要介護1・2の総合事業移行はどうなる?議論の現状と備え

「要介護1・2の訪問介護とデイサービスが、総合事業に移るって本当?」——数年にわたり議論が続いているテーマです。担当する利用者の多くが要介護1・2というケアマネにとっては、実務にも事業所経営にも関わる大きな話です。
この記事では、移行案の中身と現在の状況、決まった場合に何が変わるのかを整理しました。
- 要介護1・2の総合事業移行とは何か(対象サービスの範囲)
- 2026年9月時点での議論の状況
- 移行が議論される背景と、反対意見の中身
- 移行した場合にケアマネ・利用者に起こる変化
- 今のうちにできる備え
要介護1・2の総合事業移行とは
議論されているのは、要介護1・2の人が使う訪問介護と通所介護(デイサービス)を、介護保険の給付から市町村の「介護予防・日常生活支援総合事業」に移すという案です。
総合事業は、市町村が地域の実情に合わせてサービスの内容や単価を決める仕組みです。すでに要支援1・2の訪問介護・通所介護は、2014年の改正で総合事業に移っています。総合事業の全体像は総合事業とは?介護給付との違いをケアマネ向けに解説で確認できます。
| 区分 | 訪問介護・通所介護の位置づけ(現在) |
|---|---|
| 要支援1・2 | 総合事業(第1号訪問事業・第1号通所事業) |
| 事業対象者 | 総合事業 |
| 要介護1・2 | 介護給付(訪問介護・通所介護) ※移行が議論されている |
| 要介護3〜5 | 介護給付 |
新人要支援の人はもう総合事業ですよね。その続き、というイメージですか。
先輩そう。「軽度と言われる人のサービスを、地域の多様な担い手で支えよう」という考え方ね。ただ、要介護1・2には認知症の人も多くて、軽度とひとくくりにできないという反論が強いの。
2026年9月時点の状況
この案は、2022年の議論で一度見送られ、次の制度改正に向けて検討を続けることとされました。その後も審議会で取り上げられていますが、2026年9月時点で移行は決まっていません。
2025年末にまとめられた介護保険部会の意見でも、反対意見が根強いことから結論が持ち越されています。関係団体からは、要介護1・2を一律に総合事業へ移さず、現行の介護給付を維持するよう求める意見が続いています。2027年度の制度改正に向けた議論の行方が、引き続き焦点です。
なぜ移行が議論されるのか
- 費用の伸びを抑えたい:高齢化で給付費が増え続けており、給付の範囲を見直す議論が続いている
- 担い手を広げたい:専門職だけでなく、住民主体のサービスやボランティアも活用したい
- 地域の実情に合わせたい:市町村が単価や基準を設定できるため、地域の資源に応じた仕組みを作りやすい
反対意見の中身
- 専門職の関わりが減り、重度化を早めるおそれがある
- 総合事業の基準や単価は市町村ごとに決まるため、住む地域によって受けられる支援に差が出る
- 担い手となる住民主体のサービスが十分に育っていない地域がある
- 報酬が下がれば、事業所の撤退やヘルパー不足が進みかねない
移行した場合に何が変わるのか
利用者への影響
サービスの種類や単価、利用できる回数が市町村ごとのルールになります。これまでと同じ内容を同じ事業所で使えるとは限らず、住む市町村によって選べるサービスが変わる可能性があります。
ケアマネの実務への影響
総合事業のサービスを位置付ける場合、市町村ごとの基準や様式を確認する必要があります。要介護1・2の担当が多い事業所では、給付管理や説明の手間が増えることも想定されます。
事業所経営への影響
訪問介護・通所介護の事業所にとっては、報酬の設定が市町村次第になります。単価が下がれば経営に影響し、サービスの撤退につながるおそれもあります。
新人もし決まったら、すぐに切り替わるんでしょうか。
先輩これまでの例を見ると、移行には準備期間と経過措置が設けられるのが一般的よ。要支援のときも数年かけて移行したわ。決まってから慌てないよう、地域の総合事業の状況を知っておくことが備えになるわね。
今のうちにできる備え
- 自分の市町村の総合事業を把握する要支援者向けにどんなサービス類型(基準緩和型、住民主体型など)があり、単価や利用のルールがどうなっているかを確認します。
- インフォーマルな社会資源を知っておく地域のサロン、住民主体の生活支援、ボランティアなど、保険外の資源をリスト化しておきます。
- 要介護1・2の利用者の状態像を整理する認知症の有無や見守りの必要性など、「なぜ専門職の関わりが必要か」を説明できる記録を残します。
- 地域ケア会議などで実情を発信する現場で見えている課題は、地域の政策形成につながる貴重な情報です。
先に移行した要支援者の事例から学べること
要支援1・2の訪問介護・通所介護は、2014年の改正で総合事業に移りました。この移行から、要介護1・2でも起こりうる課題が見えてきます。
| 起きたこと | ケアマネが求められた対応 |
|---|---|
| サービスの類型や単価が市町村ごとに分かれた | 自分の市町村の類型・単価・利用回数の上限を把握し、利用者に説明する |
| 基準緩和型サービスの担い手が地域によって育たなかった | 使える事業所を個別に確認し、足りない資源は地域ケア会議などで発信する |
| 従来と同じ事業所を使えないことがあった | 利用者の不安を受け止め、変更の理由と代わりの選択肢を丁寧に伝える |
| 専門職以外の担い手が関わる場面が増えた | 誰がどこまで担うかを整理し、専門職が関わるべき部分を明確にする |
共通するのは、制度が変わるときに最も混乱するのは利用者と家族だという点です。「なぜ変わるのか」「何が変わらないのか」をケアマネの言葉で説明できることが、そのまま利用者の安心につながります。
よくある質問(FAQ)
要介護1・2の総合事業移行は決まったのですか?
移行の対象になるのは、どのサービスですか?
移行すると、サービスは使えなくなりますか?
ケアプランは誰が作ることになりますか?
すでに総合事業に移っているサービスはありますか?
- 議論されているのは、要介護1・2の訪問介護・通所介護を市町村の総合事業に移す案
- 2022年の議論で見送られ、2026年9月時点でも決まっていない
- 背景には給付費の抑制と担い手の多様化、反対意見の中心は質の低下と地域格差
- 移行すれば、サービスの内容・単価・回数が市町村ごとのルールになる
- 備えとして、自分の市町村の総合事業と地域資源を把握し、専門職の関わりの必要性を記録に残す
















