内容、利用の流れ、費用、メリット・デメリット、注意点についてわかりやすく解説します。
訪問入浴介護とは?
定義
訪問入浴介護とは、介護保険制度に基づくサービスのひとつで、入浴が困難な要介護者に対し、看護師と介護職員が専用浴槽を持参して自宅で入浴を提供するサービスです。
寝たきりの方や重度の身体障害がある方でも、安全かつ衛生的に入浴できるように工夫されています。
介護予防訪問入浴介護との違い
- 訪問入浴介護:要介護1〜5の人が対象
- 介護予防訪問入浴介護:要支援1・2の人が対象
いずれも基本的なサービス内容は同じですが、対象者の介護度によって名称が変わります。
対象となる利用者
訪問入浴介護を利用できるのは、以下のような方です。
- 介護保険で要介護1〜5(または要支援1・2)の認定を受けている人
- 自宅の浴槽での入浴が困難な人
- 寝たきりや認知症、障害などで入浴に介助が必要な人
利用が想定されるケース
- 脳梗塞後遺症で歩行困難になり浴室に行けない
- 認知症で安全に入浴できず、専門的支援が必要
- 人工呼吸器や酸素療法をしていて通常の入浴が難しい
- 家族だけでは入浴介助が難しい
サービス内容
訪問入浴介護では、以下のようなサービスが提供されます。
1. 事前の健康チェック
- 看護師がバイタルサイン(血圧・体温・脈拍など)を確認
- 異常があれば入浴を中止し、清拭に切り替える
2. 浴槽設置
- 専用の移動式浴槽を自宅に設置
- 給湯や排水はポンプで行う
3. 入浴介助
- 介護職員2名と看護師1名のチームで対応
- 移動・更衣・洗体・洗髪・湯あみなどを支援
4. 入浴後のケア
- 再度バイタルサインを測定
- 皮膚の観察や保湿ケアを実施
利用までの流れ
- ケアマネジャーに相談
入浴が困難であることを伝え、ケアプランに位置づけてもらう。 - 事業所との契約
サービス提供事業所と契約し、日程を調整。 - 利用開始
週1〜2回程度が一般的。本人の体調や希望に合わせて実施。
利用費用の目安
訪問入浴介護の費用は介護保険が適用され、自己負担は1〜3割です。
基本料金(1割負担の場合の目安)
- 約1,250〜1,400円/回
加算例
- 緊急時訪問加算:約100円
- サービス提供体制強化加算:約10〜20円
その他の費用
- 消耗品(シャンプー、石鹸、タオルなど)
- 交通費(遠方の場合)
1か月あたり約5,000〜12,000円程度が目安です(利用頻度による)。
訪問入浴介護のメリット
- 自宅で安全に入浴できる
移動式浴槽と専門スタッフにより、寝たきりでも入浴可能。 - 心身のリフレッシュ効果
入浴により清潔保持、血行促進、リラックス効果が得られる。 - 医療的管理のもとで安心
看護師がバイタルチェックを行い、体調に合わせて入浴可否を判断。 - 家族の介護負担軽減
自宅での入浴介助は大きな負担だが、専門職に任せられる。
デメリット・注意点
- 提供できる事業所が少ない
地域によっては訪問入浴介護の事業所が限られる。 - 浴槽設置のスペースが必要
利用できるのは浴槽を設置できる十分なスペースがある家庭。 - 費用がやや高い
デイサービスや訪問介護と比べると1回あたりの費用が高め。 - 体調次第で入浴できない場合もある
当日の体調によっては清拭対応に変更されることがある。
通常の入浴支援との違い
- 訪問介護での入浴介助:自宅の浴槽を使用。移動や入浴動作が可能な人向け。
- 訪問入浴介護:専用浴槽を使用。寝たきりや重度障害がある人も対象。
- デイサービスでの入浴:施設の浴槽を使用。通所が可能な人向け。
ケアマネジャーの視点
- 入浴が困難な場合は、まず訪問介護での入浴介助が可能か検討。
- 本人の身体状況を見て、訪問入浴介護の必要性を判断する。
- 費用や頻度を含め、家族と十分に話し合って導入を決める。
よくある質問(Q&A)
Q:訪問入浴介護はどんな人が利用しますか?
A:寝たきりや重度の要介護者で、自宅の浴槽では入浴できない方が対象です。
Q:要支援でも利用できますか?
A:はい。介護予防訪問入浴介護として利用可能です。
Q:費用は高いですか?
A:1回あたり1,200円前後+実費ですが、介護保険が適用されるため自己負担は抑えられます。
まとめ
訪問入浴介護/介護予防訪問入浴介護とは、要介護・要支援の高齢者が自宅で安全に入浴できるよう、看護師と介護職員が専用浴槽を持参して支援するサービスです。
- 対象は要介護1〜5、要支援1・2の人
- サービス内容は健康チェック、入浴介助、入浴後のケア
- 費用は1回あたり約1,200円前後+食費・消耗品費など
- メリットは安全・安心な入浴、心身リフレッシュ、家族の負担軽減
- デメリットは事業所数の少なさ、スペースの制約、費用の高さ
入浴は生活の質を大きく左右する大切な行為です。訪問入浴介護を上手に活用することで、在宅生活を続けながら快適で安心な入浴を実現できます。