老老介護・認認介護の対応|リスクサインと支援の組み立て方

当ページのリンクには広告が含まれています。


「妻が夫を介護しているが、二人とも物忘れが進んでいる」——高齢の夫婦だけで支え合う老老介護、さらに双方に認知症がある認認介護は、いまや珍しい状況ではありません。

この記事では、老老介護・認認介護で起きやすいリスクと、ケアマネの具体的な対応を整理しました。

この記事でわかること
  • 老老介護・認認介護とは(違いと背景)
  • 見逃してはいけない5つのリスクサイン
  • ケアマネが行うアセスメントの視点
  • 支援の組み立て方と、見守りネットワークの作り方
  • 本人・家族が支援を受け入れないときの関わり方
目次

老老介護・認認介護とは

用語意味特徴
老老介護高齢者が高齢者を介護している状態介護者の体力低下、共倒れのリスク
認認介護介護する側・される側の双方に認知症がある状態服薬や金銭管理の破綻、気づかれにくさ

背景には、高齢化、核家族化、子の遠方居住、施設入所を望まない価値観などがあります。とくに認認介護は、本人たちに「困っている」という自覚がないことが多く、周囲が気づいたときには生活が大きく崩れているのが特徴です。

新人ケアマネ新人

ご夫婦とも穏やかで、一見すると問題がなさそうに見えることもあります。

ベテランケアマネ先輩

そこが難しいところね。訪問時は取り繕えることも多いの。だから「暮らしの痕跡」を見る視点が大切よ。冷蔵庫、薬、郵便物、火の周り——生活の跡は嘘をつかないわ。

見逃してはいけない5つのリスクサイン

  • 服薬の乱れ:飲み残しの山、日付のずれた薬、別人の薬を飲んでいる
  • 食事と栄養:同じ食材ばかり、消費期限切れの食品、体重の減少
  • 金銭管理:未払いの請求書、同じ物の大量購入、通帳や現金の紛失
  • 火と水の管理:焦げた鍋、消し忘れ、水道の出しっぱなし
  • 介護者の疲弊:眠れていない、表情が乏しい、「もう無理」という発言
注意:介護者にも支援が必要な対象者という視点を老老介護では、介護者自身が要介護認定を受けられる状態であることも少なくありません。「介護する人/される人」と固定せず、二人とも支援の対象として見立てることが大切です。

アセスメントの視点

視点確認すること
二人の健康状態介護者の持病、通院状況、認知機能、睡眠
生活の実態食事・服薬・清潔・金銭管理が誰の力で回っているか
役割の分担できていること、無理をしていることの切り分け
緊急時の備え倒れたときに誰が気づくか、連絡先は共有されているか
地域とのつながり近隣、民生委員、別居家族との関係
本人たちの意向どう暮らしたいか、何は譲れないか

支援の組み立て方

  • 生活が崩れる一点を特定する服薬か、食事か、金銭か。最も危険な一点から支援を入れます。
  • 二人分の支援を同時に考える介護者が未申請なら認定申請を、要支援なら総合事業の活用を検討します。
  • 専門職の目が入る頻度を増やす訪問介護・訪問看護・デイなど、複数の目が定期的に入る形にします。
  • 医療との連携を確保する服薬管理は薬剤師の居宅療養管理指導、体調の変化は訪問看護と連携します。
  • 見守りネットワークを作る民生委員、近隣、配達事業者、別居家族に「異変の連絡先」を共有します(孤独死を防ぐ見守り体制)。
  • 緊急時の手順を決めておく誰が、どこに、どう連絡するかを紙にして、冷蔵庫など目に付く場所に貼ります。
ポイント:レスパイトは「限界の前」に入れる介護者が倒れてからでは、二人とも行き場を失います。ショートステイやデイサービスは、介護者が元気なうちから少しずつ使い慣れておくことで、いざというときに受け入れやすくなります。

