特定疾患と特定疾病の違いとは?対象・制度を一覧表で解説

「特定疾患」と「特定疾病」。読み方も字面もそっくりで、現場でもどちらがどの制度の言葉か混同しやすい用語です。実はこの2つ、根拠となる制度も対象者もまったくの別物。この記事では、両者の定義・対象・違いを表で整理し、ケアマネ試験でも実務でも迷わないコツまでわかりやすく解説します。
- 「特定疾患」と「特定疾病」の正しい定義の違い
- それぞれが根拠とする制度(難病対策/介護保険)と対象者
- 介護保険の特定疾病16種類の代表例
- 試験でも実務でも混同しないための覚え方
新人「特定疾患」と「特定疾病」って、結局どう違うんですか? 書類でもどっちを使えばいいのか毎回迷ってしまって…。
先輩いい着眼点ね。ざっくり言うと「疾患」は医療(難病対策)、「疾病」は介護(介護保険)。根拠の制度が違うのよ。順番に見ていきましょうね。
特定疾患とは?|難病対策で医療費助成の対象となる病気
「特定疾患」とは、国の難病対策のなかで医療費助成の対象とされてきた疾患を指す言葉です。1972年(昭和47年)の「難病対策要綱」を出発点とし、原因が不明で治療法が確立していない、いわゆる難病を支援するために使われてきました。
現在は2015年に施行された「難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)」により、医療費助成の対象は「指定難病」として整理されています。「特定疾患」は歴史的・一般的な呼び方として今も広く使われており、文脈によっては指定難病とほぼ同じ意味で用いられます。
- 根拠は「難病対策」(現在は難病法・指定難病の制度)
- 原因不明・治療法未確立で長期療養が必要な病気が中心
- 認定されると医療費の自己負担が軽減される
- 年齢による対象の制限は基本的にない
代表的なものに、ベーチェット病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、パーキンソン病などがあります。指定難病は年々見直され、現在は340を超える疾患が対象です。つまり「特定疾患=医療費助成の対象となる難病」とイメージすると分かりやすくなります。
特定疾病とは?|介護保険で40〜64歳が対象となる16の病気
一方の「特定疾病」は、介護保険制度の言葉です。介護保険は原則65歳以上(第1号被保険者)が対象ですが、40〜64歳の第2号被保険者でも、加齢に伴って生じる一定の病気が原因で要介護・要支援状態になった場合に限り、介護保険サービスを利用できます。この「一定の病気」が特定疾病で、全部で16種類が定められています。
ポイントは「年齢」と「原因」です。65歳以上であれば原因を問わず認定を受けられますが、40〜64歳では原因が特定疾病であることが要件になります。たとえば40代で交通事故により要介護状態になっても、それは特定疾病ではないため介護保険の対象にはなりません。
新人同じ40代でも、原因が特定疾病かどうかで介護保険が使えるか変わるんですね。
先輩そう。だから第2号被保険者の申請では主治医意見書で原因疾患を確認するのがとても大事なの。ここを押さえておくと相談対応で迷わなくなるわよ。
介護保険の特定疾病16種類の代表例
厚生労働大臣が定める特定疾病は、次の16種類です。
| No. | 特定疾病 |
|---|---|
| 1 | がん(医師が回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの) |
| 2 | 関節リウマチ |
| 3 | 筋萎縮性側索硬化症(ALS) |
| 4 | 後縦靱帯骨化症 |
| 5 | 骨折を伴う骨粗鬆症 |
| 6 | 初老期における認知症 |
| 7 | 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(パーキンソン病関連疾患) |
| 8 | 脊髄小脳変性症 |
| 9 | 脊柱管狭窄症 |
| 10 | 早老症 |
| 11 | 多系統萎縮症 |
| 12 | 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 |
| 13 | 脳血管疾患 |
| 14 | 閉塞性動脈硬化症 |
| 15 | 慢性閉塞性肺疾患(COPD) |
| 16 | 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 |
このうち現場でとくに耳にしやすいのは、次のような病気です。
- がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
- パーキンソン病関連疾患
- 脳血管疾患
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 初老期における認知症
- 早老症(ウェルナー症候群など)
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
これらはいずれも加齢と関係が深い病気であることが共通点です。16種類すべての一覧と覚え方は、関連記事で詳しく整理しています。
特定疾患と特定疾病の違いを表で整理
2つの言葉の違いを一覧にすると、混同が一気に解消します。
| 項目 | 特定疾患 | 特定疾病 |
