訪問看護でできること・できないことを徹底解説!【完全版】
当ページのリンクには広告が含まれています。

在宅医療や在宅介護を支えるサービスのひとつに「訪問看護」があります。自宅に看護師が訪問し、医療的なケアや健康管理を行ってくれるサービスですが、実際にどこまでのことができるのか気になる方も多いでしょう。
「点滴や注射はしてもらえる?」「お風呂の介助はできる?」「医療と介護の境界線は?」など、疑問は尽きません。
この記事では、訪問看護でできること・できないことを詳しく解説し、利用する際の注意点や他サービスとの使い分けについてもわかりやすく紹介します。
目次
訪問看護とは?
概要
訪問看護とは、医師の指示書に基づき、看護師や保健師が自宅を訪問して療養上の世話や医療処置を行うサービスです。介護保険または医療保険のどちらかを使って利用できます。
利用対象
- 要介護1〜5の人(介護保険)
- がん末期や難病など医療ニーズが高い人(医療保険)
- 自宅療養中で、健康管理や医療処置が必要な人
あわせて読みたい


訪問看護とは?わかりやすく解説します!
高齢化が進む中で、「病院ではなく自宅で療養したい」と考える方が増えています。 そんなニーズに応えるサービスが訪問看護です。看護師が自宅に訪問し、医療的ケアや療...
訪問看護で「できること」
訪問看護でできることは、健康管理から医療的処置、家族への支援まで幅広いです。主な内容を以下にまとめます。
健康状態の観察・管理
- 血圧・体温・脈拍・呼吸の測定(バイタルチェック)
- 病状の観察(むくみ、発熱、体調変化など)
- 疾患の悪化防止や早期発見
医療的処置
- 点滴、注射
- 胃ろう、経鼻栄養の管理
- 褥瘡(床ずれ)の処置
- 在宅酸素療法の管理
- 人工呼吸器の管理
- カテーテル管理(尿道カテーテル、気管カニューレなど)
服薬管理
- 薬の飲み忘れ防止(内服確認)
- 薬の副作用や効果のチェック
- 薬の整理や説明
療養上の世話
- 清拭(からだを拭くケア)
- 部分浴(手浴・足浴など)
- 排泄の介助(オムツ交換、排尿排便の観察)
- 食事介助や栄養管理(経口摂取が難しい場合の工夫も含む)
リハビリテーション
- 関節可動域訓練
- 筋力低下を防ぐ運動指導
- 呼吸リハビリ(痰の排出練習など)
精神的ケア
- 認知症ケア(不安や混乱への対応)
- うつ傾向のある方への傾聴や相談支援
終末期(ターミナル)ケア
- 苦痛の緩和(疼痛コントロール)
- 在宅での看取りの支援
- 家族への精神的サポート
訪問看護で「できないこと」
訪問看護は「医療・看護」に特化したサービスであり、日常生活全般の介護や家事代行はできません。
家事・生活援助
- 掃除や洗濯、買い物代行
- 調理や食事の準備(一般的な生活援助は不可)
介護サービス的な支援
- 入浴介助(全身浴)は原則不可
- 外出の付き添い
- 趣味活動やレクリエーション
医師の指示がない医療行為
- 独自判断での注射や処置
- 処方薬の追加や変更
医師・薬剤師の業務にあたること
- 薬の処方や調剤
- 詳細な診断行為
つまり、生活援助は訪問介護の領域、医療的ケアは訪問看護の領域と考えるとわかりやすいです。
訪問介護と訪問看護の違い
項目 | 訪問介護 | 訪問看護 |
---|---|---|
提供者 | ホームヘルパー(介護職員) | 看護師、保健師 |
主な目的 | 生活援助・身体介護 | 医療的ケア・健康管理 |
できること | 食事・排泄・入浴介助、掃除、買い物など | 点滴、服薬管理、褥瘡ケア、在宅酸素など |
できないこと | 医療行為(注射、点滴など) | 掃除、買い物、調理など生活援助 |
あわせて読みたい


訪問介護と訪問看護の違いとは?わかりやすく解説
在宅介護を考える際によく耳にする「訪問介護」と「訪問看護」。 どちらも自宅にスタッフが来て支援をしてくれるサービスですが、提供できる内容や目的は大きく異なりま...
訪問看護の利用料金
介護保険で利用する場合(自己負担1割の場合)
- 30分未満:約400円
- 30分〜1時間未満:約800円
- 1時間〜1時間30分未満:約1,100円
医療保険で利用する場合
- 初回:約5,000円前後
- 2回目以降:約3,000円前後/回
※所得に応じて1〜3割負担
※夜間・緊急時の訪問は加算あり
訪問看護を利用するメリット
- 医療と看護を自宅で受けられる
病院に行かなくても、看護師が定期的に訪問してくれるため安心。 - 体調変化にすぐ対応できる
症状の悪化を早期に発見し、医師と連携して対応可能。 - 家族の負担軽減
医療処置を任せられることで、家族が安心して介護を続けられる。 - 在宅での看取りが可能
終末期も自宅で過ごしたいという希望に応えられる。
訪問看護を利用するデメリット・注意点
- できないことも多い
掃除や食事作りなどの生活援助は対象外。訪問介護との併用が必要。 - 回数制限がある
医師の指示や保険制度によって、訪問できる回数に制限があります。 - 費用がかかる場合もある
医療保険を使う場合は1回あたりの自己負担が高めになることも。
訪問看護を利用するまでの流れ
- 主治医に相談
訪問看護指示書を発行してもらう。 - ケアマネジャーに相談
介護保険を使う場合はケアプランに組み込む。 - 訪問看護ステーションと契約
サービス内容や訪問回数を調整。 - 利用開始
看護師が定期的に訪問し、必要に応じて緊急対応も。
まとめ
訪問看護は、自宅で医療的ケアや健康管理を受けられるサービスです。
- できること:点滴、服薬管理、褥瘡ケア、在宅酸素、リハビリ、ターミナルケア
- できないこと:掃除や洗濯など生活援助、医師の指示がない医療行為
訪問介護と役割が分かれているため、生活支援は訪問介護、医療ケアは訪問看護と組み合わせることで、自宅でも安心して療養生活を送ることができます。