支援を受け入れないときの関わり方

「今のままで大丈夫」と言われることは珍しくありません。次の順で関わると、糸口が見つかりやすくなります。

  • まず介護者をねぎらう(「よくここまで支えてこられましたね」)
  • 本人たちが困っていること(不眠、腰痛、物忘れの不安)から入る
  • 「介護サービス」ではなく「体を休める」「受診に付き添う」など生活の言葉で提案する
  • 一度に多くを入れず、週1回など小さく始める
  • 信頼している人(かかりつけ医、別居家族、近隣)から働きかけてもらう

本人と家族の意向が食い違う場合の調整は、本人と家族の意向が違う時はどうする?もあわせて参考にしてください。

支援の入り方|よくある3つの場面

場面最初に入れる支援ねらい
夫が妻を介護。夫の物忘れが進み、服薬が乱れている薬剤師の居宅療養管理指導と、訪問介護による服薬確認命に直結する服薬から安定させ、専門職の目を入れる
妻が夫を介護。妻が腰痛で入浴介助ができない通所介護での入浴、福祉用具の導入介護者の身体的負担を減らし、共倒れを防ぐ
二人とも認知症があり、金銭管理が難しい日常生活自立支援事業、必要に応じて成年後見制度生活の基盤である金銭を守り、権利擁護につなげる

いずれも共通するのは、「二人の生活で最初に崩れる部分」から手をつけるという考え方です。すべてを一度に整えようとせず、優先順位を決めて進めます。

別居家族との関わり方

  • 現状を具体的に伝える(「食事が同じものばかり」「薬が3週間分残っている」など)
  • 帰省時に確認してほしい点を、あらかじめ3つほど挙げる
  • 遠方でもできること(電話での見守り、買い物の手配、書類の手続き)を提案する
  • 緊急時の連絡先と、キーパーソンを明確にしておく

別居家族は「何をすればいいか分からない」ことが多いものです。具体的な役割を示すと、支援の輪に入ってもらいやすくなります

ケアマネが抱え込まないために

老老介護・認認介護の世帯は、訪問のたびに新しい心配が見つかり、担当ケアマネの負担が大きくなりがちです。次の3つを意識すると、長く関わり続けられます。

  • 地域包括支援センターと早めに情報を共有する:高齢者夫婦世帯は、見守りの対象として地域で把握してもらう
  • 受診同行や金銭管理を一人で引き受けない:制度や他機関につなぎ、役割を分ける
  • 「今日の目標」を一つに絞る:すべてを一度に整えようとしない

二人暮らしの世帯を支えるのは、ケアマネ一人の力では限界があります。地域の目を増やすことが、結果的に本人たちの在宅生活を長く支えることにつながります

よくある質問(FAQ)

老老介護と認認介護の違いは何ですか?
老老介護は高齢者が高齢者を介護している状態、認認介護はその双方に認知症がある状態を指します。認認介護は、本人たちが困りごとを自覚しにくい点が特徴です。
介護している配偶者も認定を受けられますか?
状態によっては受けられます。介護者が未申請の場合は、認定申請を検討しましょう。
服薬の管理はどう支援すればよいですか?
医師・薬剤師と連携し、一包化や服薬回数の調整、訪問時の服薬確認などを組み合わせます。お薬カレンダーの活用も有効です。
離れて暮らす子どもには、何を伝えるべきですか?
現在の生活で崩れている点、緊急時の連絡体制、今後起こりうる変化を具体的に伝えます。帰省時に確認してほしい点を挙げると動いてもらいやすくなります。
施設入所を勧めるべきタイミングは?
在宅で安全が保てなくなったときが一つの目安です。ただし本人たちの意向が最優先で、選択肢として早めに情報提供しておくことが大切です。
まとめ
  • 老老介護は高齢者同士の介護、認認介護は双方に認知症がある状態
  • 服薬・食事・金銭・火の管理・介護者の疲弊が、見逃してはいけないサイン
  • 「介護する人/される人」と固定せず、二人とも支援の対象として見立てる
  • 最も危険な一点から支援を入れ、専門職の目が定期的に入る形をつくる
  • レスパイトは限界を迎える前に。小さく始めて使い慣れてもらう

ケアマネ向けのおすすめの本を紹介します!

ぜひ、クリックして確認してみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次