福祉用具貸与(レンタル)とは?わかりやすく解説

介護保険サービスのひとつである「福祉用具貸与(レンタル)」は、在宅介護を支えるうえで欠かせない制度です。
自宅で暮らし続けたい高齢者や要介護者にとって、車いすや特殊ベッド、歩行器といった福祉用具は生活の安全性や自立を大きく支えてくれます。
しかし「どんな用具が借りられるの?」「購入とレンタルの違いは?」「料金はいくらぐらい?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、福祉用具貸与の仕組みや対象者、料金、利用までの流れをわかりやすく解説します。
福祉用具貸与(レンタル)とは?
概要
福祉用具貸与(レンタル)は、介護が必要な方が自宅で安全に暮らせるように、必要な用具を購入ではなくレンタル形式で利用できるサービスです。介護度や生活状況に応じて必要なものを借りられるため、身体の状態が変化しても柔軟に交換できる点が大きな特徴です。
例えば、要介護度が進んでベッドからの移動が難しくなった場合は、歩行器から車いすに切り替えることが可能です。高額な福祉用具を購入せずに済み、経済的負担も軽減できます。
レンタルできる福祉用具の種類
介護保険でレンタルできる主な福祉用具は以下のとおりです。
- 車いす(標準型、自走型、介助型)
- 車いす付属品(クッション、ブレーキなど)
- 特殊寝台(電動ベッドなど)
- 特殊寝台付属品(マットレス、サイドレールなど)
- 床ずれ防止用具(エアマットレスなど)
- 体位変換器
- 手すり(工事を伴わない簡易設置型)
- スロープ(段差解消用)
- 歩行器
- 歩行補助つえ(多点杖など)
- 移動用リフト(つり具を除く)
これらは「状態に応じて選べる」「必要に応じて交換できる」点で、購入よりもレンタルのメリットが大きいといえます。

対象者
- 要介護1〜5に認定された人
- 原則として要支援1・2は対象外(ただし状態によって例外あり)
- 在宅で生活しており、福祉用具を使うことで生活の自立や介護負担軽減が期待できる人
特に、退院直後や介護度が変化しやすい方、在宅での移動や生活に不安がある方が対象となります。
利用料金
自己負担の目安
福祉用具貸与は介護保険が適用されるため、費用の1〜3割負担で利用できます。
例(1割負担の場合):
- 車いす(標準型):月額500〜800円前後
- 特殊寝台(電動ベッド):月額1,000〜2,000円前後
- エアマットレス:月額700〜1,200円前後
※事業者や地域によって差があります。
※要支援者の場合、一部の福祉用具は「介護予防福祉用具貸与」として利用可能。
メリット
1. 経済的負担を抑えられる
購入すると数万円〜数十万円する福祉用具を、月額数百円〜数千円で利用できるため、家計への負担が軽減されます。
2. 状態に合わせて交換可能
要介護度が変わった場合や、身体の状態が悪化・改善した場合にも、必要に応じて用具を交換できます。
3. 保守・点検も含まれる
レンタルのため、事業者が定期的に点検やメンテナンスを行ってくれます。万一の故障時も交換してもらえる安心感があります。
4. 専門家による選定支援
福祉用具専門相談員が利用者の身体状況や住宅環境を踏まえて最適な用具を提案してくれるため、安心して利用を開始できます。
デメリット・注意点
1. 全ての用具がレンタル対象ではない
ポータブルトイレや入浴用椅子などは「特定福祉用具販売」として購入が原則であり、貸与の対象外です。

2. 長期利用では割高になる可能性も
数年以上利用が見込まれる場合、購入した方が結果的に安くなるケースもあります。
3. 要支援者は利用できる品目が限られる
要支援1・2の方は、手すりやスロープなど軽度向けの用具に限られます。
利用開始までの流れ
- 要介護認定を受ける
市区町村に申請し、要介護1〜5と認定されることが必要です。 - ケアマネジャーに相談
必要な用具をケアプランに組み込みます。 - 福祉用具貸与事業者の選定
ケアマネジャーの紹介や自分で選んだ事業所と契約します。 - 専門相談員による選定
福祉用具専門相談員が自宅を訪問し、身体状況や住宅環境に応じた用具を提案。 - 契約・利用開始
レンタル契約を結び、納品・設置。利用中は定期的な点検や交換が行われます。
他サービスとの違い
特定福祉用具販売との違い
- 貸与(レンタル):ベッドや車いすなど、長期利用・交換可能な用具が中心
- 販売:ポータブルトイレや入浴用椅子など、衛生面で使い回しが難しい用具が対象
住宅改修との違い
- 福祉用具貸与:工事不要の用具を貸与
- 住宅改修:手すり取り付けや段差解消など、住宅そのものを改修
まとめ
福祉用具貸与(レンタル)は、介護が必要な方が自宅で安心して生活を続けるための心強いサービスです。購入ではなくレンタル形式のため、経済的負担が少なく、身体の状態に応じて柔軟に用具を交換できる点が魅力です。
ただし、すべての用具がレンタルできるわけではなく、要支援者の場合は利用できる品目が限られます。利用を検討する際は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談し、自分に合った用具を選ぶことが大切です。