特別養護老人ホーム(特養)の入所条件とは?わかりやすく解説

特別養護老人ホーム(特養)は、介護保険施設の中でも「終の棲家」として長期的に生活できる施設として、多くの高齢者や家族から利用希望がある人気の高い施設です。
しかし、その分入所条件は明確に定められており、「誰でも入れるわけではない」という点に注意が必要です。
特に2015年の介護保険制度改正以降、原則として要介護3以上の人が対象となるなど、入所要件が厳格化されています。
本記事では、特養の入所条件についてわかりやすく解説し、具体的な対象者や入所の流れ、注意点を詳しく紹介します。
特別養護老人ホーム(特養)とは?
特別養護老人ホームは、介護保険法に基づく介護保険施設で、日常生活全般の介護を受けながら長期的に暮らせる施設です。
特徴は以下の通りです。
- 24時間体制での介護(食事・排泄・入浴など)
- 医師や看護師による健康管理(医療処置は基本的に簡易的なもの)
- 長期入所が可能(終身利用も多い)
- 費用は介護保険が適用されるため比較的安価
医療依存度が低く、日常生活の介護を中心に支援する「生活の場」としての役割を持つ施設です。
特養の入所条件とは?
1. 原則「要介護3以上」
2015年の介護保険法改正以降、要介護3以上の認定を受けている方が入所対象となっています。要支援や要介護1・2では原則入所できません。
2. 特例的に要介護1・2でも入所可能な場合
ただし、次のようなケースでは要介護1・2でも入所が認められる特例があります。
- 認知症で常時見守りが必要な場合
- 家族による介護が困難で、在宅生活が著しく困難な場合
- 施設や地域の判断で、在宅介護が不可能と認められる場合
このように、例外的に入所が認められる場合があるため、本人や家族の状況に応じてケアマネや自治体に相談することが大切です。
3. 入所判定は自治体ごとに実施
特養の入所可否は、申込みを受け付けた自治体や施設が設置する「入所判定委員会」で決定されます。
単に介護度だけでなく、介護者の状況、家庭環境、緊急性なども考慮されるため、優先度の高い人から入所できる仕組みになっています。
入所対象者の具体例
特養に入所できる人を具体的に整理すると、以下のようになります。
- 寝たきりや認知症で、常時介護が必要な高齢者
- 自宅での介護が難しく、家族だけでは生活を支えられない人
- 老健や病院を退所後、自宅復帰が困難な人
- 要介護3以上で、長期的に施設での生活が必要と判断された人
逆に、医療的処置が頻繁に必要な人(人工呼吸器、中心静脈栄養など)は、特養ではなく介護医療院や医療機関の利用が適している場合があります。
特養と他の介護保険施設の違い
介護老人保健施設(老健)との違い
- 老健:在宅復帰を目的にリハビリを行う中間施設。入所期間は数か月程度。
- 特養:生活の場として長期的に入所可能。リハビリよりも生活支援が中心。
介護医療院との違い
- 介護医療院:医療依存度が高く、長期療養が必要な人向け。看取りにも対応。
- 特養:医療対応は限定的で、日常生活の介護を中心に支援。
特養の入所手続きと流れ
1. 申込
利用希望者や家族が施設や自治体に申し込みます。必要書類は以下が一般的です。
- 介護保険証
- 要介護認定調査票
- 主治医意見書や診断書
- 申込書(施設所定)
2. 入所判定
入所判定委員会で、介護度や家庭状況、緊急性などを総合的に評価します。
3. 順番待ち(待機)
人気のある施設では待機期間が長く、半年〜数年待ちになることも珍しくありません。
4. 契約・入所
順番が回ってきたら契約を交わし、入所開始となります。
入所条件を満たしても入れないことがある
特養は需要が非常に高いため、入所条件を満たしていてもすぐに入れるとは限りません。
特に都市部では待機者が多く、長期間待機になるケースもあります。
また、施設によっては医療対応が限られるため、重度の医療処置が必要な人は断られる場合もあります。
ケアマネが押さえておきたい実務ポイント
- 特養は「要介護3以上が原則」であることを家族に明確に伝える。
- 特例入所(要介護1・2)は、認知症や在宅困難などの具体的事情を記録して申請する。
- 入所までのつなぎとして、老健やショートステイ、在宅サービスを組み合わせて支援する。
- 入所判定は施設や自治体ごとの基準があるため、地域のルールを把握しておく。
まとめ

特別養護老人ホーム(特養)の入所条件は、原則として要介護3以上で、日常生活において常時介護が必要な高齢者です。要介護1・2の人でも、認知症や在宅困難といった特例条件を満たせば入所が認められることもあります。
ただし、入所判定は自治体や施設の委員会が行い、介護度だけでなく家庭状況や緊急性も考慮されます。さらに、特養は人気が高く待機者が多いため、すぐに入所できないケースも少なくありません。
ケアマネジャーや家族は、特養の入所条件を正しく理解しつつ、老健や介護医療院など他の施設や在宅サービスも視野に入れて検討することが大切です。利用者に最適な介護の場を見つけるために、早めに情報収集を始めておくと安心です。