訪問リハビリテーションとは?わかりやすく解説

在宅介護や在宅医療が進む中で、注目されているサービスの一つが訪問リハビリテーションです。
病気や加齢によって身体機能が低下した高齢者や障害を持つ方が、自宅にいながらリハビリを受けられる仕組みであり、利用者が「住み慣れた家」で生活を続けられるように支える重要な役割を担っています。
しかし「訪問リハビリテーションってデイケアとどう違うの?」「誰が対象?」「費用はどのくらいかかるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、訪問リハビリテーションの定義、対象者、サービス内容、利用までの流れ、費用、メリット・デメリットについて、初めての方にもわかりやすく解説します。
訪問リハビリテーションとは?
定義
訪問リハビリテーションとは、医師の指示に基づき、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者の自宅を訪問してリハビリを行うサービスです。
要介護者や要支援者が在宅で安全に生活できるように、身体機能の維持・改善、日常生活動作の練習、嚥下や言語訓練などを行います。
特徴
- 自宅でリハビリを受けられる
- 利用者の生活環境に合わせた支援が可能
- 医師の指示書が必須
- 介護保険・医療保険どちらでも利用できる場合がある
対象となる利用者
訪問リハビリを利用できるのは以下の方です。
- 介護保険の要支援1・2、要介護1〜5の認定を受けている方
- 怪我や脳血管疾患、廃用症候群などでリハビリが必要な方
- 通所リハビリ(デイケア)に通うことが困難な方
- 医師が「訪問リハビリが必要」と判断した方
サービス内容
訪問リハビリで受けられるサービスは多岐にわたります。
1. 身体機能の維持・改善
- 関節可動域訓練
- 筋力トレーニング
- バランス練習
2. 日常生活動作(ADL)練習
- 起き上がり、立ち上がり練習
- トイレ動作や入浴動作の練習
- 調理や掃除など家事動作の練習
3. 環境調整・福祉用具アドバイス
- 手すりの設置位置の提案
- 車椅子や歩行器の選定・使用方法指導
4. 言語・嚥下リハビリ
- 言語聴覚士による発声練習
- 嚥下訓練(食べ物を飲み込む力の維持・改善)
5. 介護者への助言
- 家族に介助方法を指導
- 在宅生活を安全に続けるための支援
利用までの流れ
- 主治医に相談
訪問リハビリが必要かどうか医師に確認。 - ケアマネジャーに依頼
介護保険サービスとして利用する場合は、ケアプランに位置づけてもらう。 - リハビリ計画の作成
医師の指示書をもとに、リハビリ職が個別計画を作成。 - サービス開始
週1〜2回程度、1回20〜40分が一般的。
費用の目安
訪問リハビリは介護保険または医療保険で利用できます。
介護保険(1割負担の場合)
- 20分あたり:約300〜400円
- 40分:約600〜800円
医療保険
- 外来リハビリと同等の料金(自己負担1〜3割)
その他の費用
- 交通費:基本的に不要(ただし対象地域外は実費の場合あり)
訪問リハビリのメリット
- 自宅環境に即したリハビリができる
実際の生活の場で動作練習ができるため、成果が日常生活に直結。 - 外出が困難でも利用できる
通院や通所が難しい方でも自宅でリハビリが受けられる。 - 家族も学べる
介助方法を家族が直接学べるため、介護負担を軽減できる。 - 在宅生活の継続に役立つ
身体機能の維持だけでなく、生活リズムの安定にもつながる。
訪問リハビリのデメリット・注意点
- 実施時間が限られる
1回20〜40分程度のため、十分な時間が確保できないと感じる場合がある。 - 医師の指示が必須
主治医の指示がなければ利用できない。 - リハビリの内容に制限がある
デイケアのように機器を使った大規模な訓練はできない。 - 事業所数が限られる地域もある
訪問リハビリを提供する医療機関や事業所が少ない地域も存在する。
通所リハビリ(デイケア)との違い
項目 | 訪問リハビリ | 通所リハビリ(デイケア) |
---|---|---|
提供場所 | 利用者の自宅 | 医療機関・施設 |
利用者 | 外出困難な人向け | 外出可能な人向け |
リハビリ内容 | 個別・生活環境に合わせた訓練 | 機器を用いた訓練や集団訓練もあり |
利用時間 | 20〜40分 | 半日〜1日 |

ケアマネジャーの視点
- 「在宅生活を維持する」目的で訪問リハビリを導入するケースが多い
- 家族の介護負担を軽減できるため、在宅介護を続ける支援として有効
- 通所サービスとの組み合わせで、より効果的なケアプランを立てやすい
よくある質問(Q&A)
Q:訪問リハビリは週何回利用できますか?
A:医師の指示書に基づきますが、週1〜2回程度が一般的です。
Q:どんな人が利用に向いていますか?
A:通所リハビリに行けない人、在宅での日常動作に課題がある人です。
Q:費用は高いですか?
A:介護保険や医療保険が適用されるため、自己負担は比較的少額です。
まとめ
訪問リハビリテーションとは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者宅を訪問してリハビリを行うサービスです。
- 対象は要支援・要介護の人で、医師の指示が必要
- サービス内容は身体機能訓練、日常生活動作練習、環境調整、家族指導など
- 費用は20分あたり300〜400円(1割負担の場合)
- メリットは自宅環境に即したリハビリができる点、外出困難でも利用できる点
- デメリットは時間や内容の制限、地域による事業所不足
訪問リハビリは、在宅生活を続けたい利用者と家族を支える大切なサービスです。利用を検討している方は、まずは主治医やケアマネジャーに相談してみましょう。
