定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは?わかりやすく解説

高齢化が進むなかで「一人暮らしで介護が必要」「夜間や緊急時も安心できる支援が欲しい」といった声が増えています。
そうしたニーズに応えるのが、介護保険サービスの一つである「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。これは、24時間365日体制で介護職員や看護師が連携し、在宅生活を支える仕組みです。
まだ新しいサービスのため「名前は聞いたことがあるけれど、内容はよく分からない」という方も多いでしょう。
この記事では、その概要や対象者、料金、メリット・デメリット、利用の流れをわかりやすく解説します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは?
概要
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(以下:定期巡回サービス)は、在宅で暮らす高齢者に対し、介護と看護を24時間365日体制で提供するサービスです。従来の訪問介護や訪問看護は、決まった時間に限られたサービスを受ける形式でした。しかし定期巡回サービスでは、定期的な訪問と必要に応じた随時対応を組み合わせ、柔軟かつ迅速に支援が行える点が特徴です。
サービス内容
定期巡回
事前に計画されたスケジュールに沿って、介護職員や看護師が利用者宅を訪問します。内容は、排泄介助、服薬確認、安否確認、バイタルチェックなど。短時間での訪問を繰り返すことで、利用者の状態をきめ細かく把握できます。
随時対応
利用者や家族が不安を感じた時、専用のオペレーションセンターに連絡すると、必要に応じてスタッフが駆けつけます。夜間の排泄介助や体調の急変など、従来の訪問介護では難しかった場面にも対応可能です。
看護との連携
看護師が介護職員と連携し、医療的ケアを必要とする利用者にも対応します。点滴、褥瘡ケア、服薬管理、在宅酸素なども含まれます。介護だけでなく医療も一体的に提供できる点が強みです。
対象者
- 要介護1〜5に認定された人
- 夜間や緊急時の介護を必要とする人
- 独居または高齢夫婦世帯で、日常的な見守りが必要な人
- 医療的ケアを受けながら在宅生活を続けたい人
特に「一人暮らしで夜間の排泄が不安」「家族が遠方に住んでいる」「体調変化にすぐ対応してもらいたい」といったケースで利用されています。
利用料金
料金の仕組み
定期巡回サービスは、基本的に月額定額制です。要介護度に応じて金額が決まり、利用回数が増えても追加料金が発生しにくい点が特徴です。
自己負担額の目安(1割負担の場合)
- 要介護1:約6,000円前後/月
- 要介護3:約15,000円前後/月
- 要介護5:約25,000円前後/月
※食費・日常生活費は別途必要。
※所得に応じて自己負担割合は1〜3割。
※夜間・緊急時訪問での加算がつく場合あり。
メリット
1. 24時間365日対応で安心
昼夜問わず必要な時に支援を受けられるため、独居高齢者や夜間不安の強い方でも安心して在宅生活を送れます。
2. 医療的ケアにも対応可能
看護師が関与することで、在宅酸素や褥瘡ケア、服薬管理など医療ニーズのある利用者も利用できます。
3. 家族の負担軽減
突然の体調変化や夜間の介護にも対応してもらえるため、家族が安心して仕事や生活を続けられます。
4. サービスの柔軟性
定期訪問と随時訪問を組み合わせられるため、利用者の生活スタイルに合わせやすい仕組みとなっています。
デメリット・注意点
1. 提供事業所が少ない
全国的にまだ普及しておらず、利用できる地域が限られています。特に地方ではサービスを提供していない場合もあります。
2. 利用できるのは地域密着型
地域密着型サービスに分類されるため、事業所がある市区町村の住民のみが対象です。隣の市町村からは利用できないことも多いです。
3. 入院中は利用できない
入院が長引くとサービス契約を継続できない場合があります。
4. 利用料が高く感じることも
定額制で安心感はありますが、軽度の要介護者で利用回数が少ない場合「割高」と感じることがあります。
他サービスとの違い
訪問介護との違い
訪問介護は時間・回数が限られていますが、定期巡回サービスは回数制限が少なく24時間対応可能です。
訪問看護との違い
訪問看護は医療的ケア中心ですが、定期巡回サービスでは介護+看護を一体的に受けられる点が異なります。
小規模多機能型居宅介護との違い
小規模多機能型は「通い・泊まり・訪問」を中心としますが、定期巡回サービスは「訪問介護・看護」に特化しており、特に夜間や緊急対応に強みを持っています。
利用開始までの流れ
- 申請:市区町村の介護保険課や地域包括支援センターに相談し、要介護認定を受ける。
- ケアマネジャーと相談:ケアプランに定期巡回サービスを組み込む。
- 事業所との契約:提供事業所と具体的な利用契約を結ぶ。
- 利用開始:定期巡回・随時対応がスタート。必要に応じてサービス内容は随時見直し可能。
まとめ
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間365日体制で介護と看護を提供する画期的なサービスです。
特に独居高齢者や医療的ケアを必要とする方にとって、自宅で安心して暮らし続けるための大きな支えとなります。
ただし、事業所数が少なく利用できる地域が限られている点、入院中は利用できない点など注意が必要です。
利用を検討する場合は、市区町村や地域包括支援センターに早めに相談し、ケアマネジャーと一緒に最適な介護プランを考えていくことが大切です。
