居宅と在宅の違いとは?介護保険制度でわかりやすく解説

介護や医療の分野でよく使われる「居宅」と「在宅」という言葉。
どちらも「自宅で生活すること」を指しているように聞こえますが、実際には介護保険制度や医療制度の中で意味が少し異なります。
「居宅サービスって何?」「在宅医療とはどう違うの?」「同じ意味で使ってもいいの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、居宅と在宅の違いをわかりやすく解説し、介護保険や医療の現場でどのように使い分けられているかを具体例とともに紹介します。
「居宅」とは?
定義
「居宅」とは、介護保険制度において 自宅などの生活の場 を指す言葉です。介護保険法や関連通知で用いられ、「居宅介護支援」「居宅サービス」などの用語に登場します。
例:居宅サービス
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問看護
- 通所介護(デイサービス)
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 福祉用具貸与 など
つまり「居宅サービス」とは、自宅で生活している高齢者が施設に入らずに利用できる介護サービスの総称です。
施設との対比
介護保険では「居宅サービス」と「施設サービス」を分けており、施設サービスは特養(特別養護老人ホーム)、老健(介護老人保健施設)、介護医療院などが含まれます。
「在宅」とは?
定義
「在宅」とは、医療や介護の現場で 自宅を拠点に生活すること全般 を指します。特に医療分野では「在宅医療」「在宅看護」「在宅リハビリ」などの言葉として使われます。
例:在宅医療
- 在宅訪問診療(医師が定期的に訪問)
- 在宅酸素療法
- 在宅人工呼吸器管理
- 在宅緩和ケア
「在宅」は法律的な用語ではなく、より一般的な言葉として「施設や病院ではなく、自宅で行う医療・介護」を指すことが多いです。
居宅と在宅の違いをわかりやすく比較
項目 | 居宅 | 在宅 |
---|---|---|
主な使われ方 | 介護保険制度の用語 | 医療・介護の一般用語 |
意味 | 自宅などの生活の場 | 自宅で療養・生活すること全般 |
用例 | 居宅介護支援、居宅サービス | 在宅医療、在宅看護、在宅介護 |
対比される言葉 | 施設(特養・老健など) | 病院や施設 |
法的な位置づけ | 介護保険法で明確に定義 | 法律上の定義は曖昧 |
なぜ混同されやすいのか?
言葉の響きが似ている
「居宅」と「在宅」はどちらも「自宅で暮らす」という意味合いがあるため、日常的には同じ意味で使われやすい。
介護と医療で使われ方が違う
- 介護分野 → 居宅サービス、居宅支援
- 医療分野 → 在宅医療、在宅ケア
と使い分けられるため、両方の制度に触れる家族や利用者が混乱しやすいのです。
居宅サービスの具体例
訪問介護
ホームヘルパーが自宅を訪問し、入浴・排泄・食事などをサポート。
通所介護(デイサービス)
日中施設に通い、入浴や食事、レクリエーションを提供。
訪問看護
看護師が自宅を訪問し、医師の指示に基づいて医療的ケアを行う。
短期入所(ショートステイ)
数日〜数週間施設に滞在し、介護や生活支援を受ける。
在宅医療の具体例
在宅訪問診療
医師が定期的に自宅を訪問し、診察や処方を行う。
在宅看護
訪問看護師が自宅で点滴や褥瘡ケア、終末期ケアを行う。
在宅リハビリ
理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、生活動作に即した訓練を行う。
「居宅と在宅」の使い分けのポイント
- 介護保険制度の文脈 → 居宅
「居宅介護支援」「居宅サービス」などは制度上の用語。 - 医療や一般的な言葉 → 在宅
「在宅医療」「在宅介護」「在宅勤務」など、広く使われる。 - 同じ意味で使われることも多い
厳密には違いますが、一般会話では大きな混乱を生むことは少ない。
居宅と在宅を組み合わせた支援の重要性
高齢者が安心して自宅で暮らし続けるためには、介護保険の「居宅サービス」と医療の「在宅医療」を組み合わせることが大切です。
- 居宅サービス → 日常生活を支える(介護職員が担当)
- 在宅医療 → 健康管理・医療処置を支える(医師・看護師が担当)
両者をうまく連携させることで、自宅での生活の質(QOL)を維持できます。
まとめ
「居宅」と「在宅」は似ている言葉ですが、介護保険制度の用語か、一般的な医療・介護の言葉かで使い分けられます。
- 居宅:介護保険制度で使われる専門用語(居宅サービス、居宅介護支援など)
- 在宅:病院や施設ではなく自宅で行う療養や生活全般を指す言葉(在宅医療、在宅看護など)
利用者や家族にとっては「どちらも自宅での生活に関わる言葉」と覚えておけば十分ですが、制度上は意味が異なるため、ケアマネジャーや医師と話すときに理解しておくと安心です。