サービス付き高齢者向け住宅の入居条件とは?わかりやすく解説

近年、注目を集めている「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。
介護施設と賃貸住宅の中間的な存在として、高齢者が安心して暮らせる環境を提供しています。
しかし、「誰でも入れるのか?」「入居条件に年齢や要介護度の制限はあるのか?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、サービス付き高齢者向け住宅の入居条件について、制度上のルールや実際の対象者、入居までの流れをわかりやすく解説します。
ご家族の住まい探しやケアマネジャーの相談対応にも役立つ情報をまとめました。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは?
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者住まい法に基づいて整備された住宅で、一般的には「サ高住」と呼ばれています。
特徴は以下の通りです。
- 高齢者が安心して暮らせる賃貸住宅
- 各住戸は原則25㎡以上で、バリアフリー設計
- 安否確認と生活相談サービスが必須
- 必要に応じて介護サービスを外部から利用できる
つまり、特別養護老人ホームや老健などの「施設」とは異なり、あくまで「住まい」として位置づけられています。
そのため、入居条件も介護保険施設とは大きく違うのが特徴です。
サービス付き高齢者向け住宅の入居条件
サ高住の入居条件は、法律と運営方針によって定められています。
主な条件は次の通りです。
1. 年齢要件
- 原則60歳以上の高齢者
- もしくは、要介護・要支援認定を受けている60歳未満の方
高齢者本人だけでなく、配偶者や60歳以上の親族が同居するケースも認められます。
2. 自立または軽度の介護が必要な方
サ高住は介護施設ではないため、医療依存度が高く、常時介護が必要な方は入居が難しいケースがあります。基本的には、自立〜要介護中度程度の方が想定されています。
3. 安定した収入・家賃を支払えること
賃貸住宅の一形態であるため、家賃・共益費・サービス費を継続的に支払える経済力が必要です。保証人や身元引受人を求められるケースも多いです。
4. 医療・介護サービスは外部連携
サ高住自体が介護サービスを提供するわけではなく、必要に応じて訪問介護・訪問看護などを外部から利用します。そのため、介護が重度の場合は別の施設の方が適している場合もあります。
入居対象者の具体例
実際にサ高住に入居する方の特徴を整理すると、以下のようなケースが多いです。
- 高齢で一人暮らしが不安になり、見守りサービスを希望する方
- 自宅は段差が多く危険なので、バリアフリー住宅に住み替えたい方
- 家族は近くに住んでいるが、日常の安否確認や相談相手が欲しい方
- 要支援・要介護認定を受けていて、訪問介護などを併用しながら生活したい方
このように、在宅生活は可能だが安全・安心を求めたい方に適した住まいです。
サ高住と他の施設の違い
特別養護老人ホーム(特養)との違い
- 特養:要介護3以上が対象。長期入所が可能。
- サ高住:要介護度に関わらず入居可能。住まいとして自由度が高い。
介護老人保健施設(老健)との違い
- 老健:在宅復帰を目的としたリハビリ施設。入所は数か月程度。
- サ高住:終身利用も可能。退去の必要がなく、自宅として利用できる。
有料老人ホームとの違い
- 有料老人ホーム:食事提供・介護サービスが一体的に提供される場合が多い。
- サ高住:生活相談・安否確認が基本。介護サービスは外部利用が中心。
サービス付き高齢者向け住宅の入居手続きと流れ
1. 情報収集と見学
地域包括支援センターやケアマネに相談し、候補となるサ高住を探します。施設見学を行い、住まいやサービス内容を確認しましょう。
2. 申込と書類提出
必要書類(申込書、身分証明書、介護保険証、収入証明など)を提出します。
3. 面談・審査
本人や家族との面談を経て、入居可否を判断します。医療依存度や生活状況によっては入居を断られる場合もあります。
4. 契約・入居
賃貸契約を締結し、初期費用(敷金など)を支払ったうえで入居が始まります。
入居条件を満たしていても注意すべき点
- 医療的ケアが常時必要な場合は入居困難なことがある
- 認知症が重度で徘徊や暴力行為がある場合は断られることもある
- 費用は施設ごとに差があり、家賃+共益費+サービス費+介護保険自己負担で月額15〜25万円程度が一般的
- 将来的に介護度が重くなった際の対応を確認しておくことが重要
ケアマネが押さえておきたい実務ポイント
- サ高住は「施設」ではなく「住まい」であることを説明する
- 入居条件は「60歳以上または要介護認定者」であることを伝える
- 医療依存度が高い場合や重度認知症の場合は他の施設も検討する
- 入居後は在宅サービスの調整が必要になるため、ケアマネの役割が大きい
まとめ

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居条件は、原則60歳以上の高齢者、または要介護・要支援認定を受けている人です。介護施設ではなく「住まい」であるため、介護や医療が必要な場合は外部サービスを利用しながら生活する仕組みになっています。
特養や老健と比べると入居条件は柔軟ですが、医療依存度や認知症の重症度によっては入居が難しいこともあります。入居を検討する際には、事前に見学や相談を行い、将来的な生活の見通しも踏まえて判断することが大切です。
サ高住は、「自宅は不安だけれど、まだ施設には入りたくない」という高齢者にとって安心できる選択肢です。条件を正しく理解し、利用者に合った住まい選びを進めていきましょう。