区分支給限度基準額に含まれない費用と適用されないサービスをわかりやすく解説

介護保険を利用する際に必ず登場するのが「区分支給限度基準額」という言葉です。
これは、要介護度ごとに決められた 1か月あたりに使える介護サービス費の上限額 のことを指します。
しかし、「この上限に含まれない費用は?」「どのサービスが対象外になるの?」という疑問を持つ方も多いです。実際には、区分支給限度基準額の枠に入らないサービスや費用があり、それを知らないと「思ったより自己負担が多い」と感じるケースもあります。
この記事では、区分支給限度基準額の基本と、含まれない費用・適用されないサービス をわかりやすく整理しました。
区分支給限度基準額とは?
介護保険では、要介護度に応じて1か月に使える介護サービス費用の上限が決められています。これを「区分支給限度基準額」と呼びます。
例えば、2024年の目安では以下のように設定されています。
- 要介護1:約5万円(50,000円強)
- 要介護3:約12万円
- 要介護5:約16万円
この範囲内であれば、利用者は1割〜3割の自己負担で介護サービスを利用できます。上限を超えた分は全額自己負担となるため、ケアマネジャーはサービスを組み合わせて計画を立てます。
ただし、すべてのサービスがこの枠に含まれるわけではなく、対象外となる費用・サービス が存在します。
区分支給限度基準額に含まれない費用とは?
区分支給限度基準額には「介護サービス費」のみが含まれます。そのため、それ以外の費用は対象外となり、自己負担が必要です。
代表的なものは以下のとおりです。
- 食費・居住費(施設利用時の食事代や居住費用は別途)
- おむつ代・日常生活品費(消耗品や個人的な購入物)
- 通所サービスの食事代・おやつ代
- 送迎にかかる特別料金(遠方など)
- 理美容代、クリーニング代
- 医療費や薬代(介護保険ではなく医療保険扱い)
- 福祉用具購入の自己負担分
- 住宅改修の自己負担分
つまり、生活に必要な費用のうち「介護保険の対象外」と判断されるものは、区分支給限度基準額には含まれません。
区分支給限度基準額に適用されないサービスとは?
介護保険の中でも「基準額の枠外」で利用できるサービスがあります。これは、介護サービスであっても 特例的に別枠扱い となるものです。
① 居宅介護支援(ケアマネジメント)
ケアマネジャーが作成するケアプランや、モニタリングなどの居宅介護支援費は 基準額の枠外 で提供されます。利用者負担もありません。
② 福祉用具購入
腰掛便座、入浴補助用具、特殊尿器などの特定福祉用具購入費(年10万円まで支給)は 基準額に含まれない別枠扱い です。
③ 住宅改修
手すり設置や段差解消などの住宅改修(20万円まで支給)は、こちらも基準額とは別枠で利用できます。
④ 特定入所者介護サービス費
施設入所時の「食費・居住費の補足給付(いわゆる補足給付)」も基準額の対象外です。
利用者が注意すべきポイント
- 「サービスを受けているのに自己負担が多い」と感じる場合、基準額対象外の費用 が含まれていることが多いです。
- 区分支給限度基準額の計算は「介護サービス費」に限られます。
- ケアマネジャーは、対象外の費用も含めたトータルの生活負担を把握しておく必要があります。
- 特に施設サービス利用時は「介護サービス費」以外に 食費・居住費 が大きな自己負担になるため注意が必要です。
まとめ|基準額の対象外を理解して、賢く介護保険を使おう
介護保険の区分支給限度基準額は、要介護度に応じて月額20万円前後まで介護サービスを利用できる便利な仕組みですが、 食費・居住費・日用品費 などは含まれず、さらに「居宅介護支援・福祉用具購入・住宅改修」などは別枠扱いとなります。
基準額の対象と対象外を正しく理解することで、「なぜ自己負担が多いのか?」といった疑問も解消できます。ケアマネジャーや家族は、利用者の生活にかかる総費用を見える化し、安心してサービスを継続できる環境を整えていきましょう。