老人ホームや老健、介護医療院などに入所したら住所は施設に変更するの?

高齢者が老人ホームや介護施設に入所する際に、家族からよく聞かれる質問のひとつが「住所は施設に変更する必要があるの?」というものです。
実際、住民票を施設に移すべきか、もとの自宅住所のままでよいのかは、施設の種類や入所の目的によって変わります。
この記事では、老人ホーム・老健・介護医療院などの施設入所と住所変更の関係について、一般の方にもわかりやすく解説します。
そもそも住民票の住所とは?
住民票に記載される住所は、生活の本拠地(実際に生活の拠点としている場所) を指します。
そのため、施設に「一時的に入所するのか」「長期的に生活拠点を移すのか」によって、住所変更の必要性が変わります。
老人ホームの場合(特養・有料老人ホームなど)
特別養護老人ホーム(特養)
特養は 原則として終身利用を前提とする施設 です。自宅に戻る予定がなく、生活の拠点が施設になる場合には、住民票を特養の住所に変更するのが一般的です。
有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅
これらは「自宅扱い」となるため、基本的には 住民票を施設に移す必要があります。
特に有料老人ホームやサ高住は「賃貸住宅」と同じ扱いになるため、入居時に住所変更を求められることが多いです。
老健(介護老人保健施設)の場合
老健は 在宅復帰を目的とした中間施設 です。
入所期間は3か月〜半年程度が一般的で、一時的な利用を前提としています。
そのため、住民票を老健に移す必要はなく、自宅住所のままで入所するケースがほとんど です。
介護医療院の場合
介護医療院は、医療と生活の両面を支える 長期療養型施設 です。
多くの場合、入所者は退所せずにそこで生活を続けるため、住民票を介護医療院に移すことが推奨されます。
ただし、医療機関併設型など一部のケースでは取り扱いが異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
住所変更が必要かどうかのまとめ
施設の種類 | 住所変更の必要性 | 理由 |
---|---|---|
特養(特別養護老人ホーム) | 必要 | 終身利用が基本で生活拠点が施設になるため |
有料老人ホーム | 必要 | 「住宅扱い」となり住民票を移すのが原則 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 必要 | 賃貸契約に近く、自宅と同じ扱いになるため |
老健(介護老人保健施設) | 不要 | 在宅復帰が目的の一時利用施設だから |
介護医療院 | 必要(原則) | 長期療養を前提とし、生活拠点となるため |
住所を変更することで影響があること
- 選挙権の投票場所:住民票を移すと、投票所が施設所在地の自治体に変わります。
- 介護保険料の負担額:自治体ごとに第1号保険料が異なるため、転居すると金額が変わる場合があります。
- 医療費や福祉サービス:自治体独自の助成制度を利用している場合、住民票を移すことで対象外になることもあります。
そのため、住所変更を検討する際は 介護サービスや医療制度への影響を事前に確認 することが大切です。
まとめ
老人ホームや介護施設に入所した場合の住所変更は、施設の種類や利用目的によって異なります。
- 特養・有料老人ホーム・サ高住 → 住民票を移すのが原則
- 老健 → 自宅住所のままでOK(一時利用のため)
- 介護医療院 → 原則として住民票を移す
住所を変更することで介護保険料や選挙権の扱いが変わるため、入所前に自治体や施設に相談し、本人や家族にとって最適な方法を選ぶことが重要です。