介護老人保健施設(老健)の入所条件とは?わかりやすく解説

介護老人保健施設(通称:老健)は、医療とリハビリ、そして介護を一体的に提供し、自宅への在宅復帰を支援することを目的とした介護保険施設です。
しかし、「老健に入所するにはどんな条件があるのか?」「特養や介護医療院との違いは?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、介護老人保健施設の入所条件をわかりやすく解説するとともに、入所対象者の特徴や手続きの流れ、注意点について詳しく紹介します。
老健の役割を理解することで、利用者や家族にとって最適な選択ができるようになります。
介護老人保健施設(老健)とは?
介護老人保健施設は、医師・看護師・介護職員・リハビリ専門職など多職種が連携し、在宅復帰を目指して支援する施設です。
主な役割は以下の通りです。
- 医療的な管理を受けながらリハビリを継続できる
- 退院直後の在宅生活への橋渡しを行う
- 在宅介護が一時的に困難な場合の受け皿になる
- 自宅復帰を目標に短期から中期の入所が可能
特養が「生活の場」であるのに対し、老健は「自宅へ戻るための中間施設」として位置づけられています。
介護老人保健施設の入所条件
老健に入所するためには、以下の条件を満たす必要があります。
1. 要介護1以上の認定を受けていること
介護老人保健施設は、介護保険の「施設サービス」に位置づけられています。したがって、要介護1〜5の認定を受けている方が対象です。要支援1・2の方は入所できません。
2. 病状が安定していること
老健は医療機関ではないため、急性期治療や集中医療が必要な方は対象外です。病状が安定していて、継続的にリハビリや介護が必要な人が入所できます。
3. 在宅復帰を目指す意思や可能性があること
老健の最大の目的は在宅復帰です。そのため、自宅や地域での生活に戻る可能性がある人が基本的な対象となります。終末期や長期療養には必ずしも向いていません。
4. 医師の診断書や紹介状が必要
入所時には、病院や主治医による診断書が必要です。持病の状況や服薬内容、リハビリの必要性が判断されます。
入所対象者の具体例
介護老人保健施設に入所する方の典型的なケースを挙げます。
- 脳梗塞や骨折の後、リハビリが必要だが自宅復帰はまだ難しい人
- 病院を退院したばかりで、体力や生活リズムを整える期間が必要な人
- 在宅介護が一時的に困難になり、家族が休養を必要としている場合
- 自宅復帰に向けて医療管理を受けつつ介護や訓練が必要な人
このように、老健は「治療が終わった後、すぐ自宅に戻るのは不安」という方の中間的な受け皿として重要な役割を担っています。
老健と他の介護保険施設の違い
特養(特別養護老人ホーム)との違い
- 特養:要介護3以上で、終身利用が可能。医療対応は限定的。
- 老健:要介護1以上から利用可能。在宅復帰が前提。医療管理とリハビリが充実。
介護医療院との違い
- 介護医療院:長期療養や医療依存度の高い方が対象。看取りにも対応。
- 老健:病状が安定していて、リハビリや在宅復帰を目指す方が対象。
療養病床との違い
- 療養病床:医療保険適用。入院扱いで、医療依存度が高い人向け。
- 老健:介護保険適用。あくまで在宅復帰を支援する中間施設。
入所の流れと必要書類
1. 相談・情報収集
地域包括支援センターやケアマネに相談し、入所可能な老健を探します。施設によってリハビリ体制や医療対応に差があるため、見学が大切です。
2. 申込手続き
以下の書類が必要になります。
- 要介護認定結果通知書
- 主治医の診断書・紹介状
- 介護保険被保険者証
- サービス利用票(ケアマネ作成)
3. 面談・判定
本人・家族との面談や健康状態の確認が行われ、施設内で受け入れ可否を判断します。
4. 契約・入所
契約書や重要事項説明書に署名し、入所開始となります。
入所条件を満たしても入れない場合
老健は需要が高く、地域によっては待機者が多い施設もあります。
また、医療処置の内容(人工呼吸器、中心静脈栄養など)によっては受け入れできない場合もあるため、複数施設に並行して申し込むことが推奨されます。
ケアマネが押さえておきたい実務ポイント
- 老健はあくまで「自宅に戻るための中間施設」であることを利用者・家族に説明する。
- 入所条件は「要介護1以上」「病状が安定している」「在宅復帰を目指せる」ことを明確に伝える。
- 医療対応範囲は施設ごとに異なるため、事前確認が不可欠。
- 入所期間は3〜6か月程度が一般的だが、状況によって延長も可能。
まとめ

介護老人保健施設(老健)の入所条件は、要介護1以上で、病状が安定し、在宅復帰を目指す意思や可能性があることです。
医療管理やリハビリを受けながら生活できるのが大きな特徴で、病院と在宅の中間的な役割を果たしています。
特養や介護医療院との違いを理解し、利用者の状態に応じて適切に選択することが大切です。
老健は、退院後すぐに自宅に戻るのが難しい高齢者や、在宅介護が一時的に困難な家庭にとって心強い存在です。
入所条件をしっかり理解し、最適なケアの場を選ぶことが、安心した介護生活につながります。