障害者手帳は、障害のある方がさまざまな支援を受けるための公的な証明書です。
医療や福祉サービスの利用、税制優遇、交通機関の割引など、日常生活をサポートするための多くのメリットがあります。
一方で、「取得には勇気がいる」「デメリットもあるのでは?」と不安に感じている方も少なくありません。
本記事では、障害者手帳を取得することで得られる具体的なメリットと、知っておきたいデメリットをわかりやすく解説します。
ご本人やご家族が安心して判断できるよう、ぜひ参考にしてください。
障害者手帳とは?3つの種類を簡単に解説します
障害者手帳には大きく分けて次の3種類があります。それぞれの対象者や支援内容が異なります。
手帳の種類 | 対象となる障害 | 主な交付主体 |
---|---|---|
身体障害者手帳 | 身体機能の障害(視覚・聴覚・内部障害など) | 市区町村 |
療育手帳 | 知的障害 | 市区町村(都道府県により名称が異なる) |
精神障害者保健福祉手帳 | 精神疾患(うつ病、統合失調症、発達障害など) | 都道府県・政令市 |
※それぞれの手帳は、障害の程度により等級(1級〜3級など)に分けられています。
障害者手帳のメリット
障害者手帳のメリットは下記のようなものがあります。
それぞれについて説明していきます。
各種割引・減免制度が利用できる
障害者手帳を持つことで、さまざまな費用が割引または免除されます。たとえば以下のような支援があります。
- 公共交通機関(JR・バス・地下鉄)の運賃割引
- 高速道路の通行料割引(ETC利用時)
- NHK受信料の免除・減額
- 携帯電話料金の割引(障害者割引)
- 映画館・美術館・博物館などの入館料割引
- 自動車税・軽自動車税の減免
これらの割引制度は自治体や企業によって異なりますが、年間を通じて見ると大きな経済的支援になります。
医療費・福祉サービスが軽減される
手帳を持っていることで、以下のような医療・福祉面の支援が受けられます。
- 自立支援医療による医療費の軽減(精神・身体)
- 補装具や日常生活用具の給付
- 居宅介護・重度訪問介護などのサービス利用
- 障害者就労支援(就労継続支援A型・B型など)
生活を支えるための支援制度が整っており、手帳を取得することで制度の利用がスムーズになります。
就職活動・雇用面での支援がある
障害者手帳を持っていると、「障害者雇用枠」での就職活動が可能になります。
- 障害者雇用促進法に基づく就労支援
- ハローワークなどでの障害者専門窓口の利用
- 特例子会社や福祉的就労への道が開かれる
- 職業訓練や就労移行支援サービスの利用
一般雇用では働きづらさを感じていた方も、自分に合った職場を見つけやすくなるという利点があります。
家族にもメリットが及ぶことがある
障害者手帳の所持者がいる世帯では、世帯全体にメリットが生じる場合があります。
- 所得税・住民税の控除(障害者控除)
- 障害者控除対象者として扶養家族に追加可能
- 福祉手当の受給資格
家族が手帳所持者であることで、経済的な支援や控除の対象となるケースもあるため、家庭全体での生活支援につながります。
障害者手帳のデメリット
障害者手帳のデメリットを紹介します。
手帳取得に心理的な抵抗感を持つ人が多い
「障害者手帳を取得する=障害者と認められる」と感じ、抵抗感を抱く方も少なくありません。特に精神障害や発達障害など“見えにくい障害”を持つ人にとっては、「周囲に知られたくない」「職場で不利になるのでは」と不安を抱くこともあります。このような心理的なハードルは、手帳制度の有用性を知っていても、取得をためらう一因となることがあります。
障害者であることを公的に証明することになる
障害者手帳は本人の障害状態を正式に証明するものであるため、制度を利用する際には手帳の提示が求められます。そのため、周囲に知られたくないと思っていても、外出先や職場で提示が必要になるケースがあり、「知られたくないのに知られてしまった」と感じることもあります。
一部の就職先ではマイナスと捉えられる可能性もある
障害者雇用枠での就職支援がある一方で、残念ながら一部の企業では偏見や誤解により、手帳保持者を敬遠する風潮が残っている現実もあります。本人の能力とは無関係に「配慮が必要」と見なされたり、昇進・昇給の機会に制限がかかるといったケースも報告されています。こうした点は、就職活動をする際に事前に理解しておくべき注意点です。
等級によって受けられる支援が異なる
障害者手帳には等級(1級〜3級など)があり、受けられるサービスの範囲は等級によって異なります。たとえば、1級であれば通院介助や手当の対象になる一方、3級では一部のサービスが対象外となることもあります。そのため、「手帳を取得したのに思ったほどの支援がなかった」と感じることもあります。事前に自治体で相談し、制度の内容をよく理解しておくことが大切です。
まとめ
障害者手帳には、医療・福祉サービスの利用、交通機関や公共施設の割引、税金の控除、就労支援など、さまざまなメリットがあります。
一方で、手帳を取得することへの心理的な抵抗や、障害が公的に証明されることによる不安も存在します。
また、等級によって支援内容が異なる点や、一部の職場で偏見を受ける可能性があることも理解しておく必要があります。
障害者手帳の取得を検討する際には、メリット・デメリットの両面をよく理解したうえで、支援制度をうまく活用できるようにすることが大切です。