|---|---|---|
| 根拠となる制度 | 難病対策(難病法・指定難病) | 介護保険制度 |
| 主な目的 | 医療費の助成 | 介護保険サービスの利用 |
| 対象者 | 年齢制限なし | 40〜64歳の第2号被保険者 |
| 疾患の数 | 340以上(指定難病) | 16種類 |
| 代表例 | ベーチェット病、潰瘍性大腸炎、SLEなど | がん、ALS、脳血管疾患、COPDなど |
| 所管 | 主に医療(保健所など) | 市区町村の介護保険担当 |
指定難病と特定疾病の両方に当てはまる病気
特定疾病16種類の中には、指定難病にも含まれる病気があります。両方に当てはまる場合は、介護保険のサービスと、難病の医療費助成を併せて使える可能性があります。
| 病気 | 指定難病 | 介護保険の特定疾病 |
|---|---|---|
| 筋萎縮性側索硬化症(ALS) | 対象 | 対象 |
| パーキンソン病・進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症 | 対象(パーキンソン病は重症度の基準あり) | 対象 |
| 脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 | 対象 | 対象 |
| 後縦靱帯骨化症 | 対象(重症度の基準あり) | 対象 |
| 早老症(ウェルナー症候群など) | ウェルナー症候群は対象 | 対象 |
| がん(末期) | 対象外(がんは別の制度で支援される) | 対象 |
| 関節リウマチ | 対象外 | 対象 |
指定難病の医療費助成は、都道府県(指定都市)に申請し、認定されると医療費の自己負担が原則2割になり、所得に応じた月ごとの上限額が設けられます。病気ごとに重症度の基準があり、診断されただけでは対象にならない場合もあります。助成の仕組みは指定難病と難病の違いで詳しく解説しています。
もう一つまぎらわしい「厚生労働大臣が定める疾病等」
介護の現場では、もう一つ似た言葉として「厚生労働大臣が定める疾病等」があります。これは訪問看護に関わる言葉で、末期の悪性腫瘍、ALS、パーキンソン病関連疾患(一定の重症度以上)、多系統萎縮症、人工呼吸器を使っている状態などが含まれます。これらに当てはまる人は、要介護認定を受けていても、訪問看護を医療保険で利用します。
| 言葉 | 関わる制度 | 何が決まるか |
|---|---|---|
| 特定疾患(指定難病) | 難病法 | 医療費の助成を受けられるか |
| 特定疾病 | 介護保険法 | 40〜64歳の人が介護保険を使えるか |
| 厚生労働大臣が定める疾病等 | 医療保険(訪問看護) | 訪問看護を医療保険で利用するか |
詳しくは厚生労働大臣が定める疾病とは?で解説しています。
新人3つも似た言葉があると、ますます混乱しそうです…。
先輩「何が決まる言葉か」で整理すると分かりやすいわ。医療費の助成なのか、介護保険を使えるかなのか、訪問看護の保険の種類なのか。相談の目的から逆算すれば迷わないわよ。
試験でも実務でも混同しない覚え方
国家資格の試験や実務では頻出のテーマです。漢字とキーワードをひも付けて覚えると混乱しにくくなります。
- 漢字で区別する「疾患=医療(難病・医療費助成)」「疾病=介護(介護保険・16種類)」とセットで暗記する。
- 数字をひも付ける特定疾病は16種類と数が決まっている。「16=介護保険の特定疾病」と覚える。
- 対象年齢で確認する特定疾病が問われるのは「40〜64歳(第2号被保険者)」の文脈。年齢が出てきたら介護保険側と判断する。
実務で使い分けるときの考え方
現場では、利用者や家族から「医療費の負担を軽くできないか」「介護サービスを使いたい」といった相談が入り混じって寄せられます。このとき大切なのは、相談の「目的」がどちらの制度の話なのかを最初に切り分けることです。医療費の助成に関する相談であれば特定疾患(指定難病)の枠組み、介護サービスの利用に関する相談であれば特定疾病の枠組みで考えます。
特に40〜64歳の方からの相談では、原因疾患が特定疾病16種類に該当するかどうかが、介護保険を使えるかどうかの分かれ目になります。主治医意見書での原因疾患の記載を確認し、必要に応じて市区町村の介護保険担当や保健所の難病窓口につなぐことで、利用者が受けられる支援を取りこぼさずに案内できます。
よくある質問(FAQ)
がんは指定難病(特定疾患)にも含まれますか?
特定疾病の確認は、誰がどのように行いますか?
特定疾患と特定疾病、どちらが介護保険の言葉ですか?
特定疾病は何種類ありますか?
40〜64歳なら、どんな病気でも介護保険を使えますか?
パーキンソン病は特定疾患ですか、特定疾病ですか?
- 特定疾患は「難病対策」の言葉で、医療費助成の対象となる病気。年齢制限はなく、現在は指定難病として整理されている。
- 特定疾病は「介護保険制度」の言葉で、40〜64歳の第2号被保険者が介護保険を使える要件となる16種類の病気。
- 名前は似ているが、根拠制度・対象者・目的はまったく別物。「疾患=医療」「疾病=介護」と漢字で区別すると混同しない。
- パーキンソン病やALSなど両方に登場する病気もあるため、相談では「目的」を先に確認することが大切。
















