医療的ケア児とは?支援法のポイントと使えるサービス・相談先

「医療的ケア児って、どんな子どものこと?」「たんの吸引や経管栄養が必要な子は、保育園や学校に通えるの?」「家族が使える支援や相談先は?」。医療技術の進歩で、日常的に医療的なケアを受けながら自宅で暮らす子どもが増えています。
結論からいうと、医療的ケア児とは、人工呼吸器やたんの吸引、経管栄養などの医療的ケアを日常的に必要とする子どものことです。2021年9月に施行された医療的ケア児支援法で、国や自治体、保育所・学校の設置者に支援の責務が定められました。この記事では、医療的ケア児の定義、支援法のポイント、使えるサービスと相談先をまとめました。
- 医療的ケア児とは何か、主な医療的ケアの種類
- 医療的ケア児支援法のポイント
- 保育・学校・福祉で使える支援
- 医療的ケア児支援センターなどの相談先
医療的ケア児とは?主な医療的ケアの種類
医療的ケア児支援法では、医療的ケア児を「日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童」と定義しています。ここでいう「児童」には、18歳以上で高校などに在籍している人も含まれます。
医療的ケアとは、人工呼吸器による呼吸管理、たんの吸引など、家族や看護師などが日常的に行う医療的な生活援助のことです。主なものは次のとおりです。
| 医療的ケア | 内容 |
|---|---|
| たんの吸引 | 口や鼻、気管切開部からチューブでたんを吸い取る |
| 経管栄養 | 鼻から胃へのチューブ(経鼻胃管)や、おなかに作った口(胃ろう)から栄養をとる |
| 人工呼吸器の管理 | 呼吸を助ける機械の設定や回路の確認を行う |
| 気管切開の管理 | のどに開けた穴のカニューレの管理や消毒 |
| 導尿 | カテーテルで尿を出す |
| 酸素療法・血糖測定・インスリン注射 | 酸素の管理、糖尿病の子の血糖管理など |
全国の医療的ケア児(在宅・0〜19歳)は、約2万人と推計されています。ただし、手帳などで決まった方法で数えられないため、正確な人数は把握しにくいとされています。
新人医療的ケア児は、みんな重い障害があるんですか?
先輩そうとは限らないの。歩けたり、話せたりする子でも、たんの吸引や経管栄養が必要なら医療的ケア児なのよ。障害者手帳の対象にならない子もいて、それが「制度のすき間」と言われてきた理由の一つなの。
医療的ケア児支援法のポイント
正式な名前は「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」です。2021年6月に成立し、同年9月18日に施行されました。
- 家族の離職を防ぐ:医療的ケア児の健やかな成長とともに、家族が仕事を辞めなくて済むようにすることを目的に掲げています。
- 国・自治体の責務:それまでの「努力義務」から、支援を行う「責務」へと位置づけが強まりました。
- 保育所・学校の設置者の責務:保育所や学校で、看護師などを配置して医療的ケアを行うよう求めています。
- 医療的ケア児支援センター:都道府県が、家族の相談に応じる専門の窓口を設置できるとしました。
この法律ができたことで、保育所や学校での受け入れの体制づくりが進みました。ただ、看護師の確保が難しいなどの理由で、地域によって受け入れの状況に差があるのが実情です。
医療的ケア児と家族が使える主な支援
| 分野 | 主な支援 |
|---|---|
| 医療 | 訪問診療、訪問看護、小児慢性特定疾病の医療費助成、重度心身障害者医療費助成 |
| 福祉(日中) | 児童発達支援、放課後等デイサービス(看護師がいる事業所)、居宅訪問型児童発達支援 |
| 福祉(家族の休息) | 短期入所(医療型)、日中一時支援、居宅介護 |
| 保育・教育 | 保育所での受け入れ、特別支援学校や通常の学校での看護師の配置 |
| お金 | 特別児童扶養手当、障害児福祉手当、日常生活用具の給付(吸引器など) |
2024年度の障害福祉サービス等報酬改定では、放課後等デイサービスや児童発達支援で医療的ケア児を受け入れる事業所の評価が見直されるなど、受け入れを後押しする改定も行われています。
家族のレスパイト(休息)も大切
医療的ケア児の家族は、夜中もたんの吸引をするなど、24時間ケアを続けていることが少なくありません。家族が倒れてしまわないよう、短期入所や訪問看護の長時間利用などで、休める時間をつくることが大切です。
新人どこに相談すればいいかわからない家族も多そうですね。
先輩まずは都道府県の医療的ケア児支援センターや、市区町村の障害福祉の窓口、相談支援専門員に相談するといいわ。医療的ケア児等コーディネーターという、医療と福祉をつなぐ人がいる地域もあるのよ。
ケアマネや介護職が関わる場面も
医療的ケア児の祖父母が要介護になり、ケアマネジャーが家族全体の状況を知る場面もあります。親が医療的ケア児の介護と親の介護を同時に担う「ダブルケア」になっていることも少なくありません。家族の負担に気づいたら、障害福祉の相談支援専門員や市区町村の窓口と連携し、子どもと高齢者の両方の支援を組み合わせて考えることが大切です。
相談先と支援を受けるまでの流れ
- 退院前に病院の相談員と話すNICUや小児科を退院する前に、医療ソーシャルワーカーと在宅生活の準備を進めます。
- 市区町村の窓口に相談する使える福祉サービスや手当、日常生活用具を確認します。
- 相談支援専門員と計画を作る障害児支援利用計画を作り、通う場所や家族の休息の方法を決めます。
- 保育所・学校と話し合う入園・入学の1年以上前から相談を始めると、看護師の配置などの準備が進めやすくなります。
医療的ケア児の家族が直面しやすい課題
支援法ができて受け入れは広がりつつありますが、家族が実際に直面する課題はまだ多くあります。
- 仕事との両立:保育所に入れない、学校の送迎や付き添いを求められるなどで、親が仕事を辞めたり減らしたりせざるをえないことがあります。
- 夜間の睡眠不足:夜中のたんの吸引や体位変換、機器のアラーム対応で、家族がまとまった睡眠をとれないことが続きます。
- きょうだいへの影響:家族の時間や関心が医療的ケア児に向きがちで、きょうだいが寂しさやがまんを抱えることがあります。
- 外出のハードル:吸引器や酸素ボンベなど荷物が多く、外出先で医療的ケアができる場所も限られます。
- 災害への備え:停電すると人工呼吸器や吸引器が使えなくなるため、予備のバッテリーや発電機、避難先の確保が欠かせません。
こうした課題は、家族だけで抱えこまず、相談支援専門員や訪問看護師、医療的ケア児等コーディネーターと共有することが大切です。きょうだい向けの支援や、家族同士の交流会を行っている団体もあります。
よくある質問
保育所や学校で、医療的ケアは誰が行いますか?
18歳を過ぎたらどうなりますか?
障害者手帳がなくても支援は受けられますか?
- 医療的ケア児は、たんの吸引や経管栄養などを日常的に必要とする子ども
- 全国で約2万人と推計され、歩ける・話せる子も含まれる
- 2021年9月施行の支援法で、国・自治体・保育所・学校の責務が定められた
- 医療・福祉・保育・教育・手当など、使える支援は幅広い
- 医療的ケア児支援センターや相談支援専門員に早めに相談する















