施設ケアプランとは?素人にもわかりやすく解説

介護サービスを利用するときに欠かせないのが「ケアプラン」です。
在宅介護ではケアマネジャーが居宅サービス計画書を作りますが、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの 施設に入所した場合にも、同じようにケアプランが作成される ことをご存じでしょうか?
これを「施設ケアプラン」と呼びます。
この記事では、施設ケアプランの役割や内容、作成の流れ、居宅ケアプランとの違いを、介護の知識がない方でも理解できるようにわかりやすく解説します。
施設ケアプランとは?
施設ケアプランとは、介護保険施設に入所している利用者一人ひとりについて作成される 施設サービス計画書 のことです。
施設に入所すると、食事・入浴・排泄などの日常生活援助から、機能訓練や医療的ケアまで幅広い支援を受けます。しかし、その内容は画一的なものではなく、本人の状態や希望、生活歴に合わせて個別に調整 されます。
このときに基準となるのが施設ケアプランで、入所者が「安心して、その人らしく生活できる」ようにサービスの内容や目標を具体的に記した計画書です。
施設ケアプランの対象となる施設
介護保険制度に基づき、以下の施設では施設ケアプランが必ず作成されます。
- 特別養護老人ホーム(特養):常時介護が必要な高齢者が入所する施設
- 介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設
- 介護医療院:医療と介護が一体的に提供される施設
- 介護療養型医療施設(一部残存)
これらの施設に入所する利用者は全員、施設ケアプランに基づいたサービスを受けることになります。
居宅ケアプランとの違い
在宅でサービスを受ける際の「居宅サービス計画書」と、施設での「施設サービス計画書」にはいくつかの違いがあります。
作成する人
- 居宅ケアプラン:居宅介護支援事業所のケアマネジャー
- 施設ケアプラン:入所先の施設ケアマネジャー(施設職員)
内容の幅
- 居宅は「訪問介護」「デイサービス」など外部サービスの組み合わせ
- 施設は「食事」「入浴」「排泄」「リハビリ」など、ほとんどが施設内で完結
利用者・家族の関わり方
- 居宅では、家族の希望を反映しやすい
- 施設では、施設の提供体制に沿った中で本人・家族の希望を調整
このように、どちらも「本人の尊厳を守る計画書」ですが、生活環境によって性質が異なります。

施設ケアプランの内容
施設ケアプランには、大きく分けて以下のような内容が記載されます。
基本情報
氏名、生年月日、要介護度、主治医、既往歴、家族構成など、利用者の基本的な情報。
課題分析(アセスメント)
身体機能(歩行・食事動作・排泄など)、認知機能、栄養状態、生活習慣などを総合的に評価。
長期目標・短期目標
- 長期目標:施設生活全体で目指す方向性(例:安全に生活し、可能な限り自立を保つ)
- 短期目標:3か月〜6か月単位で設定される具体的目標(例:転倒なく歩行器で移動できる)
サービス内容
食事介助、入浴支援、排泄ケア、機能訓練、服薬管理、医療ケアなど。
モニタリング・評価
定期的に実施状況を確認し、必要に応じて計画を修正します。
施設ケアプラン作成の流れ
- 入所時アセスメント:利用者の状態を多職種で評価する
- 施設サービス計画の作成:ケアマネジャーを中心にプランをまとめる
- サービス担当者会議:看護師・介護士・リハ職・栄養士などが参加し内容を検討
- 本人・家族の同意:計画内容を説明し、納得を得る
- サービス提供開始:プランに沿って介護サービスを実施
- モニタリング・見直し:定期的に再評価し、必要があれば修正
利用者・家族ができること
施設ケアプランは施設側が中心に作成しますが、利用者や家族も意見を述べることができます。
- 「食事は可能な限り自分で食べたい」
- 「リハビリを多めに取り入れてほしい」
- 「夜間は声をかけてほしい」
こうした要望はケアプランに反映されるべき内容です。不満や疑問があれば遠慮せず伝えることが大切です。
施設ケアプランの見直しは定期的に行われる
施設ケアプランは作成して終わりではなく、少なくとも3か月に1回は見直し が行われます。
体調変化や転倒、入院などがあればその都度修正され、常に最新の状態に合ったケアが提供される仕組みです。
まとめ
施設ケアプランとは、介護保険施設に入所した利用者が 安心して、その人らしく生活できるように支援するための計画書 です。
- ケアマネジャーを中心に多職種が協力して作成する
- 本人・家族の意向を反映する
- 定期的に見直される
居宅ケアプランとの違いを理解し、作成の流れや内容を把握することで、施設に入所する際にも安心して任せられるようになります。利用者や家族も「受け身」ではなく、積極的に意見を伝えて、納得できる施設ケアプランを作っていきましょう。