総合事業とは?介護給付との違いをケアマネ向けに解説
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要支援1の利用者に訪問介護を入れようとしたら、「それは総合事業です」と言われて戸惑った——総合事業は、介護保険の給付とは別の枠組みで動いており、しかも中身が市町村ごとに違います。制度の全体像をつかんでおかないと、サービス調整のたびに手が止まります。この記事では、総合事業の構造、対象者、サービスの種類、そしてケアマネジャーが押さえるべき実務のポイントを整理します。
この記事でわかること
- 総合事業とは何か、介護給付との違い
- 介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業の違い
- 対象になるのは誰か(要支援者と事業対象者)
- サービスの類型と、市町村ごとに違う理由
- ケアマネジャーが実務で押さえるべき点
目次
総合事業とは?給付ではなく「事業」
正式名称は介護予防・日常生活支援総合事業です。市町村が行う地域支援事業の一部として位置づけられています。
最大の特徴は、これが全国一律の「保険給付」ではなく、市町村が地域の実情に応じて設計する「事業」だという点です。
| 介護給付・予防給付 | 総合事業 | |
|---|---|---|
| 枠組み | 保険給付 | 地域支援事業 |
| 基準 | 全国一律 | 市町村が設定 |
| 対象 | 要介護1〜5/要支援1・2 | 要支援1・2/事業対象者 |
| サービスの担い手 | 指定事業者 | 指定事業者、NPO、住民主体など多様 |
| 費用の管理 | 区分支給限度基準額 | 市町村が定める上限(事業ごと) |
新人市町村ごとに違うということは、隣の市の話は参考にならないのですか?
先輩枠組みは同じでも、中身のサービスの種類・単価・利用回数の上限は本当に違うわ。「前の職場ではこうだった」が通用しないのが総合事業なの。異動したら、まず地域包括に行って一覧をもらうことね。
総合事業の2本柱
1. 介護予防・生活支援サービス事業
要支援者と事業対象者を対象に、訪問型・通所型のサービスなどを提供するものです。ケアマネジャーが調整に関わるのは主にこちらです。
| 類型 | 内容のイメージ |
|---|---|
| 訪問型サービス | 従前の訪問介護に相当するもの、緩和した基準によるもの、住民主体の支援、短期集中予防サービス など |
| 通所型サービス | 従前の通所介護に相当するもの、緩和した基準によるもの、住民主体の通いの場、短期集中予防サービス など |
| その他の生活支援サービス | 配食、見守り、栄養改善 など |
| 介護予防ケアマネジメント | サービス利用にあたってのケアマネジメント |
2. 一般介護予防事業
こちらはすべての高齢者が対象です。認定を受けていなくても参加できます。
- 介護予防把握事業(支援が必要な人を把握する)
- 介護予防普及啓発事業(教室、講座など)
- 地域介護予防活動支援事業(住民主体の通いの場の支援)
- 地域リハビリテーション活動支援事業(専門職の派遣)
ポイント:認定がなくても使える資源がある一般介護予防事業は、要介護認定を受けていない人でも参加できます。「まだ認定は受けたくない」という人や、非該当となった人の受け皿として使えます。地域の通いの場を把握しておくと、提案の幅が広がります。
対象になるのは誰か
- 要支援1・2の認定を受けている人
- 事業対象者(基本チェックリストにより該当と判定された人)
事業対象者は、要介護認定を受けずに基本チェックリストだけでサービスを使える仕組みです。認定申請より早くサービスにつなげられる利点があります。
注意:事業対象者では使えないサービスがある事業対象者が利用できるのは総合事業のサービスであり、福祉用具貸与や訪問看護などの予防給付は利用できません。これらが必要な場合は、要介護認定の申請が必要になります。判断を誤ると、必要なサービスにつながらない期間が生じます。
ケアマネジャーの実務ポイント
- 担当地域の一覧を手に入れる市町村や地域包括支援センターが、総合事業のサービス一覧を作成しています。まずこれを入手します。
- 類型ごとの単価と上限を把握する「従前相当」と「緩和した基準」では単価も回数の上限も異なります。
- 予防プランの委託関係を確認する要支援者のケアマネジメントは地域包括支援センターが担い、居宅介護支援事業所へ委託される形が一般的です。
- 要介護へ移行するタイミングを見極める状態が悪化した場合、要介護認定の申請へ切り替える判断が必要です。
- 住民主体のサービスも選択肢に入れるボランティアによる支援や通いの場は、費用が安く、社会参加にもつながります。
注意:内容・単価・上限は必ず市町村で確認を本記事は制度の枠組みを整理したものです。サービスの種類、単価、利用回数の上限、利用者負担の考え方は市町村ごとに定められています。実際の調整にあたっては、必ず担当地域の要綱と一覧で確認してください。
総合事業でよくあるつまずき
| つまずき | 防ぎ方 |
|---|---|
| 「従前相当」と「緩和型」を混同し、単価や回数を誤る | 担当地域の一覧で類型ごとの単価・上限を確認する |
| 事業対象者に予防給付のサービスを組もうとする | 福祉用具貸与・訪問看護等が必要なら認定申請へ切り替える |
| 転居した利用者に前の市の感覚で説明してしまう | 転入先の市町村で内容を確認し直す |
| 状態が悪化しても事業対象者のまま続けてしまう | 定期的に状態を評価し、認定申請の要否を判断する |
| 住民主体のサービスを知らず、選択肢に入れられない | 地域包括で通いの場・生活支援の資源を確認しておく |
ポイント:地域包括支援センターが最良の情報源総合事業の中身は市町村の要綱に書かれていますが、実際に使えるかどうか(空きがあるか、対応してもらえるか)は現場の情報です。地域包括の担当者と関係を作っておくことが、結局は一番の近道になります。
よくある質問(FAQ)
要介護1以上の人は総合事業を使えますか?
介護予防・生活支援サービス事業の対象は要支援者と事業対象者です。要介護認定を受けている人は介護給付のサービスを利用します。ただし一般介護予防事業には参加できる場合があります。市町村に確認してください。
基本チェックリストはどこで受けられますか?
地域包括支援センターや市町村の窓口で実施されます。認定申請をせずにサービスにつなげたい場合の入口になります。
総合事業に区分支給限度基準額は適用されますか?
介護給付の区分支給限度基準額とは別に、市町村が事業ごとの上限を定めています。考え方は自治体によって異なるため確認が必要です。
事業対象者から要支援・要介護になった場合は?
要介護認定を申請し、結果に応じてサービスを組み直します。事業対象者のままでは使えないサービスがあるため、必要性が生じた時点で申請を検討してください。
予防プランは居宅介護支援事業所が作れますか?
要支援者のケアマネジメントは地域包括支援センターが実施主体となり、居宅介護支援事業所へ委託される形が一般的です。委託の条件や件数の扱いは地域によって異なります。
まとめ
- 総合事業は保険給付ではなく地域支援事業。市町村が中身を設計するため、地域によって内容が違う。
- 2本柱は「介護予防・生活支援サービス事業」(要支援者・事業対象者が対象)と「一般介護予防事業」(すべての高齢者が対象)。
- 一般介護予防事業は認定がなくても参加できる。非該当の人や認定を望まない人の受け皿になる。
- 事業対象者は福祉用具貸与や訪問看護などの予防給付を使えない。必要なら認定申請へ切り替える。
- 「前の職場ではこうだった」が通用しない領域。異動したらまず市町村の一覧を入手する。
















