介護記録に生成AIを使う方法|プロンプト例と個人情報の注意点

「介護記録を書く時間が足りない」「生成AIで記録の文章を整えられないか」。記録業務の負担が重い介護現場で、ChatGPTなどの生成AIを活用しようという動きが広がっています。
結論からいうと、生成AIは介護記録の文章を整える、要約する、言い回しを統一するといった作業で大きな時短になります。ただし、利用者の個人情報の扱いと、AIが事実と違う内容を書く危険があるため、事業所としてルールを決めてから使うことが欠かせません。この記事では、介護記録に生成AIを使う方法、具体的な指示文(プロンプト)の例、個人情報の注意点とルールづくりの手順をまとめました。
- 介護記録で生成AIが役立つ場面
- すぐに使える指示文(プロンプト)の例
- 個人情報と、AIの誤りに関する注意点
- 事業所で生成AIを使うためのルールづくりの手順
介護記録で生成AIが役立つ場面
生成AIは、入力した文章をもとに、新しい文章を作ったり整えたりできる人工知能です。介護記録では、次のような場面で役立ちます。
| 場面 | 活用の例 |
|---|---|
| 文章を整える | 箇条書きのメモを、読みやすい記録の文章に直す |
| 言い回しを統一する | 「〜しました」「〜した」など、職員ごとにばらばらな書き方をそろえる |
| 専門用語の言い換え | 家族向けの連絡帳用に、専門用語をわかりやすい言葉に直す |
| 要約する | 長い申し送りや会議の内容を、要点だけにまとめる |
| 主観と客観を分ける | 「機嫌が悪かった」などの主観的な表現を、観察した事実に分けて書き直す案を出す |
| 記録の見直し | 誤字脱字や、不適切な表現がないかをチェックする |
反対に、利用者の状態を判断する、ケアの方針を決めるといった専門職としての判断は、AIに任せてはいけません。AIはあくまで「文章作りの補助」と考えましょう。
新人メモを記録の文章にしてくれるだけでも、だいぶ楽になりそうです。
先輩そうね。ただ、AIが書いた文章は必ず自分で読み直して、事実と合っているかを確認すること。記録の責任は書いた職員にあるのは変わらないわ。
生成AIで介護記録を書くときの指示文(プロンプト)例
生成AIへの指示は、具体的に書くほど狙いどおりの文章になります。次の例を参考に、事業所に合わせて調整してください。個人名などは入れずに使う前提です。
例1:メモを記録の文章に整える
あなたは介護施設の記録担当です。次のメモを、介護記録として適切な文章に整えてください。条件:です・ます調は使わず「〜した」で書く。観察した事実と、職員の対応を分けて書く。推測で情報を足さない。メモ:Aさん 10時 入浴 拒否あり 声かけ3回 11時に再度誘い入浴 表情おだやか
例2:主観的な表現を客観的にする
次の介護記録の中で、主観的な表現を見つけ、観察した事実に基づく表現への書き換え案を示してください。書き換えの理由も簡単に添えてください。
例3:家族向けにわかりやすく言い換える
次の内容を、介護の専門用語を使わずに、ご家族向けの連絡帳の文章として150字程度にまとめてください。やさしい言葉づかいで、不安をあおらない表現にしてください。
指示文のポイントは、役割・目的・条件・文字数をはっきり伝えることです。「推測で情報を足さない」と明記すると、AIが事実にない内容を書き加えるのを防ぎやすくなります。
介護記録に生成AIを使うときの注意点
個人情報を入力しない
一般向けの生成AIサービスでは、入力した内容がサービスの改善に使われる場合があります。利用者の氏名・住所・生年月日・病名など、個人を特定できる情報は入力しないのが原則です。「Aさん」「80代女性」のように置き換えて使いましょう。
法人向けのプランや、介護記録システムに組み込まれたAI機能では、入力データを学習に使わない設定になっているものもあります。どのサービスを、どの設定で使うかを事業所として決めることが大切です。
AIの誤り(ハルシネーション)に注意する
生成AIは、もっともらしい文章を作るのが得意な一方、事実と違う内容を自然な文章で書くことがあります。これをハルシネーションと呼びます。記録では、次の点を必ず確認しましょう。
- 時間・回数・数値(バイタルなど)が元のメモと一致しているか
- 実際にはなかった出来事や発言が足されていないか
- 利用者の状態を、元のメモより重く・軽く表現していないか
記録の責任は職員にある
介護記録は、サービス提供の証拠であり、運営指導や事故のときに確認される大切な書類です。AIを使っても、記録の内容に責任を持つのは記録した職員と事業所です。
新人便利な分、使い方を間違えるとこわいですね。
先輩だからこそ、個人の判断ではなく事業所のルールとして使うことが大事なの。ルールがあれば、職員も安心して使えるわ。
事業所で生成AIを使うためのルールづくりの手順
- 使う目的と範囲を決める文章の整形・要約・言い換えなど、どの業務に使ってよいかを決めます。ケアの判断には使わないことも明記します。
- 使うサービスと設定を決める法人として契約するサービス、学習に使わない設定、アカウントの管理方法を決めます。個人のアカウントでの業務利用は避けます。
- 入力してよい情報を決める個人を特定できる情報は入力しない、置き換えのルール(Aさん、80代女性など)を決めます。
- 確認の手順を決めるAIが作った文章は必ず元のメモと照らし合わせる、最終確認は記録者が行うなどの手順を決めます。
- 研修と見直しを行う職員に研修を行い、使ってみて困ったことを定期的に集めてルールを見直します。
あわせて、利用者・家族への説明も検討しましょう。重要事項説明書や個人情報の利用目的に、業務効率化のためにAIを含むシステムを使うことがあると記載する事業所もあります。
記録システムのAI機能という選択肢
最近は、介護記録システムに音声入力や文章の自動作成などのAI機能が組み込まれた製品も増えています。システムの中で完結するため、個人情報の管理がしやすく、記録への転記の手間も減らせるのが利点です。導入を検討するときは、データの保管場所や、AIの学習に使われるかどうかを確認しましょう。
よくある質問
無料の生成AIを業務で使ってもいいですか?
AIが作った記録は運営指導で問題になりますか?
パソコンが苦手な職員でも使えますか?
ケアプランの作成にも使えますか?
- 生成AIは、介護記録の文章の整形・要約・言い換えで時短に役立つ
- 指示文では役割・目的・条件・文字数を伝え、「推測で足さない」と明記する
- 利用者を特定できる個人情報は入力しない
- AIの誤りに注意し、元のメモと照らし合わせて記録者が最終確認する
- 目的・サービス・入力情報・確認手順を事業所のルールとして決めて使う














