在宅介護が増えている理由5つ|背景と今後の課題を解説

当ページのリンクには広告が含まれています。


「昔より、家で介護する人が増えているのはなぜ?」——施設が足りないから、と思われがちですが、理由はそれだけではありません。国の政策、家族の形の変化、本人の希望、医療の進歩が重なった結果です。

この記事では、在宅介護が増えている5つの理由と、これから起こることを整理しました。

この記事でわかること
  • 在宅介護が増えている5つの理由
  • 国が在宅を進めてきた背景(地域包括ケアシステム)
  • 在宅介護を支える仕組みがどう整ってきたか
  • 増加にともなって起きている課題
  • これから家族が備えておきたいこと
目次

在宅介護が増えている5つの理由

1. 国が「住み慣れた地域での生活」を進めてきた

国は、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めてきました。医療・介護・予防・住まい・生活支援を地域で一体的に提供する考え方で、在宅を支える仕組みづくりが政策の柱になっています。

2. 高齢者の数が増え、施設だけでは支えきれない

高齢化で要介護者が増え続ける一方、施設の整備には土地・建物・人材が必要です。すべての人を施設で受け止めることは現実的に難しく、在宅での生活を支える方向に重心が移りました。

3. 本人が「家にいたい」と望む

最期まで自宅で過ごしたいと望む人は少なくありません。住み慣れた環境は生活のリズムを保ちやすく、認知症がある人にとっても混乱が起きにくいという利点があります。

4. 在宅を支えるサービスが充実してきた

訪問介護・訪問看護に加え、24時間対応のサービスや、通い・訪問・泊まりを組み合わせるサービスが整ってきました。医療的なケアが必要な人でも、在宅で過ごせる場面が増えています。

サービス在宅を支える役割
訪問介護食事・入浴・排泄の介助や、家事の支援
訪問看護健康状態の確認、医療的な処置、服薬の管理
定期巡回・随時対応型訪問介護看護日中・夜間を通じた短時間の巡回と、緊急時の対応
小規模多機能型居宅介護通い・訪問・泊まりを一つの事業所で組み合わせる
福祉用具・住宅改修介助の負担を減らし、自宅での安全を確保する

5. 医療の進歩で、在宅でできることが増えた

在宅酸素療法、在宅中心静脈栄養、人工呼吸器など、かつては入院が必要だった医療的ケアも、在宅で続けられるようになりました。訪問診療や訪問看護と組み合わせることで、看取りまで自宅で過ごす選択もできます。

新人ケアマネ新人

「施設が足りないから在宅」だけではないんですね。

ベテランケアマネ先輩

そうなの。本人の希望や、在宅を支えるサービスの広がりも大きな理由よ。ただ、支える家族の負担が置き去りになりやすい点は、正直に伝えたいところね。

増加にともなって起きている課題

課題内容
家族の負担の集中夜間対応や急変時の対応が家族に残り、介護離職につながることがある
担い手の不足ヘルパーの高齢化と人手不足で、必要なサービスを組めないことがある
老老介護・独居の増加支える家族がいない、または家族自身が高齢という世帯が増えている
地域差使えるサービスの量や種類が、市町村によって大きく異なる
医療的ケアへの対応在宅でできることが増えた一方、対応できる事業所は限られる
ポイント:在宅を選べる人と、選ばざるを得ない人がいる在宅介護の増加には、「本人が望んで選ぶ在宅」と「ほかに選択肢がなく在宅になる」の両方が含まれます。後者の場合ほど、家族の負担が重くなりやすく、支援の設計が重要になります。

これから家族が備えておきたいこと

  • 早めに要介護認定を申請する必要になってから慌てないよう、状態が変わったら早めに相談します。
  • 地域の資源を知っておく地域包括支援センターで、使えるサービスや地域の支え合い活動を確認します。
  • 家族の役割を分担する直接の介護だけでなく、金銭管理や手続きなど、離れていてもできる役割を割り振ります。
  • お金の見通しを立てる在宅で続ける場合と施設を利用する場合の費用を、早い段階で比べておきます。
  • 本人の希望を聞いておく元気なうちに、どこでどう暮らしたいかを話し合っておきます。

データでみる在宅介護の広がり

在宅介護の広がりは、制度の利用状況にも表れています。介護保険のサービス利用者のうち、多くを占めるのが在宅(居宅)サービスの利用者です。

視点傾向
サービス利用者の構成施設サービスより、居宅サービスの利用者のほうが多い
要介護度の分布比較的軽度の人が多く、その多くが在宅で生活している
世帯の形高齢者の単独世帯・夫婦のみ世帯が増え続けている
看取りの場所病院での死亡が多数だが、自宅での看取りの割合が少しずつ増えている

傾向は厚生労働省の統計(介護保険事業状況報告、国民生活基礎調査、人口動態統計など)で確認できます。最新の数値は公表資料でご確認ください。

在宅介護を続けるために欠かせない3つの要素

  • 医療とのつながり:急変時に相談できる在宅医・訪問看護があるか
  • 休息の確保:介護する人が定期的に休める仕組みがあるか
  • 見守りの目:家族以外に、状態の変化に気づける人がいるか

この3つのうち一つでも欠けると、在宅生活は続けにくくなります。サービスを「足りているか」ではなく、「この3つが揃っているか」で点検すると、抜けが見つけやすくなります。

在宅介護が増えるなかで、ケアマネに求められること

  • 家族の状態も見立てる:介護する人の健康、仕事、経済状況まで含めてアセスメントする
  • インフォーマルな資源を把握する:保険外の支えを知っているほど、支援の幅が広がる
  • 医療との連携を早めに作る:急変時の連絡先を、元気なうちに決めておく
  • 地域の課題として発信する:足りない資源は、地域ケア会議などで共有する

在宅で支えるということは、家族と地域の力を、制度と組み合わせて設計するということです。ケアマネの調整力が、これまで以上に問われています。

よくある質問(FAQ)

在宅介護が増えているのは、施設が足りないからですか?
それも一因ですが、国の政策として在宅を支える仕組みづくりが進められてきたこと、本人が自宅を望むこと、在宅で使えるサービスが充実したことなど、複数の理由があります。
在宅介護はこれからも増えますか?
高齢者の増加が続くなか、在宅を支える方向は続くと見込まれます。一方で、支える担い手の確保が課題になっています。
医療的なケアが必要でも在宅で暮らせますか?
訪問診療や訪問看護を組み合わせることで、在宅酸素療法や経管栄養などを続けながら暮らすことができます。対応できる事業所があるかは、地域によって差があります。
独居でも在宅介護は可能ですか?
可能な場合もあります。サービスの組み合わせ、見守りの体制、緊急時の連絡手段が整っているかが判断の分かれ目です。
まず何から相談すればよいですか?
お住まいの地域包括支援センターが最初の窓口です。要介護認定を受けている場合は、担当のケアマネに相談しましょう。
まとめ
  • 在宅介護が増えている背景には、地域包括ケアシステムを進める国の政策がある
  • 高齢者の増加で施設だけでは支えきれず、在宅を支える仕組みに重心が移った
  • 本人の「家にいたい」という希望と、在宅サービスの充実も大きな理由
  • 医療の進歩で、在宅酸素療法や経管栄養などを続けながら暮らせるようになった
  • 一方で、家族への負担の集中、担い手不足、地域差という課題が残っている

ケアマネ向けのおすすめの本を紹介します!

ぜひ、クリックして確認してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次