同一建物減算とは?対象サービスとケアプランの注意点

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サ高住や住宅型有料老人ホームの入居者を担当したとき、同じサービスを同じ回数使っているのに、単位数が想定より低い——そんな経験はありませんか。原因の多くは同一建物減算です。減算の存在を知らないままケアプランを組むと、限度額の計算がずれ、利用者への説明もできなくなります。この記事では、同一建物減算の仕組みと、ケアプランを組むときに押さえるべき点を解説します。

この記事でわかること
  • 同一建物減算とは何か、なぜ設けられているのか
  • 対象となるサービスと、減算が適用される建物の関係
  • 「同一敷地内」「同一建物」「同一建物居住者」の違い
  • ケアプラン作成時に注意すべき点
  • 減算と囲い込み問題のつながり
目次

同一建物減算とは?移動コストが低い分を調整する仕組み

同一建物減算とは、事業所と同じ建物または同じ敷地内に住んでいる利用者へサービスを提供する場合に、所定単位数が減算される仕組みです。

訪問系サービスの報酬には、移動にかかる時間とコストが織り込まれています。ところが同じ建物の中で提供する場合、その移動が発生しません。効率よく提供できる分を報酬に反映させるのが減算の趣旨です。

想定される場面移動の実態
戸建て住宅への訪問事業所から車で移動。時間もコストもかかる
サ高住の1階に事業所、入居者は3階エレベーターで移動。ほぼコストがかからない
新人ケアマネ新人

減算されるということは、利用者の負担は減るんですか?

ベテランケアマネ先輩

そうよ。単位数が下がるから、その分の自己負担も下がるし、限度額の消費も少なくなるの。だから同じ限度額でも、実は多めにサービスを組めることがあるわ。減算=損、ではないのよ。ケアプランを組むときはここを踏まえて計算することね。

対象となるサービス

同一建物減算は、主に訪問系サービス通所系サービスに設けられています。

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 通所介護・通所リハビリテーション(送迎に関する減算)
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ほか
注意:減算率・要件はサービスごとに異なる減算の名称、適用条件、減算率はサービス種別ごとに定められており、改定のたびに見直されます。本記事では具体的な減算率を挙げていません。必ず最新の告示・解釈通知で、該当するサービスの要件を確認してください。

「同一建物」の範囲

実務で混乱しやすいのが、どこまでが「同一建物」なのかという点です。おおまかに次の3つの考え方があります。

区分イメージ
同一敷地内・隣接する敷地内の建物事業所と同じ敷地、または隣接した敷地に建つ建物に居住
同一の建物事業所と同じ建物に居住(サ高住の下層階に事業所があるなど)
同一建物居住者上記に該当しなくても、1つの建物に一定人数以上の利用者が居住し、そこへ集中して訪問する場合

3つ目の考え方があるため、事業所が別の場所にあっても減算対象になることがあります。「うちの事業所は併設ではないから関係ない」という理解は誤りです。

ポイント:減算の判断は事業所が行う減算を適用するかどうかを判断し、請求に反映させるのはサービス提供事業所です。ケアマネジャーが決めるものではありません。ただし利用票・別表には結果が反映されるため、内容を理解していないと利用者に説明できません。

ケアプランを組むときの注意点

  • 入居先の建物と事業所の関係を確認するサ高住や住宅型有料老人ホームを担当したら、併設事業所かどうかをまず確認します。
  • 減算後の単位数で限度額を計算する減算があると消費単位が下がります。限度額に余裕が出る場合があります。
  • 利用者に金額の根拠を説明できるようにする「なぜ他の人より安いのか」を聞かれたときに答えられる状態にしておきます。
  • サービスの必要性は独立して判断する減算があるからといって、必要以上にサービスを増やす理由にはなりません。
  • 事業所選択の自由を確保する併設事業所以外を選ぶ選択肢も、必ず利用者へ提示します。

囲い込み問題とのつながり

同一建物減算は、いわゆる囲い込みの問題と地続きにあります。サ高住や住宅型有料老人ホームで、入居と引き換えに併設事業所のサービス利用が事実上強制される、限度額いっぱいまでサービスが組まれる、といった事例が指摘されてきました。

注意:ケアマネジャーの独立性が問われる併設の居宅介護支援事業所に所属している場合でも、利用者には事業所を選ぶ自由があります。特定事業所への集中が著しい場合、その理由を説明できるようにしておく必要があります。運営指導でも確認される点です。
新人ケアマネ新人

併設の事業所を使うこと自体が問題ということですか?

ベテランケアマネ先輩

それ自体は問題ないわ。近くて緊急時に強いのは本当のメリットだもの。問われるのは「利用者が選んだ結果かどうか」よ。選択肢を示したうえで選ばれたのなら堂々としていいの。示していないなら、そこが問題ね。

担当したときに最初に確認する3点

サ高住や住宅型有料老人ホームの入居者を新たに担当したら、次の3点を最初に確認しておくと、その後の混乱を防げます。

  • 建物と事業所の位置関係同じ建物か、同一敷地か、隣接地か。パンフレットではなく現地で確認します。
  • 入居契約と介護サービス契約の関係入居の条件として特定の事業所の利用が求められていないかを確認します。求められている場合は、その旨を記録に残します。
  • 家賃・食費・管理費と介護サービス費の内訳介護保険の対象と対象外を分けて把握しないと、利用者への説明ができません。
ポイント:月額総額で見ないと実態がつかめない介護サービスの自己負担だけを見ていると、利用者の負担実感とずれます。家賃・食費・管理費・保険外サービスを合わせた月額総額で把握しておくと、「思ったより高い」という相談に的確に応えられます。

よくある質問(FAQ)

居宅介護支援費にも同一建物減算はありますか?
居宅介護支援費については、サービス提供事業所と同様の同一建物減算の枠組みではありませんが、報酬体系の中で効率性を踏まえた仕組みが議論されてきました。自事業所に適用される内容は最新の告示で確認してください。
減算されると事業所の収入は減りますが、サービスの質は落ちませんか?
減算は移動コストが発生しない分を調整するものであり、サービス内容の水準を下げることを認めるものではありません。提供時間や内容が計画どおりかは、モニタリングで確認してください。
減算対象かどうかはどこで分かりますか?
提供票・利用票別表の単位数に反映されます。判断するのは事業所ですが、疑問があれば根拠を確認してください。
同じマンションに複数の利用者がいる場合はどうなりますか?
1つの建物に居住する利用者の人数によって減算が適用される仕組みがあります。人数の基準はサービスごとに定められているため、最新の要件を確認してください。
集合住宅への訪問が多いと、事業所は不利になりますか?
報酬は下がりますが、移動時間が短い分だけ多くの訪問が可能になります。制度は効率性を反映させる設計になっています。
まとめ
  • 同一建物減算は、事業所と同じ建物・敷地の利用者へ提供する際に、移動コストが低い分を報酬に反映させる仕組み。
  • 単位数が下がるため、自己負担も限度額の消費も減る。減算=損ではない。
  • 事業所が別の場所でも、1つの建物に一定人数以上の利用者がいれば対象になりうる。「併設でないから無関係」は誤り。
  • 減算を判断するのは事業所。ただしケアマネは限度額計算と利用者への説明のために内容を理解しておく。
  • 囲い込み問題と地続き。併設事業所の利用自体は問題ではないが、選択肢を示したうえで選ばれたかが問われる。

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