福祉用具購入費支給限度基準額とは?わかりやすく解説

介護保険を利用する中で、「手すりやシャワーチェアなどを購入したいけれど、費用はどれくらいまで介護保険で支給されるの?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
そんなときに重要になるのが福祉用具購入費支給限度基準額です。
聞き慣れない言葉ですが、これは介護保険制度の中で定められた「福祉用具を購入する際に、介護保険が適用される上限額」のことです。
上限を超えると自己負担が増えてしまうため、利用者や家族、そしてケアマネジャーにとって理解しておくことが欠かせません。
この記事では、福祉用具購入費支給限度基準額の仕組み、対象となる用具、注意点、利用方法について、わかりやすく解説していきます。
福祉用具購入費支給限度基準額とは?
定義
福祉用具購入費支給限度基準額とは、介護保険を使って福祉用具を購入できるときに、1年間に支給される購入費の上限額のことを指します。
上限額
- 上限は 年間10万円まで
- 自己負担割合(1割〜3割)を除いた分が介護保険から支給されます
例:
5万円のシャワーチェアを購入した場合(自己負担1割の人)
→ 介護保険から4万5千円が支給され、自己負担は5千円
支給限度基準額の仕組み
1. 年単位で管理される
支給限度基準額は「利用開始から12か月ごと」ではなく、4月から翌年3月までの年度単位で管理されます。年度内で10万円を超えた場合、超過分は全額自己負担になります。
2. 1割負担でも限度額は変わらない
自己負担割合が2割や3割の人でも、基準額は同じ「10万円」です。そのため、実際に使える保険給付額は自己負担率に応じて変わります。
3. 対象となるのは「購入」のみ
レンタルできる福祉用具は対象外です。あくまで「購入する必要があるもの」に限定されています。
福祉用具購入費の対象となる用具
介護保険で購入できる福祉用具は、厚生労働省で定められた13品目のうち、実際に購入対象となるのは以下の5種類です。
- 腰掛便座(ポータブルトイレ、補高便座など)
- 入浴補助用具(シャワーチェア、浴槽用手すり、すのこなど)
- 簡易浴槽(工事を伴わず設置できるもの)
- 移動用リフトのつり具部分
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
これらは日常生活に不可欠であり、衛生や安全の観点から「レンタルではなく購入が必要」とされているため、購入対象になっています。
購入の流れ
- ケアマネジャーへ相談
利用者の状態を確認し、購入の必要性を検討します。 - 事前申請
市区町村へ「福祉用具購入費支給申請書」を提出します。 - 購入
承認後、指定事業者から対象用具を購入します。 - 支給申請
購入した領収書を添えて市区町村に申請します。 - 払い戻し
自己負担分を除いた費用が後日、口座に振り込まれます。
※地域によっては「受領委任払い」という仕組みがあり、この場合は購入時に自己負担分だけ支払えばよく、残りは事業者が直接市区町村に請求します。
福祉用具購入で注意すべきポイント
1. 事前申請が必要
承認を受けずに購入すると、介護保険が使えないケースがあります。必ずケアマネジャーや市区町村に相談してから購入しましょう。
2. 限度額を超えると全額自己負担
年度内に複数回購入するときは、合計額が10万円を超えないよう注意が必要です。
3. 必ず指定事業者から購入する
介護保険制度の対象となるのは「指定を受けた事業者」からの購入に限られます。ネット通販や一般店舗で買った場合は対象外になることがあります。
4. 使えなくなった場合の再購入
同じ年度内であっても、「破損」「身体状況の変化」など正当な理由があれば再度購入できる場合もあります。
よくある質問(Q&A)
Q:10万円を超えた分はどうなりますか?
A:超過分は全額自己負担です。例えば15万円分購入した場合、10万円までは保険対象、残り5万円は自己負担となります。
Q:要支援の人も使えますか?
A:はい、要支援1・2の人も対象です。ただし、ケアプランに位置づけられている必要があります。
Q:毎年リセットされますか?
A:はい。4月から翌年3月までの年度ごとにリセットされます。
ケアマネジャーの役割
福祉用具購入費を利用する際、ケアマネジャーは以下の役割を担います。
- 利用者の身体状況や生活環境を評価
- 購入が必要かどうかを判断
- ケアプランに位置づけ
- 事前申請や手続きのサポート
- 購入後の使用状況を確認
ケアマネジャーが適切に関与することで、無駄な出費を防ぎ、必要な福祉用具を安心して利用することができます。
まとめ
福祉用具購入費支給限度基準額とは、**介護保険を利用して購入できる福祉用具の年間支給上限額(10万円)**のことです。
- 年度内に10万円までが保険適用
- 自己負担は原則1割(所得により2割・3割)
- 対象は腰掛便座や入浴補助用具など5種類
- 購入前には必ずケアマネや市区町村に相談し、事前申請が必要
制度を正しく理解し、無理のない範囲で活用することが、安心した在宅生活を送るための大きな助けになります。