ダブルケア(育児と介護の両立)をケアマネが支援する5つのポイント

「子育てと親の介護が同時に始まってしまった」——いわゆるダブルケアに直面する家族が増えています。仕事・育児・介護が重なり、心身ともに限界寸前という相談は、ケアマネにとって決して珍しくありません。本記事では、ダブルケアの実態とケアマネが支援するときの具体的なポイントを、現場目線でわかりやすく解説します。
- ダブルケア(育児と介護の両立)とは何か・なぜ今増えているのか
- ダブルケアラーが抱えやすい4つの負担
- ケアマネがダブルケアを支援するときの5つのポイント
- 活用したい制度・社会資源と、相談先の整理
- 支援の進め方ステップとよくある質問
ダブルケアとは?育児と介護が同時に重なる状態
ダブルケアとは、育児と親(家族)の介護を同時に担う状態を指す言葉です。一般には、就学前の子どもの育児と、親や義親の介護が重なるケースを中心に語られますが、子どもの年齢や障害の有無を問わず、複数のケアを同時に背負う状況を広くダブルケアと呼びます。
晩婚化・晩産化により出産年齢が上がった結果、子育て期と親の介護期が重なりやすくなっています。さらに核家族化やきょうだいの減少で、ケアを分担できる人手が少ないことも背景にあります。内閣府の調査でも、ダブルケアを担う人は女性に多く、30〜40代の働き盛り世代に集中する傾向が示されています。
新人ダブルケアって、介護の相談に来ているのに小さなお子さんを連れている娘さん…という感じですか?
先輩まさにそうよ。利用者さん本人だけでなく、その背後で育児と介護を抱える家族介護者にも目を向けるのが、ダブルケア支援の出発点なの。
ダブルケアラーが抱えやすい4つの負担
ダブルケアを担う人(ダブルケアラー)の負担は、単に「忙しい」では片づけられません。ケアマネが支援の糸口を見つけるために、負担の中身を整理しておきましょう。
① 時間的・身体的な負担
育児と介護で一日が埋まり、自分の睡眠・休息・通院の時間すら取れません。送り迎え、通院同行、家事が重なり、慢性的な疲労に陥りやすくなります。
② 経済的な負担
教育費と介護費が同時にのしかかります。介護のために離職・時短勤務を選ぶと収入が減り、家計はさらに圧迫されます。
③ 精神的な負担と孤立
「どちらも中途半端」という罪悪感、誰にも相談できない孤立感が募ります。同じ立場の人が周囲に少なく、悩みを共有しにくいことも特徴です。
④ 仕事との両立の負担
急な発熱や呼び出し、介護の通院が重なり、仕事を休まざるを得ない場面が増えます。キャリアの停滞や介護離職のリスクとも隣り合わせです。
ケアマネがダブルケアを支援する5つのポイント
ダブルケアの支援では、利用者本人へのケアプランだけでなく、家族介護者を「支えられる対象」として捉える視点が欠かせません。現場で意識したい5つのポイントを紹介します。
ポイント1:家族介護者の状況もアセスメントする
利用者の状態把握に加え、介護者の就労状況・子どもの年齢・健康状態・他に頼れる人がいるかを丁寧に聞き取ります。「誰が・どこまで・いつまで担えるか」を把握することで、現実的なプランが見えてきます。
ポイント2:レスパイト(休息)の機会を確保する
ショートステイやデイサービスは、利用者の支援であると同時に介護者が休み、育児や仕事に向き合う時間を生み出す手段です。「介護者が休むためにサービスを使ってよい」と明確に伝えることが、罪悪感を和らげます。
ポイント3:負担が集中しすぎない役割分担をつくる
キーパーソン一人にケアが集中していないかを確認します。きょうだい・配偶者・地域資源へ役割を分散し、「一人で抱えない体制」を一緒に設計します。
新人娘さんが全部抱えていて、ご家族に頼るのが難しそうな時はどうすればいいですか?
先輩家族で難しければ、地域の社会資源にバトンを渡せばいいの。私たちの役目は『使える資源につなぐこと』。一人で背負わせない選択肢を見せてあげるのが大事ね。
ポイント4:制度・社会資源につなぐ
介護保険サービスだけでなく、育児支援・就労支援・経済的支援まで視野を広げます。ケアマネ単独で抱えず、地域包括支援センターや子育て世代包括支援センターと連携し、適切な窓口へ橋渡しします。
ポイント5:仕事との両立を後押しする
介護離職は、家計にも本人の人生にも大きな損失です。育児・介護休業法による介護休業・介護休暇・短時間勤務などの制度を情報提供し、仕事を続けながら介護できる道を一緒に探します。
ダブルケア支援で活用したい制度・社会資源
ダブルケアは介護・育児・就労・経済が絡み合うため、複数の窓口を組み合わせて支えます。代表的な資源を整理しました。
| 分野 | 主な制度・社会資源 | 役割・ポイント |
|---|---|---|
| 介護 | 介護保険サービス、地域包括支援センター | デイ・ショート等で介護者のレスパイトを確保。総合相談の窓口 |
| 育児 | 子育て世代包括支援センター、保育所・一時預かり、ファミリー・サポート・センター | 子どもの預け先を確保し、介護に向き合う時間を生む |
| 就労 | 育児・介護休業法(介護休業・介護休暇・短時間勤務等) | 仕事を続けながら介護できる環境づくり。介護離職の防止 |
| 経済 | 高額介護サービス費、各種手当・助成、社会福祉協議会 | 教育費と介護費の二重負担をやわらげる |
| 相談・つながり | ダブルケアカフェ、家族会、ピアサポート | 同じ立場の人とつながり、孤立を防ぐ |
ダブルケア支援の進め方ステップ
- ステップ1:家族介護者の状況を把握する就労・育児・健康・経済・頼れる人を聞き取り、負担の全体像をつかみます。
- ステップ2:本人と介護者の両方の目標を整理する利用者のケアと、介護者が守りたい生活(仕事・育児)の両方を尊重します。
- ステップ3:レスパイトと役割分担を組み込む休息の機会を確保し、一人に負担が集中しない体制をつくります。
- ステップ4:他分野の窓口につなぐ地域包括・子育て支援・就労支援など、必要な機関と連携します。
- ステップ5:定期的に見直す子どもの成長や介護度の変化に合わせ、こまめにプランを調整します。
ダブルケア支援に関するよくある質問
ダブルケアの相談はどこにつなげば良いですか?
介護者の負担軽減のためにサービスを使うのは認められますか?
介護離職を防ぐために何ができますか?
ダブルケアラーが孤立しないために大切なことは?
子どもがヤングケアラーになっていないか心配です。
- ダブルケアは育児と介護が同時に重なる状態で、晩産化・核家族化を背景に増えている
- ダブルケアラーは時間・経済・精神・仕事の4つの負担を抱え、孤立しやすい
- ケアマネは利用者本人だけでなく、家族介護者もアセスメントの対象にする
- レスパイトの確保・役割分担・制度や社会資源への橋渡し・就労との両立支援がカギ
- すべてを抱え込まず、各分野の窓口をつなぐ「ハブ」として動くことが支援の要
















