高齢の家族の介護費用が増えてきたとき、「この介護費用って医療費控除の対象になるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実は、介護保険サービスの中には医療費控除の対象になるものと、対象外のものがあります。
この記事では、介護保険と医療費控除の関係について、対象になるサービス・ならないサービスをわかりやすく解説し、申告時のポイントも紹介します。
医療費控除とは
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えると、所得税の一部が戻ってくる(軽減される)制度です。
● 控除対象となる条件(2024年現在)
- 本人・配偶者・扶養家族のために支払った医療費
- 1年間(1月〜12月)の合計額が10万円(または所得の5%)を超える分
- 控除上限は原則200万円まで
※高額療養費制度や保険金で補填された部分は除かれます。
介護保険サービスでも医療費控除の対象になる?
結論から言うと、介護保険サービスのうち、医療に密接に関係するサービスは医療費控除の対象になります。
厚生労働省では、「医療費控除の対象となる介護サービスの範囲」を定めており、以下のような要件に合致するサービスは控除の対象とされています。
医療費控除の対象になるサービス【一覧と解説】
サービス名 | 控除対象 | 内容 |
---|---|---|
訪問看護 | ◎ 対象 | 看護師による訪問で医療的ケアを提供 |
訪問リハビリ | ◎ 対象 | 医師の指示に基づくリハビリの訪問実施 |
通所リハビリ(デイケア) | ◎ 対象 | 医師の管理下での機能訓練 |
短期入所療養介護(医療型ショートステイ) | ◎ 対象 | 医療ケアが提供される短期入所施設利用 |
介護老人保健施設・介護医療院 | ◎ 対象 | 医療と介護が一体的に提供される施設 |
居宅療養管理指導 | ◎ 対象 | 医師や薬剤師などによる在宅療養支援指導 |
認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | △ 一部対象 | 医師の診断があり、日常生活の支援が療養上必要な場合に限る |
特別養護老人ホーム(特養) | △ 一部対象 | 同上。生活費部分は対象外 |
※上記サービスのうち、介護保険給付対象外の「自己負担分」が控除対象になります。
医療費控除の対象外になるサービス【一覧と理由】
サービス名 | 控除対象外の理由 |
---|---|
訪問介護(ホームヘルプ) | 原則として身体介護ではなく生活援助が中心なため |
通所介護(デイサービス) | 医療目的ではなく、日常的な支援が中心 |
福祉用具貸与・購入費 | 医療行為ではないため |
住宅改修費(手すり・スロープ設置等) | 原則対象外。ただし医師の証明があると例外的に認められることも |
食費・居住費(特養・老健・ショートステイ等) | 医療とは関係ない生活費として扱われるため対象外 |
控除を受けるための準備と必要書類
医療費控除を受けるには、以下のような準備が必要です。
● 医療費控除を受けるための手順
- 年間の医療費を記録・集計(1月〜12月分)
- 必要な領収書・明細書を保管
- 確定申告書を作成(e-Taxまたは紙提出)
- 医療費控除の明細書を添付して申告
● 控除対象となる介護費用の証明方法
- 介護サービス提供事業者が発行する「領収書」が必須です。
- 「医療費控除対象」と明記されていることが望ましい(事業所によって記載が異なることもあります)。
- 不明な場合は、担当ケアマネージャーや事業所に確認しましょう。
よくある質問Q&A
Q. 同じデイサービスでも、医療費控除になることがある?
→ 原則として「通所介護(デイサービス)」は対象外ですが、「通所リハビリ(デイケア)」で医師の指示のもとにリハビリを行っている場合は控除対象です。サービス内容によって違いがあります。
Q. 要介護認定を受けていなくても医療費控除できる?
→ 要介護認定の有無に関係なく、「医師の診断書や指示」があり、「医療的ケアとして必要なサービス」として利用していれば対象になることがあります。判断が難しい場合は税務署に相談しましょう。
まとめ
介護保険サービスのうち、医療目的で提供される一部のサービスは医療費控除の対象となります。訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、短期入所療養介護などが代表的です。
一方で、生活支援が中心の訪問介護やデイサービス、福祉用具や住宅改修の費用は原則として対象外となります。確定申告で医療費控除を活用するためには、サービスの種類・内容・領収書の確認がカギとなります。
わからないことがあれば、介護事業所やケアマネージャー、税理士・税務署に相談して、正しく申告しましょう。賢く制度を活用して、介護生活の経済的負担を少しでも軽くしていきましょう。